今月のクローズアップ

 採寸箇所はイージーオーダーの２倍以上。タテ、ヨコ、ナナメの寸法を独自の方法で採寸し、熟練した職人が、お客様の体型のクセを把握しながら、一枚一枚、手で型紙（パターン）を起こしていくそうです。それを基に生地を裁断する立体裁断によって、着心地が良く、美しいシルエットの服が仕立てあがるとのことです。

生地は常時２０００種以上を持ち、その他にも「バンチ」と言われる生地見本が何十冊もあります。また、とてつもなく希少なビキューナカシミアや、現状の技術で出来る最も細い糸を使用したsuper190'sの生地など、日本全国でもなかなか手に入らない素材を取り扱っているとのことです。 

創業以来貫き通していることは、「肩」「襟」「胸」の美しさです。もともと平面である生地を、職人のアイロンワークによって、人間の体に沿うように立体的に手で縫い上げるとのことです。肩甲骨の張りを補い、前肩の部分を当たらないようにし、背中は体に吸い付くように・・・など既製服やイージーオーダーでは出せないレベルの縫製を行っています。

また、着心地だけではなく、上質で品のあるスーツに「魅せる」ため、全体のバランスを考え、必要な部分にアイロンワークでふくらみを付けていきます。卓越した技術と経験を持つ職人による気の遠くなるような作業を通してこそ、美しい服が生まれるとのことです。

 テーラー神谷は数々の賞を受賞しています（全日本紳士コンクール　農林大臣賞受賞、全日本紳士コンクール　外務大臣賞受賞、全米メンズファッション大会　ブルーリボン賞受賞、国際アビリンピック大会　金メダル受賞、第２５回世界大会ファッションショー　最高位認定証受賞、労働大臣卓越技能賞（現代の名工）受賞、黄綬褒章受賞など）。

常に新しい感性を取り入れるため、東京や、イギリスのテーラーを訪問したり、イタリアの展示会に行ったりと研究をされているようです。勉強会を開いたり、芯地を工夫したり、新しい裁断方法を取り入れたりしているとのことです。