中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2024.01.20(第111回)
2/1「理想の給食を目指して」研修会と
2/2「夢みる給食」はリンクしていた。

 オーガニック給食がどうしたら実現するかが分かる情報が次々を世に出ています。
 まず、2月1日に「理想の給食を目指して」という研修会が武蔵野市で開催されました。
 これは、2022年10月26日の4000人を動員しての全国オーガニック給食フォーラム後に作られた全国オーガニック給食協議会が初めて主催した研修会です。午前中は自治体の給食関係者優先で、1978年以来46年の歴史がある武蔵野市の給食センターの見学と試食、午後からは研修会でしたが、会場130名の定員までの参加者と、オンライン参加450名募集一杯の参加がありました。ここで登場したオーガニック給食の成功事例は、オーガニック給食を始めようとする自治体がどんな問題を抱えていても、解決できることを示した素晴らしいもので、オーガニック給食の実現向けて、全国で活動している私たちにとってとても役立つものになりました。
 初めの基調講演が、理想の給食を長野県で実現してきた杉木悦子様でしたが、給食が教育であるために、子どもたちと土作りから栽培して収穫して献立を考えるところまで体験させ、生きるための本当の教養を身に付けさせてきた実践例をお話しいただきました。給食作り体制については、自校式が理想の姿であり、センター方式や民間委託では、教育には程遠いというものでした。
 武蔵野市の食育給食振興財団の北原理事長の発表は、その理想とは違ってしまっていても、出来るという例になりました。武蔵野市は、自校式4校、給食センター2か所の状況ですが、食材選定基準がしっかりしていて、手作りや小回りの利く設計思想の給食センターの施設を作り、武蔵野市100%出資の給食財団で調理師さんに「自分の子どもに食べさせるならどっちを食べさせるか」という意識を育てれば、給食センターでも可能であるという事例をお話しいただきました。
 また、静岡県袋井市では、既に給食が民間委託になっているにもかかわらず、自治体がおいしい給食課を作り、石塚課長と鈴木栄養士がタッグを組んで、農家を育成し、委託業者とも密にコミュニケーションをとれば、オーガニック給食は可能であるという実例をお話しいただいたのです。
 次に、長野県松川町の木下栄養士さんは、子どもたちに有機農作物を食べさせたい思いから、町の遊休農地の利用を提案し、それが有機給食とどけ隊という栽培者たちと蜜に交流して、自校式で理想の給食を実現しているお話をいただきました。印象に残ったのは、調理師さんが農家の苦労を知っているので、不ぞろいの野菜や曲がった野菜に出会っても、みんなで笑いに変えて楽しく仕事をしているというお話です。
 最後の発表は、CPPジャパンの本田恵久さんで、世界で最もオーガニック給食が進んでいるフランスの事例紹介でしたが、フランスではオーガニック給食と同時にビーガン給食が週1回決められているので、肉という高額食材が減ったおかげもあり、センターキッチン方式の今までの給食よりも、手作りオーガニック給食の方が安上がりにできるというデータが示されました。
 給食を作る体制が、センター方式でも、民間委託方式でも、行政側のコントロールがいかにできるか、子どもの健康を一番に考える心あるコミュニケーションがあれば、どんな状況下でもオーガニック給食を可能にすることが示されたことは、いろいろな状況にある自治体の希望になりました。

 この研修会冊子は、今かなり役に立つ資料だと思われるので、今後の販売を検討中です。

 この研修会の翌日の2月2日に、ドキュメンタリー映画『夢みる給食』が、アップリンク吉祥寺で封切られました。『いただきます』シリーズで、2018年から子どもたちと有機農業とオーガニック給食をめぐる素敵な作品を撮ってきたオオタヴィン監督による、「オーガニック給食」を夢みる市民、夢みる公務員、夢みる有機農家の活躍を描く映画で2週間上映されます。https://www.mahoroba-mirai.com/
 この映画のすばらしさは各地の実例だけでなく、行政を動かすのに必要な医学的な根拠を示しているところです。ハーバード大学に留学、米国先端医療学会理事で医学博士の満尾正さんの「オーガニック食材は、ミネラル含有量が多く抗酸化力が高い」という話や、国立がんセンターに勤務していた渡邊昌さんの、自らの重い糖尿病を食事で完治させた話などは重要だと思いました。
 映画では、全国で広がっている、いすみ市、木更津市、佐渡市、亀岡市、武蔵野市、松川町、薩摩川内市、瑞穂市、喜多方市のオーガニック給食の最前線を紹介しています。歴史ある東京都武蔵野市の給食・食育振興財団の栄養士、高木完治さんのお話は説得力があり、最新式の給食センターの建設でありながらも手作りがやりやすい設計思想であることが実際に見られます。こういう考えの方たちが各ポジションにいて、本気になれば、オーガニック給食は実現できるのだな〜、とよくわかりました。
 この映画、2月1日の研修会の映像版だと思いました。是が非でも、全国の首長さんと給食関係者に観てもらいましょう!その前にまず、こどもの食をオーガニックにしたい私たち市民が観ましょう。https://www.mahoroba-mirai.com/
 オオタヴィン監督は、年齢的なこともあって「夢みる」シリーズはこれで終了するそうです。上映中の「夢みる小学校」と「夢みる給食」が最後の劇場公開になるようです。劇場での公開期間は2週間だけ。監督のFBには上野樹里さんや出演者の皆さんとの上映後トークショー(ダイジェスト)動画もあがっていますよ。https://www.facebook.com/vin.oota


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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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