船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
わたしの太宰治
2019.1.8(Tue)
社名:(株)本物研究所 『舩井幸雄.com』&『舩井メールクラブ』事務局
名前:藤原 かおり

 明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
 今年の1月から(株)船井本社から(株)本物研究所になりました、『舩井幸雄.com』事務局&『舩井メールクラブ』事務局の藤原かおりです。
 ただいまグループ内での引っ越しでバタバタしておりますが、新年から新しい環境で、フレッシュな環境で仕事をさせていただいています。

 さて、今回は私がこの年末年始に読んだ2冊の本を紹介したいと思います。
 一冊目は浅見帆帆子さんの新刊『育児の合間に、宇宙とつながる』(2018年 廣済堂出版)です。
 もう17冊目になる浅見さんの日記シリーズです。旅行などの移動中に読むのにピッタリで、楽しく読め、かつ浅見さんの毎日の「運が良く幸せになる」ちょっとしたコツもさりげなく書かれています。たとえば、朝起きた時に、「今日、ものすごくいいことが起こる」と宣言することを思いつき実践されるなど、幸せを引き寄せることに真剣で、時にユニークで楽しい物の考え方も日々の生活で学べるところが多々あります。

 もう一冊は、岸田秀さんの『絞り出し ものぐさ精神分析』(2014年 青土社)です。
 過去の私の社員コラムでも岸田秀さんのことは何度も紹介したことがありますが、この『絞り出し ものぐさ精神分析』は、岸田さんがさまざまなところで書かれた記事やエッセイを一冊の単行本にまとめられています。岸田さんに舩井メールクラブに寄稿いただいた【聖俗分離と和魂洋才】も掲載されています(これについてはもちろん、先方から事前に連絡があり、掲載の承諾をしています)。

 その中の一つに【わたしの太宰治】というタイトルの記事がありました。
 太宰治の作品の代表作の『人間失格』は、そのショッキングなタイトルから、誰でも少しは惹かれたり、読んだことがあったりする本ではないでしょうか。私も10代か20代の頃、『人間失格』を読み、その後少し太宰治にはまり、『斜陽』や『ヴィヨンの妻』などを読んだ記憶があります。いまではすっかり関心はなくなってしまいましたが、この岸田さんの太宰治論がとても秀逸で、さすが、と思ってしまいました。長くなりますが、以下に主要な箇所を引用させていただきます。

わたしの太宰治

 太宰治は、わたしが若いころ、えらく惹かれて読みあさり、その後、嫌いになり、そのうちいつの間にか、関心を失った作家であるが、関心を失ったといっても、いつも心の隅のほうで何か引っ掛かっていた。
 (中略)
 太宰治が好きな一部のファンは、彼が好きだということを自信をもって堂々と表明することにためらいがあるようで、何か恥ずかしいような、テレ臭いような、うしろめたいような気がするらしいが、それは、彼らが、彼の作品に見出す心情が、あまり認めたくないが心のどこかで抑えがたく感じている心情だからであろう。
 日本人一般に広く見られるが、あまり好ましいとはされていない心情とは、わたしのみるところ、対人恐怖ではないかと思う。
 わたしは、以前、『幻想の未来』という本で、日本の精神医学の専門用語はほとんど外国語からの訳語であるが、対人恐怖は少ない例外の一つで、これに当たる外国語はなく、それは、この神経症が日本人特有だからであると論じたことがある。詳しくはその本を読んでもらうしかないが、簡単に要約すると、日本人は人々の気持ちを重んじ、配慮する。そのため、人々の気持ちを傷つけ、人々に嫌われ、蔑(さげす)まれ、憎まれることを非常に恐れる。それに反して、一神教の欧米人は神を恐れるが、他の人々のことはあまり気にしない。この違いに、もっぱら日本人に対人恐怖症という特異な神経症が発生した根本的理由があると、わたしは考えている。

