中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2016.05.20(第20回)
生きものいっぱいの田んぼへ行こう!(メダカのがっこう紹介)

 先日、J-WAVEのカビラさんの番組の収録に行ってきました。NPO法人メダカのがっこうの活動を紹介するためです。せっかく原稿を用意し、いろいろ言いたいことを用意していったのですが、現場では原稿通りには話せずに残念な思いをしたので、今回はメダカのがっこうの紹介を思う存分させてください。
 私たちメダカのがっこうの発足は、2001年。消費者と農家が力を合わせて、自然再生の拠点になるような生きものいっぱいの田んぼを広げる活動をする環境NPOとしてスタートしました。

●なぜ田んぼに注目したのでしょうか?
 その理由は、@山から海まで、自然再生に大切なところが各所にある中で、田んぼは国土の7%を占めていること、A自然界には平らなところがないのに、人工的に平らで浅い水たまりを先祖が人力で作ってくれたところで、原自然と区別して二次自然と呼ばれており、日本人の主食であるお米を作りながら、同時にメダカやトンボや水生昆虫、トキやサギやカモなど多くの水辺の生きものたちの命をつないできた重要なところだからです。つまり、人間がどんな田んぼを作るかで、命を生かすことも殺すこともできる自然再生のカギを握るところなのです。

●メダカのがっこうを始めたキッカケは?
 2000年7月、田んぼにいっぱいのメダカが泳ぐ生きものがいっぱいいる田んぼに出合い、自然再生のイメージが具体的に持てたことがきっかけです。こんな田んぼを広げたいという思いを同じくする有志が集まり、2001年8月NPO法人メダカのがっこうが発足しました。
 現在、日本のほとんどの田んぼは稲以外の生きものが見られない田んぼで、私たちはこのような田んぼを「沈黙の田んぼ」と呼んでいます。ほとんどの農家も、農薬・化学肥料がなければ稲作りはできないと思い、稲以外の生きものがいないのが良い田んぼだと考えています。また、ご存知の方は少ないと思いますが、日本の田んぼは今1年の内4ヵ月しか水が入っていません。
 ところがあまり耕さず、冬の間から田んぼに水を張っただけで、絶滅危惧種のニホンアカガエルが復活したり、糸ミミズやユスリカなどみんなの餌になる生きものたちが増え、生態系が大きくなります。絶滅危惧種の半数以上は水辺の生きもの、このように田んぼに水を張る期間を長くするだけでも復活する生きものはたくさんいます。さらに、農薬・化学肥料を使わず、生きものに配慮した田んぼづくりをすると、もっと多くの生きものたちがすぐ復活します。

 それまで、環境なんて私たちが何をしたってそう簡単に取り戻せるもではないと諦めていましたが、意外と簡単に生きものたちが復活する方法があること、絶滅危惧種の生きものたちは弱いのではなく、環境さえ整えれば逞しく復活することが分かり、希望が湧いてきました。それならこの田んぼを広げる活動をしてみようと思ったのです。

●なぜ農家支援を始めたのでしょうか。
 私たちはこの田んぼのすばらしさを多くの消費者に分かってもらうために、2001年から田んぼの生きもの調査を始めたのですが、協力していただく農家と親しくなるうちに、絶滅危惧種はメダカやトキではなく、このような田んぼを作ってくださる農家だということに気が付きました。このような素晴らしい農家にも後継者はほとんどいません。これは大変、このような田んぼで収穫したお米を後継者ができるくらいの価格で買って食べる人を増やすことが先決だと気が付きました。
 今では、支援というより一緒に日本の生きる環境と安全な食料を守る同志だと思っています。

●なぜ田んぼ体験をしているのでしょうか。
 その目的は、都市部の市民や子どもたちに生きものいっぱいの田んぼを知ってもらうことです。生きもの調査も同時に行います。初めは恐る恐る田んぼの泥に足を入れていた子どもたちも、しばらくするとカエルや虫を追いかけるのに夢中です。この楽しい体験をすれば、沈黙の田んぼとの違いの分かる人に育ってくれると思います。
 小学生の田んぼ体験や企業の環境への貢献を目的とした自然塾のみなさん、メダカのがっこうのお米くらぶ会員のご家族連れなどが参加されています。みんなこの田んぼのおいしいお米を食べています。

●生きものいっぱいの田んぼとはどんな田んぼでしょうか?
 冬のうちから田んぼの水を張っていると、糸ミミズやユスリカ、ドジョウやタニシ、たくさんの水生昆虫が冬を越し、2月にはニホンアカガエルの卵塊、4月にはオタマジャクシ、5月にはアマガエルやトウキョウダルマガエル、6月にはトンボの幼虫であるヤゴが稲を上って羽化し、田んぼの中は小さなゲンゴロウやコオイムシ、栃木県ではタガメやミズカマキリ、8月にはイナゴなどのバッタ類、カマキリや、たくさんの種類のクモたちが見られます。これらの生きものを狙って、カモやサギたち、佐渡ではトキに出合います。
 また、除草剤を撒いていない畔(あぜ)には、多種多様な草たちが生えます。それを楽しむために、春と夏には草を摘むところからやる野草料理教室も開いています。

