ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2020.03.01(第73回)
新型コロナウイルスの疑惑

 新型コロナウイルスの蔓延が止まらない。日本も臨戦態勢で、全国の小中学校、ならびに高等学校の休校を決定した。まさに異例の事態である。
 そうした状況で、あいかわらずネットでは新型コロナウイルスの起源に関する疑惑が拡散している。さすがにビル・ゲイツ犯人説のような根拠が怪しい説は消え去ったものの、それとは異なる説が拡散している。それらには、具体的な根拠となる事実があるように見えるものもいくつかある。
 今回はそうしたもので、比較的信用されているものを2つ紹介する。それらはすでに日本でも有名ブログなどで紹介されているので、知っている読者も多いかもしれないが、この記事では、そうした情報の根拠を確かめるファクトチェックを行うことにする。意外な事実が見えてくる。

●新型コロナウイルスは人工的に組成?
 最初は、今回の新型コロナウイルスが人工的に組成された可能性を示唆した論文の発表である。
 1月30日、現在武漢をはじめ感染が拡大している新型コロナウイルスから、自然界には通常存在し得ない「不自然な組成」を発見したとの論文が、プレプリントサーバ「bioRxiv」に投稿された。投稿したのは、インド、ニューデリーの研究者らである。以下が論文の題名だ。

「Uncanny similarity of unique inserts in the 2019-nCoV spike protein to HIV-1 gp120 and Gag」

 普通、科学論文が発表される場合、同じ分野の研究者による査読が条件となるが、「bioRxiv」サーバーは、生化学の分野で査読される以前の、いわば未完成の論文を自由に投稿できるサーバーだ。「コールドスプリング・ハーバー研究所」という機関が運営しており、科学的な発見をすぐに発表できるサイトとして活用されている。
 この論文によると、現在流行している新型コロナウイルスを、同じ祖先をもつ「SARS」のコロナウイルスと比較すると、他のコロナウイルスには存在しない4種のアミノ酸残基の配列が見られたという。普通、短期間でこのような突然変異は見られないという。そして、この変異した配列が、人に感染した際のウイルスの生存率と感染力を増大させ、また、宿主の範囲も増やした可能性もあるとも指摘した。
 そして、この論文が注目されたのは、この変異した配列が、「ヒト免疫不全症候群(HIV)」と一致していたということだった。論文の著者は、これは「自然界で偶然、起こるとは考えにくい」と述べ、今回の新型コロナウイルスが、実は人工的に組成された可能性があることを匂わせた。

●批判と論文の撤去
 今回の新型コロナウイルスは中国が開発した生物兵器ではないのかとの疑念があったため、この論文はそれを裏付けるものとして受け取られ、一気に拡散した。しかし、これが科学論文であったため、多くの医学者や研究者から批判があった。
 そうした批判には研究の手法に疑問を呈したもののほか、たとえ「ヒト免疫不全症候群(HIV)」と一致した4種のアミノ酸残基の配列があったとしても、これが自然な突然変異ではないと結論づける根拠はまったく提示されていないという批判が多かった。つまり、突然変異ではないことが証明されていないので、意図的に作られたかもしれないという論文の主張は成立しないということだ。
 論文の思わぬ拡散とこうした批判を受け、2月2日、論文の著者はこれをサーバーから撤去した。また、ジャワハルラルネルー大学分子医学特別センター准教授のアナンド・ランガナタン氏は、中国が新型コロナウイルスの組成に関与していたのではないかとするコメントをツイッターに投稿したが、これも削除した。
 こうした経緯で論文とツイートが削除されたので、論文の信憑性にも疑問が出ている。しかし、この未証明の論文の拡散は止まっておらず、あたかも新型コロナウイルスが中国の生物兵器であることの動かぬ証拠としてネットでは拡散している。
 筆者は、新型コロナウイルスが生物兵器である可能性は否定できないと思っている。しかし、この論文だけではその証拠としては十分ではないだろう。
 事実、「bioRxiv」サーバーには現在多くの新型コロナウイルスに関する論文のが投稿されているものの、それらは査読を受けていないので、なんらかの結論が出たものと解釈したり、臨床実践などに用いたり、メディア等で取り上げるべきではないという注意喚起が、同サーバーではなされている。
 やはり感染者の広がりのパターンを見ると、野生動物の肉などを売っていた「武漢海鮮市場」から感染は拡大している。また、コウモリが持つコロナウイルスと今回のウイルスが96%一致していることから、コウモリから感染して「武漢海鮮市場」で売られていた野生動物が感染源になった可能性が一番大きいようだ。

