船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井幸雄グループスタッフによるコラムページです。
日々仕事をする中で感じていることなどを自由に語ったページです（このページでは、便宜上、船井幸雄を“船井会長”と呼び、敬語表現を使わせていただいています。ご了承ください）。

所持金なし
宿もなし
仲間も家族もなし
何ももたず、着の身着のまま
そんな状態で東京のど真ん中にあなたは立っています。

想像してみてください、そんな状態の自分を
さてあなたは何を感じましたか？

皆さま、こんにちは
（株）船井ビジョンクリエイツの渋沢です。
秋の夜長にはまだまだですが、朝晩はだいぶ涼しくなってきましたね。


さて、『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』（太田出版　坂口恭平著）という書籍があります。

著者は
人間が土地を所有していいのだろうか。
誰がそんなことを許可したのだろうか。
地上は地上、地下は地下でそれぞれ売買されているのだろうか。
水だってそうだ。だれが作ったものでもない自然からの恵みであるのに、管理してお金を払わないと飲ませないということは
逆に水を独占していると考えられないだろうか。

という疑問から端を発して、路上生活者に興味を抱くようになります。
この書籍では主に路上生活者の生活をクローズアップしています。
著者は彼らを都市の中で唯一、自力で「家」や「仕事」を、つまりは「生活」を
発明しながら生きていると考えたからです。

著者は言います。

何もシステムや法律を変えろと言うつもりはない。
ぼくらの抱いている「家」「仕事」「生活」についての先入観をひとつずつ疑っていくこと。
ぼくらがひとりひとりの思考を転換させ、新たなる視点を加えること。

環境やシステムは何一つ変化させなくてよい。
必要なのは自身の思考の解像度を上げ、無数の視点を獲得し、創造的に生きる方法を見つけること。
そのとき、政治・経済・労働、あらゆるものから解放され、あなた自身にしかできない生活を獲得するだろう、と。

著者は多数の路上生活者から聞いた言葉をこう総括しました。
「人間、どんな状態になっても、ぜったいに生きていけるよ」

今の時代、あらゆる経済や企業が実は幻のようなものであり、そこに安定などないことが明らかになってきました。
そんな時代だからこそ、人間にとって、生きていく上で本当に必要なものは何か、どんな知識を持つべきなのか、どんな
道具を手にすべきなのかを真剣に考えていくことが重要になります。

政治家がどうだ、経済がどうだなんだ、足のひっぱりあい、悪口、罵り合い、批判などをしたってどうしようもないですよね。
そんなことしている暇があるのなら、さっさと自分が快適と思える空間を創造していくほうに時間をかけたほうが手っとり早いですよね。
その創造の際に「ゼロの概念」がキーポイントになってきます。
詳細はここで述べると長文になってしまいますので割愛します。
『ＳＷＩＴＣＨ』という雑誌の特別編集号に中沢新一氏との対談が掲載されています。
ぜひこちらも読んでみてください。


年若き男子に手にとって読んでもらい、心を震わしてもらいたいものです。


２３周目：「なんとなく、それとなく　（テーマ：私が日々思ふこと）」
２４周目：「春宵十話　（テーマ：最近読んでオススメしたい本）」
２５周目：「沖縄考　（テーマ：私から皆さまにお伝えしたいこと）」
２６周目：「眠れぬ夜の過ごし方　（テーマ：私から皆さまにお伝えしたいこと）」