トップが語る、「いま、伝えたいこと」

　マンガ、アニメは世界に通用する文化。そのことがやっと認知されてきたようです。浮世絵が世界の絵画に大きな影響を与えたように、日本人は「ものの特徴を単純化して魅力的な絵にする」ことがとてもうまいのです。ＩＴ化とマンガが融合することで、新しい本物が見えてきました。

　先日、マンガ家の「木ノ花さくや」さんお二人とお会いしました。
　お二人というのは、「木ノ花さくや」はマンガ家のにしの公平さん、西野つぐみさんご夫婦が合作する時のペンネームだからです。
　木ノ花さんはマンガ雑誌に連載をするかたわら、９ヵ国語でマンガを世界に発信するホームページを運営しています。そのお二人がお作りになったデジタル機器で見る次世代のマンガ「サイバーマンガ」を見せていただきました。
　コンピューターや携帯電話で見るサイバーマンガは、従来のマンガのようにコマがあり、クリックして読んでいきます。すべてカラーで音楽や動きもあり、見ていてとても楽しい。さらにボタンで過去や未来に飛んだりと、なるほど今までのマンガやアニメとは明らかに違います。これから普及するデジタルで楽しむ作品の主流になると思います。
　文章や写真ではお伝えしにくいので、ぜひページ下のリンク先で見てください。

　木ノ花さんは「デジタル作品にとって、読者が自分のペースで読めることがとても重要」また、「従来のマンガをただデジタルにしただけでは新しい表現は始まらない」ともおっしゃっています。
　新しいメディアには、それでしか見られないものがなければ人は集まらない。だから作り手側から、「こんなことが出来る」「こんな楽しいものを作ろう」という提案を始めたのだそうです。

　デジタル作品の分野において日本が世界に誇れるインフラは、企画から脚本、制作に至るまですべて一人で出来る「マンガ家」が何千人もいることだそうです。確かに欧米のコミックはほとんどが分業制ですし、アジアのマンガはまだ作家が育っていません。　サイバーマンガはそのインフラを生かし、世界に通用するデジタル作品を安価に、大量に供給することが出来るとおっしゃっています。これはとても大切なことです。
　さらにお二人はサイバーマンガを売るためのパッケージ、「データドール」も作っていらっしゃいます。インターネットからダウンロードするデータにありがたみがない。だからお金を出さない、見ない、参加しない、これがインターネット商取引の大きな障害になっています。パッケージされた喜びを知り、モノの価値をそこに見い出せる文化が、ブロードバンド上で直接水道水のようにデータを手に入れる考え方に慣れていないわけです。

　データは手の中に物理的な重さをともなってある方が信用できる。データは形やデザインがその内容をあらわしている方がうれしい。だったらサイバーマンガは内容に合わせてもっとキャラクター化した方が楽しいといえましょう。

　そこで出来たのがデータドールだそうです。

　ストラップサイズの人形を携帯やパソコンに接続すると、それぞれのキャラクターが活躍するサイバーマンガが自動的にスタートします。同時にサーバーにアクセスして認証を受け、ストーリーを定期的に更新し、毎日見てもらえる。そんな新しい価値観を持ったメディアです。
　お二人はこの件ですでに特許を出願し、パートナー企業をお探しだそうです。

　木ノ花さくやさんの単行本「エンカウンター」（新潮社）と、木ノ花さんグループのサイバーマンガ「ダンガン」「ぐるぐる四コマ呪いの館　百物語」は、３本すべてが２００３年度の文化庁メディア芸術祭で審査委員推薦作品に選ばれました。本物がどんどん認知されてきているのはうれしいことです。夏頃からは「１００匹目の猿現象」をテーマにした少年マンガを連載するそうです。これもまた楽しみです。

木ノ花さくやさんのホームページ：http://konohanasakuya.com/

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