●新型コロナウイルスはカナダから運ばれた?
 次に、いますごい勢いで拡散しているのが、今回の新型コロナウイルスはカナダの研究所から中国のエージェントによって武漢に運ばれ、リークされたものであるという情報だ。
 これは、有名なヘッジファンドのマネージャーで、日本国債の先物売りを仕掛けながらも何度も失敗しているカイル・バスという人物の行ったツイートが情報源だ。ちなみにカイル・バスは、ホワイトハウスの元主席戦略官であったスティーブ・バノン、そして中国の不動産王でいま中国の反政府活動を主導しているマイルス・クワークと一緒に、中国共産党を打倒する運動を中国国外から行っている。
 その情報によると、今回の新型コロナウイルスは、カナダ、ウィニペッグにある「国立微生物学研究所(NML)」から「武漢ウイルス研究所(正式名称は「中国科学院武漢防毒研究所」)」に中国のエージェントと思われる人物によって運ばれ、そこからウイルスが漏洩したとする情報だ。
 2012年にサウジアラビアで「MERS」の感染の拡大があった。2013年にカナダの「国立微生物学研究所(NML)」は、オランダの研究機関から研究用としてこのコロナウイルスを分けてもらった。その後、「国立微生物学研究所(NML)」では数年にわたりこのコロナウイルスの培養と研究が行われた。
 しかし、2019年3月、コロナウイルスは何者かの手によって運び出され、「武漢ウイルス研究所」に送られた。運び出した人物は、邱香果博士(Dr. Xiangguo Qiu)とその夫でやはりウイルス学者の成克定博士(Keding Chang)であった。
 ちなみに邱香果博士は、同研究所の「ワクチン開発と抗ウイルス治療部門」の責任者である。邱香果博士は、2017年から18年の1年間で少なくとも5回、「武漢ウイルス研究所」を訪れている。こうした経緯で運ばれた新型コロナウイルスが、意図的にか、またはなんらかの事故で武漢で漏洩して、いま感染を広げているという。
 中国共産党は、生物兵器の開発のみならず、これを脳科学、スーパーコンピューター、そしてAIなど最先端技術と融合する新技術を開発している。2016年に「中央軍事委員会」は、こうした新しいコンセプトの技術開発のプロジェクトに資金を提供している。邱香果博士とその夫、そして彼らと協力した数名の中国人科学者は、生物兵器の開発を急ぐ中国政府のエージェントであるのではないかという。
 現在、邱香果博士とその夫は「王立カナダ騎馬警察(カナダの警察)」によって逮捕されている。「ワクチン開発と抗ウイルス治療部門」の責任者を解任され、また、「国立微生物学研究所(NML)」も解雇された。

●専門家の証言
 こうした情報だが、これは他の専門家によっても同じような内容が確認されているので、信頼できる情報としてすごい勢いで拡散している。
 その専門家とは、フランシス・ボイル博士だ。ボイル博士はイリノイ大学法学部の教授で、生物兵器を禁止した1989年の「生物兵器反テロ法」をまとめた人物のひとりだ。
 ボイル博士によると、中国は間違いなく生物兵器を開発しており、「WHO」もそれを知っていることは私は分かっているという。さらに、カナダの「国立微生物学研究所(NML)」からコロナウイルスが武漢に運ばれて使われたという情報もおそらく事実だろうとした。
 ネットラジオのインタビューでボイル博士はこのように発言したため、中国のエージェントである邱香果博士とそのチームによって新型コロナウイルスが「武漢ウイルス研究所」に運ばれたという情報は信憑性を増し、すごい勢いで拡散している。

