ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2014.10.01(第8回)
抑圧されたものの噴出

 10月になりました。今年も残すところあと3ヵ月です。みなさんも感じている通り、世界の情勢はどんどん不安定になっていますので、これから3ヵ月で予想を越えた出来事が起こり、世界の流れが大きく変化がしてしまう可能性もあります。

●抑圧されたものの噴出
 このコラムを始めたのは今年の3月でした。そのときからこのコラムでは、「抑圧されたものの噴出」という言葉をキーワードにして、これから世界でどのようなことが起こるのか予測してきました。

 どの社会や民族にも、戦争、虐殺、弾圧、占領などの過去の悲劇的な歴史が形成したトラウマが存在します。個人と同じようにこうしたトラウマは、自分を虐げた社会や民族に対する強い悲しみや怨念、また怒りや憎しみ、そして恐怖という強い否定的な感情を内包しています。

 日本であれば、太平洋戦争のときの空襲や原爆の投下、そして食糧難などの体験でしょう。

 そうしたトラウマの感情が蓄積されている地帯は「社会的断層」と呼ばれ、地震の活断層と同じような働きをして、社会変動の原因になったりします。
 普通、特に大きな社会的な出来事がない状況では、「社会的断層」の存在にはだれも気づきません。ところが、何かの事件によってこれが刺激されると、「社会的断層」に蓄積されている感情の強いエネルギーが爆発し、多くの人々が同じ方向に一斉に動き、社会の方向性を変化させたりします。

 この感情は集合的なものです。その社会や民族の一員であれば、ほとんどの人が共有しているものです。個人としての私達の心は、決して孤立しているわけではありません。個々人の心の一部は、社会や民族全体の集合的な無意識とつながっています。集合無意識に内在している内容の一部こそ、歴史的に形成された民族的、社会的なトラウマです。要するに「社会的断層」とは、トラウマが内在している集合無意識の特定の層のことなのです。

 ですので、ほとんどの個人は、社会や民族の集合無意識とつながっています。なので、「社会的断層」が刺激され、活動を開始すると、私達個人もあふれ出てくる否定的な感情のうねりに飲み込まれ、この感情にプログラミングされている方向に集団で動いて行きます。
 多くの戦争や虐殺がこのようにして発生しました。これが歴史の悲劇の真相です。

●抑圧されたものが噴出した2014年
 さて、私はこのコラムで世界の多くの地域で「社会的断層」が刺激され、「抑圧されたものの噴出」、つまり集合無意識の歴史的なトラウマに内在している否定的な感情が爆発して、大きな混乱が広まる時期に入ったと予測しました。
 このような視点から2014年を振り返るとどうでしょうか? 起こった出来事をざっと見るだけで、「抑圧されたものの噴出」が各地で起こったことがよく分かります。

 ウクライナとロシアの歴史的なトラウマが背景に起こったウクライナの政変とクリミアの併合、そして、やはり歴史的な相互不信が原因で激化したロシアと欧米との敵対関係。
 また、イスラムの欧米に対する鬱積した怨念を象徴する「イスラム国」の拡大。やはりイギリスやスペインに対する歴史的な違和感と怒りを代弁したスコットランドやカタルーニャの分離独立運動。さらには白人警察官による無防備な黒人青年の射殺から拡大したアメリカの抗議運動など、どれも「社会的断層」にトラウマとして抑圧されていた否定的な感情のエネルギーの噴出が引き金となった出来事です。

●2015年以降の未来
 では、2015年以降はどうなるのでしょうか? もっとも気になることです。
 しかし「抑圧されたものの噴出」とは、通常の政治や経済の論理から予測できるようなものではありません。なぜなら、「抑圧されたものの噴出」とは、論理的な予測を越えた突発的な出来事、つまりブラックスワンだからです。
 このような状況で予測が可能だとすれば、民衆の集合的な感情と無意識の動きを把握し、その地点から流れの変化を掴むことのできる人間でなければならないでしょう。