 なぜ、日本に対人恐怖症が発生したかは次のように説明できる。近代において、他の人々のことをあまり気にしない欧米人に接して軍事的、政治的、文化的に敗北したと思った日本人は、他の人々のことを気にしない(というか、他の人々の気持ちを平気で踏みにじるように日本人には見えた)欧米人の特徴を「強さ」と誤解し、欧米人に対抗するためには欧米人のように「強く」ならなければならない、欧米的な強い「近代的自我」を確立しなければならないと思い込み、伝統的な日本文化においては人間として当然のことであった、他の人々の気持ちに対する配慮を「弱さ」として弾圧するようになった。
 欧米人が日本人ほど人々を恐れないのは、神を恐れるからであり、それは文化の違いであって、欧米文化が神への恐れを基軸として秩序を維持しているように、日本文化は人々への恐れを基軸として秩序を維持している。したがって、いくら欧米人に対抗するためとは言え、人々に対する配慮を否定するなら、日本文化が崩れ、世界秩序が失われるのだから、当然のことながら、日本人から人々への配慮と恐れをなくすることはできない相談であった。
 ところが、おかしなことや愚かなことや変なこともするいろいろな面白い神々が八百万もいる日本にいて、復讐の神、処罰の神、嫉妬の神である全知全能の唯一絶対神の恐ろしさなどには考えが及ばない日本人は、一神教がどういう宗教であるかがあまりよくわからなかったので、欧米人が人々を恐れないのは、人間なんかよりはるかに恐ろしい神がいるからであることに気づかず、欧米人がいかなる恐れからも超然とした自主独立の人間であると錯覚したのであった。
 人々に対する配慮は、人間として当然のことであると意識的に称賛されていれば、確信に支えられた統一的体系として道徳の規範となり得るが、否定されて無意識へと抑圧された「人々への配慮」は、意識においては正当な根拠が見えなくなるので、心情としては同じものであっても、不合理で病的な「対人恐怖」となって、意識へと戻ってくる。それは、人々を恐れて卑屈に人々のご機嫌を伺い、自信なく不安に駆られてむやみに人々に気に入られようと焦る見苦しい傾向となる。すると、もともとは人々の気持ちに対するやさしい配慮であった心情が克服しなければならない病的症状、すなわち、「対人恐怖」となった。
 そこで、このような見苦しい「弱さ」を否定して、「強く」なろうとするが、その努力は文化的基盤を欠いているために必然的に挫折し、「対人恐怖」に足をすくわれてあがく神経症の患者が近代以降の日本人に数多く見られるようになった。近代日本人において、「対人恐怖」を克服しようとする意識と、依然として「対人恐怖」が存続する無意識とが葛藤するようになった。日本の精神医学は、それを対人恐怖症と名づけたのである。太宰治の『人間失格』の主人公、大場葉蔵はまさに典型的な対人恐怖症の症例と言えよう。

 『人間失格』は、太宰治の多くの作品のなかでもとくによく読まれる作品とのことである。近代において公式的には克服すべき「弱さ」として侮蔑されてきた心情であるが、日本人の多くが、なぜか納得できず、心のどこかでこれこそは人と人とのつながりを支えるものではないかという気がして否定しかねている心情と、それに関する葛藤を、これでもか、これでもかとあますところなく徹底的に描いた作品が『人間失格』ではないかと思う。
 葉蔵が東北生まれで、しかも末っ子であり、彼の父親が中央政界に活躍する政治家であるというのも、話の筋にうまく沿っている。東北の諸藩が戊辰戦争で官軍(西軍)に敵対したためもあって、東北地方は明治維新後には新政府に差別されて、いささか近代化に後れを取った、あるいは近代化になじまなかった地域であり、また、中央政界に活躍する政治家というのは、そのなかでは中央につながっている人物である。

 葉蔵の「第一の手記」は、「恥の多い生涯を送って来ました。自分には、人間の生活といふものが、見当がつかないのです」という文に始まるが、まさに、近代化からの落伍者である葉蔵は、近代人としての正しい生き方とはどういうことか見当がつかず(「自分には自人間の営みといふものが未だに何もわかっていない」)、その正しい生き方から外れているので、恥に恥を重ねる生き方しかできない。
 当然、彼は対人恐怖症となり、「人間に対して、いつも恐怖に震ひをののき、また、人間としての自分の言動に、みぢんも自信を持て」ないし、「自分の人間恐怖、それは以前にまさるとも劣らぬくらい激しく胸の底で蠕動していました」。これは、葉蔵に誇張された典型的な形で表れているが、従来の生き方を否定されて何やらよくわからない強い「近代的自我」とやらを確立しなければならないと思い込んでいたが、どういうわけかうまくゆかなかった日本人の一般的な精神状態であった。
 (中略)
 葉蔵は「……考へれば考へるほど、自分には、わからなくなり、自分ひとり全く変っているやうな、不安と恐怖に襲はれるばかりなので……そこで考へ出したのは、道化で」あった。道化というのは、対人恐怖をごまかすためには有効は方法であろう。
 彼は「ばれるにきまっているのに、そのとほりに言ふのがおそろしくて、必ず何かしら飾りをつけるのが、自分の哀しい性癖の一つで……自分は自分に利益をもたらさうとしてその飾りを行った事はほとんど無く、ただ雰囲気の興ざめた一変が、窒息するくらいおそろしく」、「自分はひとと言ひ争ひの出来ない質で」、「自分の不幸は、拒否能力の無い者の不幸でした。すすめられて拒否すると、相手の心にも自分の心にも、永遠に修繕し得ない白々しいひび割れが出来るやうな恐怖におびやかされる……」ので、道化によってその恐怖をごまかさざるを得なかったのであった。
 (中略)
 葉蔵はこのように次から次へとえらく女たちにモテてモテてモテまくるが、近代化を急いだ男たちと違って、少なくとも女たちには葉蔵のような男が愛され、受け容れられる世界を太宰治は夢見ていたのであろうか。
 日本の近代化には、少なくとも精神的な面では大きな無理があり、いまだに日本人の心に深い傷跡を残していると、わたしは考えているが、『人間失格』は、近代化は止むをえなかったとしても、果たして本当に必要であったかと何となく割り切れない思いをしている多くの日本人に訴えるところがあるのだろう。(転載ここまで)