●果たしてこの情報は本当か?
 先のカイル・バスがこの情報を投稿した後、陰謀系も含め、あらゆる情報を紹介している「ゼロヘッジ」に紹介された。その後、さらに詳しい情報が加えられ、インドを中心とした地政学のオンラインメディア、「グレートゲームインディア(GreatGameIndia)」でまとまった記事となり、さらに拡散した。このサイトはインドが地域覇権国となることを主張するナショナリスティックなサイトだ。パキスタンと中国に対する敵愾心が強い。
 筆者はこの情報の信憑性を知りたかったので、調べてみた。そうしたときに頼りになるのが、「ファクトチェックドットオルグ」というサイトだ。ここは中立の立場から、拡散している情報を片っ端から調べるサイトだ。メールなどでソースを取材し、情報の信憑性を確認している。新型コロナウイルスがカナダから武漢に中国人科学者の手によって運ばれたという情報もチェックの対象になっていた。
 まず分かったことは、カナダの「国立微生物学研究所(NML)」に聞いてみたところ、邱香果博士は解任されておらず、同研究所に在籍しているという事実だった。ただ、「王立カナダ騎馬警察」に確認したところ、邱香果博士を取り調べたことはあるという。だが理由はプライバシーにかかわる私的なもので、コロナウイルスとはまったく関係がないということだった。

 さらに「国立微生物学研究所(NML)」から武漢にコロナウイルスが邱香果博士の手によって運ばれた件だが、たしかに2019年8月に「カナダ国営放送」は、「国立微生物学研究所(NML)」から北京の研究所にエボラウイルスとヘニパウイルスの2つが、3月に輸送されたことを報じた。ただこの輸送には、邱香果博士はまったくかかわっていなかった。これは、カナダ保健当局の規制を順守した合法的な輸送だった。
 また「カナダ放送協会」の報道によると、邱香果博士は著名なウイルス学者なので、「武漢ウイルス研究所」をはじめ、「中国科学院」、「天心大学」、「中国医学科学院」、「北京理工大学」、さらに「中国ウイルス学会」や「WHO」の主催する国際会議で講演を行っているという。
 どうもこれが実際に起こったことのようだ。これを見ると、カイル・バスがツイートで拡散した情報は、邱香果博士が私的な理由で「王立カナダ騎馬警察」の取り調べを受けたこと、そして「国立微生物学研究所(NML)」が北京の研究所にエボラウイルスなどを送ったこと、さらに邱香果博士が「武漢ウイルス研究所」で講演をしたことという、相互に関係がない3つの出来事を一緒にして創作されたストーリーであったことになる。
 これを拡散したカイル・バスは、スティーブン・バノンと行動をともにする徹底した反中国活動家の一人だし、この情報の拡散に貢献した「グレートゲームインディア」も、中国に敵愾心を燃やすインドナショナリズムのメディアだ。そのように見ると、新型コロナウイルスは中国の生物兵器であるに違いないという強い思い込みから、3つの出来事を一緒くたにしたシナリオが出来上がり、それが拡散したものと思われる。

●これは生物兵器か? もっと驚くべき事態
 では、こうした情報が否定されたのであれば、新型コロナウイルスはやはり自然に発生したもので、生物兵器ではないと断言することはできるのだろうか? 筆者はそうは思わない。中国が作ったにせよ、アメリカが作って中国に仕掛けたものであるにせよ、はっきりした証拠はないものの、やはりこれが兵器である可能性は、まだ完全には否定できないように思う。ただ、いまネットで拡散している情報には、はっきりした根拠がないというだけだ。
 しかし、このように情報をファクトチェックしながら追うと、生物兵器説よりももっと恐るべき事態が進行しているのが見えてくる。おそらく、今回の新型コロナウイルスの蔓延で、現代の社会機構の一部が根本的に変化してしまう可能性がある。これいずれ書くことにする。

*  *  *  *  *  *  *  *  *
●「ヤスの勉強会」第72回のご案内●

 「ヤスの勉強会」の第72回を開催します。新型コロナウイルスの蔓延というだれも予想していなかったブラックスワンが発生し、世界が混乱しつつあります。今回は新型コロナウイルスの蔓延の影響を多方面にわたって詳しく分析します。

【主な内容】
・新コロナウイルスは進化しつつあるのか?
・失速が決定した日本経済、これからどうなるのか?
・見過ごされている危機、ロシアとトルコの衝突?
・なにかの計画のスイッチが入ったのか?
・中国の隠された計画
・最先端の脳テクノロジーと意識の変化
など。


 よろしかったらぜひご参加ください。

日時:3月28日、土曜日
時間:1時半から4時半前後まで
料金:4000円
場所:都内(おそらく東横線沿線)


 いまのところ場所は未定ですが、申し込みいただいた方に直接お伝えいたします。以下のメルアドから申し込んでください。
記載必要事項
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参加人数
懇親会の参加の有無
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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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