●注目すべき研究者、ジョン・ホーグ
 そのような人物はいるのでしょうか?
 私はジョン・ホーグという人物に注目しています。
 ジョン・ホーグはノストラダムスの世界的な解説者として有名で、ノストラダムスと占星術を用いた「予言者」として広く知られている人物です。

 ネットラジオやテレビ番組などでは、ホーグはよく「在野の哲学者」として紹介されています。この呼称が示しているように、ホーグの手法は、世界と社会の深層に存在している集合無意識の動きを読み取り、これから起こる出来事を把握するという、深層心理学者のカール・グスタフ・ユングと類似した方法論を用いています。そしてホーグは、集合無意識の解読の方法として、やはりユングと同じように、ノストラダムスや占星術を積極的に用います。

 ですが、ホーグを際立たせているのはそうしたオカルチックな手法ではありません。豊富な歴史の知識と徹底した社会分析から、歴史の深層に流れる広大な集合無意識の層を突き止め、その動きから未来を形成するトレンドを探り当てるアプローチなのです。
 その意味でホーグは、「在野の哲学者」というだけではなく、「集合無意識の歴史家」とも呼べる人物です。ホーグは、人々の好奇心の対象として消費されるいわゆる「予言者」ではありません。
 ホーグは、抑圧された集合無意識の動きから歴史の変化を読み取る方法の先駆者です。

●2014年予言
 こうしたジョン・ホーグですが、今年の1月に『2014年予言』という電子書籍を発表しました。すでに9ヵ月も前の予言書ですが、この本ほど2015年以降の未来を鮮明に描写したものはありません。実際の本はとても長く内容が豊かなので、そのほんの一部を要約的に紹介しましょう。

●2014年予言、要約

・未来とはなにか?

 「歴史は繰り返す」というが、これは同じ出来事が繰り返すことを意味するわけではない。科学やテクノロジーを発展させ、矛盾の少ない社会制度を立案する人間の理性の力の奥底には、動物的で荒々しく、まったく飼いなされていない集合無意識の感情的な力が荒れ狂っている。これは、過去から永遠に存在している人間の無意識の力だ。

 理性の岩盤がかち割られ、集合無意識の荒々しい力が外に噴出してくると、あらゆる個人の心はこの津波のような力に押し流されてしまう。それが起こると、歴史の流れは集合無意識にあらかじめプログラミングされた方向に動いて行く。過去、幾度となく行われた戦争、虐殺、破壊などは、このプログラミングのなせるわざだ。

 歴史の大きな変化は、集合無意識の噴出が決定的な役割を果たす。その意味で言えば、我々の「未来」とは、過去から永遠に続く「集合無意識」という「過去」の再現なのである。つまり、厳密な意味で歴史が繰り返すことはない。だが、「未来」を形成するのは集合的に受け継がれた「過去」にほかならないのだ。これが我々の「未来」である。「過去」こそ「未来」を生成するものなのだ。

・1914年と2014年

 では、いままさに集合無意識から現れようとしている我々の未来とは、どのような姿なのだろうか? そのヒントになるのは、2014年こそ第一次世界大戦が勃発した1914年の100周年であるという事実だ。

 第一次世界大戦は、それ以前のヨーロッパを中心とした世界秩序を完全に破壊した。
 1914年以前は、経済のグローバリゼーションと科学技術の急速な発展という、まさに理性の合理的な力がもたらした繁栄を享受していた。国際紛争は、大きな戦争にならないように、ヨーロッパ各国の王侯貴族が密接に結び合ったネットワークのなかで管理され、安定した国際秩序の維持に成功していた。それは、王侯貴族と特権階級である外交官が活躍する壮麗な世界であった。事実、ヨーロッパで戦争は43年間も起こっていなかった。

 これを180度変えたものこそ、第一次世界大戦だった。第一次世界大戦は、周到に計画されて起こった戦争ではまったくない。理性の勝利によって、経済や政治を完全にコントロールしたと思い込んだ傲慢さの背後で、抑圧された暗く動物的な集合無意識の力がなんの前触れもなく突然と解除されてしまったのだ。