●この田んぼのお米はどんな味ですか?
 生きものいっぱいの田んぼから生まれるお米の美味しさは、力強いです。メダカのがっこう米の袋には、「草も虫も人もみんなが元氣に生きていける田んぼがある」と書いてあるとおり、エネルギーのあるお米です。そして食べた人が元氣になるお米ですから、身体が美味しいと感じるはずです。

●このお米はどこで買えるでしょうか?
 販売は、NPO法人メダカのがっこうでしています。この田んぼが日本中に広がるように願いながら販売しています。メダカのがっこうのHPのショップから購入できます。本当は一人の人に1年で1俵食べていただきたいと思い、1口=1俵(60kg)51,600円でお米くらぶ会員を募集していますが、スポットでも5kg、2kg、1kgずつ購入できます。千葉の椿農場、大田原の水口農場、郡山の中村農場、佐渡の佐々木農場からご希望の農家を選んでいただけます。迷った時はメダカのがっこう事務局(0422−70−6647)までお電話ください。ご説明やご相談に乗ります。

●食で心身を立て直す方法とはどんなものですか?
 お米を中心に、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイルなど、原料である大豆、小麦、梅、大根、ひまわり、菜種などもF1種や遺伝子組換えでない在来種の種から育て、塩もミネラルバランスの良い日本の伝統海塩を使い、農薬や化学肥料、添加物を使わずに手造りしています。
 みんなが不可能と思っていることを、完全ではありませんが、「都会にいても自給自足生活のおすすめ」と打ち出して、家族の1年分の基本的食料を化学物質ゼロで作りましょう、と提案しています。実際に、年間15万円ほどの費用と15日ほどの参加で、お米60kg、味噌10kg、醤油5升、ひまわり油と菜種油を270ml瓶で10本、梅10kg(出来上がりの梅干で5kg)、たくあん10kgが学びながら作れます。
 農薬や添加物、人工甘味料、いつまでも腐らない便利な加工品が健康に悪いことは分かっていても、実際にどうしたらそういうものに頼らない食生活ができるのかを、やってみせなければ、と思い、いろいろなことに挑戦しているのですが、これがゲームのようにおもしろくなり、現在にいたっています。

●「理想の食(=健康)」とはなんでしょう?
 基本的にお米中心の味噌汁と三菜の日常食。体を浄化するお茶類、籾付玄米の黒焼き玄米茶、マコモ茶、梅醤番茶などを適当に飲むこと。体に負担のかかる化学物質類はなるべく入れないこと。ドレッシングや何とかのタレなどの添加物たっぷりの加工品に頼らなくても、自分で作った調味料と野菜でいくつかの便利なタレを作っておけば簡単においしい料理ができます。
 実際、醤油もオイルも1年かかるし、味噌は最低2年、梅干しは3年物にするので、3年先に食べるものを作ることになります。だから毎年先を考えて仕込みます。家族の健康を願ってお母さんが作る数年単位の気の長い手造りの食糧生産、私はこれが素敵だと思ってこんなおばあちゃんを目指しています。理想の食のねっこには、こんな暮らし方が必要です。

●私たちに出来ることはなんでしょう?
 私たちは、子孫が健康になれる食習慣と暮らし方を残したいと思っています。もしある人が好んで食べていたものが原因で病気になったとすると、その人は病気になる食品をこの世に繁栄させたことになります。毎日のお買いものの選択が、子孫に残すものを決めていくのだということを意識すれば、出来ることは毎日たくさんあります。
 たとえば、メダカのがっこうのお米を選んで食べると、田んぼの生きものが復活し、作っている農家も元気になり、何よりも食べた本人が健康になります。
 メダカのがっこうのテーマは、食で心身を建て直し、いのちを優先する農家と力を合わせ、生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残せるような先祖になることです。
 良いご先祖様になることを意識するだけで、自分に出来ることに気が付くと思います。

16/12

恐るべき田んぼの生産力

16/11

「食は命」を知っている料理人

16/10

田の草フォーラムのことで頭がいっぱい

16/09

米飴を作ってみてわかったこと

16/08

知恵と技を極めているじいちゃんばあちゃん(ご先祖様)のあとに続け!

16/07

炭の研究開始に当たり、3人の炭焼き名人に会ってきました。

16/06

炭の力を体験しました。

16/05

生きものいっぱいの田んぼへ行こう!(メダカのがっこう紹介)

16/04

野草を愛する人は自然を理解してほしい。

16/03

もし逆表示でなかったら農産物はどういう表示になるのか
―遺伝子組み換えの表示が消されていく―

16/02

遺伝子組み換え作物に対するメダカのがっこうの考え

16/01

塩で本当に心配しなければならないこと


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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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