 いかがでしょうか。日本人として少しは共感できるところはないでしょうか? 今年は天皇陛下が替わり、年号も変わる大きな節目となる年ですし、改めて日本人のこれまで歩んできた道を振り返るのにいい時期だと思います。


〇●〇舩井幸雄オープンワールド、舩井フォーラムを継承!!●〇●
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【日時】 2019年6月16日(日)10:00〜18:30(予定)
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◇主催:株式会社本物研究所
◇お問い合わせ:TEL:03-3262-1271 FAX:03-3262-0051(担当:営業グループ)


2周目:「鳥インフルエンザからニワトリを想う」
3周目:「日本の独立と個人の自立」
4周目:「資本主義について思うこと」
5周目:「“野性”を目覚めさせるには・・・」
6周目:「にんげんクラブ全国大会で気づいた“つながり”」
7周目:「歪みを正す方法」
8周目:「“グレー”からの脱却」
9周目:「“コンサバ”に思う」
10周目:「“野菜”は本当に健康にいいのか?」
11周目:「ロンドン・シティで感じた意外な“気”」
12周目:「フリーエネルギーとUFOの関係」
13周目:「最近読んでショックを受けた本」
14周目:「“寄り添う”ということ」
15周目:「“五井野イズム”に触れて……」
16周目:「秘伝のお茶と新コラム」
17周目:「偶然とは思えない3つのこと」
18周目:「「本物」は野性的!?」
19周目:「日本人の「水戸黄門」幻想」
20周目:「嫉妬の時代」
21周目:「久しぶりに会った舩井幸雄」
22周目:「舩井幸雄との出会いを思い出してみました。」
23周目:「後から思い出してみるといろいろシンクロがあったこと。」
24周目:「竹中平蔵とは何者か。」
25周目:「足指から目覚める?」
26周目:「舩井SAKIGAKEフォーラムが無事終わりました。」
27周目:「私にとっての12月25日」
28周目:「“本物の健康”を追求するセミナー」
29周目:「最近ビックリした、アンチエイジングのエネルギー」
30周目:「舩井幸雄の「氣」の力を想う」
31周目:「「願い」のちから」
32周目:「本物時代の到来」
33周目:「Dr.コパさん」
34周目:「一神教vs多神教」
35周目:「空海から義経へ」
36周目:「“ミンパク”を知っていますか?」
37周目:「人生に難がやってくる意味」
38周目:「旅先でのシンクロ」
39周目:「オザケンの「うさぎ!」」
40周目:「宇宙での生活」
41周目:「最近のおススメ!2つ」
42周目:「竹田和平さんがメンターと出会われた神社」
43周目:「『君の名は。』とムー」
44周目:「卵がけごはんがごちそうになる・・・」
45周目:「「雑草魂」はもう古い?」
46周目:「銀座のはちみつ」
47周目:「ひょっこり見つかった舩井幸雄の健康情報」
48周目:「加計学園問題で揺れる今治市の可能性」
49周目:「“品格”について考えてみる。」
50周目:「“差別”から歴史を読み解く岸田秀さん」
51周目:「おすすめワイン」
52周目:「会津への旅」
53周目:「究極の“じっくりコトコト”」
54周目:「バリ島でのニュピ体験」
55周目:「「舩井フォーラム ザ・ファイナル」と生アーモンド」
56周目:「リピート必至の逸品」
57周目:「ドアーを閉めさせていただきます」
58周目:「都内でも八十八ヵ所巡り」
59周目:「健康指南 〜アーユルヴェーダより〜」
60周目:「おやつの力」
61周目:「昭和が歴史になる前に読んでおきたい本」

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