 集合無意識の力がもたらす破壊は壮絶なものだった。オスマントルコ帝国やオーストリー・ハンガリー帝国、そしてロシア帝国は完全に消滅し、ドイツ帝国は崩壊した。そして、それとともに、長い間ヨーロッパの国際秩序を管理していた王侯貴族の世界は、それを支えていた伝統的な階級社会とともに吹き飛んでしまった。第一次世界大戦前と後の世界では、ほとんどなんの共通点もないほどに変化してしまった。

 2014年のいま、100年前と同じことが起きようとしているのだ。読者の方々は、自分の内面に、また社会の激しい動きのなかに、集合無意識が息を吹き返し、荒々しいエネルギーの発散をはじめたのを感じないだろうか?
 2014年のいま、まさに100年前の過程が再現されようとしている。
 おそらく、第一次世界大戦の終結100周年にあたる2018年には、かつてと同様、世界の様相は相当に異なっているはずだ。

・2014年に始まる根本的な変化

 では我々の集合無意識は、100年前と同じように、世界大戦へと我々を追い込んでいるのだろうか? いや、そうではない。これから破壊されるのは、コントロールがつかないほど肥大化した金融システムと、それに過度に依存した現代の経済システムである。

 2014年から2018年にかけて、世界経済は1930年代の大恐慌を上回る不況に突入する。これが引き起こされる原因は、民衆の怒りというかたちをとる、激しい集合無意識の炸裂だ。

 過度なグローバリゼーションは、低賃金労働の導入で中間層を没落させ、地域の住宅街を中心とした共同体を消滅させた。多くの人々の生活は先が見えないほど不安定になり、これまでの慣れ親しんだ安定した生活世界は消え去ってしまった。
 グローバリゼーションはほんの一部の人々に莫大な富を残したものの、大部分の人々には極端な格差しか残さなかった。
 この恨みが、集合無意識の荒れ狂う力を解除させ、世界各地で激しい抗議運動に火を付ける。

 トルコ、ブラジルなどの新興国ではこうした抗議運動はすでに起こっているが、新興国の経済の停滞が続くにしたがって一層激しいものとなろう。
 またアメリカでは、これまでにない激しい抗議運動が全米各地で起こるはずだ。

・基軸通貨としてのドルの凋落

 集合無意識の発散である激しい抗議運動で、経済は一層停滞する。この停滞は2014年から始まり、2018年までどんどん悪化する。
 この過程でもっとも不安定になる国のひとつはアメリカである。
 アメリカ経済は凋落し、基軸通貨としてのドルの信頼は揺らぐ。その結果、2016年頃になると、ゴールドによって価値を保証された中国の元が、安定的な基軸通貨として認知される。その頃になると、世界には上海とニューヨークという2つの金融センターが存在し、ニューヨークは上海の補完的な役割を果たすような存在でしかなくなる。
 これは、第一次世界大戦で、ロンドンが凋落するとともにニューヨークが新たな金融センターとして台頭したことと同じような歴史の過程である。

・アメリカの混乱と生まれ変わった国家

 しかし、それでもアメリカ国内の混乱は収まらない。2016年から2018年には反乱と暴動は国内各地で拡大し、手が付けられなくなる。
 1776年にアメリカは、独立戦争を戦い抜き、イギリスから独立した。そのときは、よく組織された民兵の集団が独立戦争を戦った。
 だが21世紀の内乱はそうではない。組織されない群衆による内乱と暴動が全米で散発的に発生する。

 このような不安定な状態は、少なくとも2020年までは続く。そして、この頃から大きな転換が始まる。より公平で民主的な社会制度を保証した新しい憲法が制定され、これをきっかけとしてアメリカは、2024年頃には新しい国家として再生する。新生合衆国の誕生だ。

・中国の未来

 2014年から始まり、それから数年間続く大恐慌を、強力な中央集権国家である中国はうまく乗り切る。そのため、世界における中国の立場は強まり、2016年頃には、元はドルに変わる世界通貨となる。これで世界経済は、中国を中心に循環するようになる。
 中国の国家資本主義のモデルがアメリカに勝利したと思い込み、共産党の自信は絶頂に達する。

 一方、傲慢になった共産党は、公正な社会制度と民主的な政治制度を求める国民の要求を抑圧し、共産党の既得権益を維持する道を選択する。国民の要求を受け入れた抜本的な改革は実施しない。
 しかし、この判断は誤りであったことが明らかになる。中国は世界的な覇権国になったように見えるかもしれないが、中国の一人勝ちの状態はあまり長くは続かない。2024年頃になると、生まれ変わったアメリカが、中国に挑戦する大国として台頭するからだ。これに伴い、中国の国力に次第に陰りが見え始める。

 そのとき、抑圧された国民のエネルギーは臨界点に達し、爆発する。
 これ以降、中国は混乱期に入り、かつてのアメリカと同じように大きく変質する。

 もし中国の指導者が、2014年から2016年に間に、傲慢になることなく、国民の要求に耳を傾け、国民の要求する改革を実施するならば、このような未来は避けられるに違いない。ずっとバランスのよい未来となるに違いない。

・日本

 さて、次は日本である。日本のナショナリズムの台頭に脅威を感じているヤスシ(筆者)という日本の読者から、以下のようなメールをもらった。

 「私は長年あなたの予言を読んでいる日本の読者です。今回も早速『2013年−2014年予言』を購入し、読ませていただきました。ただ、残念なことに、日本の未来に関する予言はあまりありませんでした。

 いま日本は大変に危険な右傾化の道をたどっているように思います。日本が世界を救う使命のある選ばれた国であるとして、以下のノストラダムスの予言がよく引用されます。

 「日の国の法と金星の法が競い合う
 予言のエスプリを我が物としながら
 双方互いに耳を傾けないが
 大きなメシーの法は日の国によって保たれるだろう」
 (「諸世紀」5巻53番)

 この四行詩は本当に日本について述べた予言なのでしょうか? ご意見をお聞かせいただけるとうれしいです。

 日本はいま大きな転換期にあります。これからどうなるのでしょうか? 日本の未来に関する予言もお教えいただけるとありがたいです」

 上のメールに対する私の答えはこうだ。

 人間の意識にとって、ナショナリズムは癌のようなものである。ナショナリズムの高まりは、国家という共同体に一体感を感じる興奮状態をもたらす一方、他国に対する抑制のない敵意と憎しみという、集合無意識に内在した激しい感情を惹起する。この感情は津波のように個人を飲み込んで行く。これに飲み込まれてしまうと、個人は国家と一体化してしまい、個人としての合理的な判断力を失ってしまう。

 2014年からは、中間層の没落と格差社会からくるストレスが臨界点に達し、世界各地でナショナリズムが席巻する時代に入った。

 これは日本でも同じである。これまで日本人の心の奥底に抑制されていた、偉大な国家に対する熱情が吹き出している。これからの日本の未来の方向性は、この熱情の炸裂で決まってくることだろう。

 そのため、日本は中国と武力衝突する危険性が高い。私は日本と中国は、2014年から2015年のはじめまでに、尖閣諸島の領有権を巡って武力衝突することになると見ている。

 ところでナショナリズムだが、これは自分たちの国が神に選ばれた特別な国だとする感情が前提になっている。このための好都合の材料として、ノストラダムスが引用されることがしばしばある。ドイツでも、また中国でもノストラダムスが自国の特殊性を証明するために使われている。上の例はまさにそうしたものの一つだ。

 ☆    ★    ☆

 今回はこれくらいにします。いかがでしたか? ジョン・ホーグは2018年頃になると、世界の様相は根本的に変化すると言います。どうでしょうか?

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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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