トップが語る、「いま、伝えたいこと」
昨日の続きをお楽しみください。
しかし最後まで読み終えるとわかりますが、著者も、無意味に未来を変更することはすすめていません。
森田さんは「まず今の自分を肯定する」という言葉で表現されていますが、これはひとつの意識変革に繋がるのではないかと思うのです。今の自分を肯定するとは、欠点ある自分を肯定することであり、自分をとりまく環境も肯定することだといいます。つまり、「今あるこの瞬間はすべて自分にとってベストなのだ」と思うことなのです。そのように本心から思えた時、人は占いによって未来を予知したいなどとも、あまり考えなくなるのかもしれません。
自分の運命を前向きに受け入れ、前向きに運命を生きぬこうと覚悟した時、過ぎ去った過去さえも自分にとってベストなものに変り、未来もベストなものに変化するのではないでしょうか。
なぜなら運命を受け入れるということは、すなわち私たちを育んでいる、宇宙をも包含する愛と慈悲のエネルギーを真正面から受け入れるということだからです。そのことによって生命は、無駄な過ちや失敗を繰り返し繰り返し同道巡りすることなく、早い段階で成長と進化の過程を進み、より深い愛と慈悲の生命体の中へと溶け込んでゆくのではないでしょうか。
本当の自由というもの知らずして、自由というものに執拗に拘ったひねくれた子供より、愛に素直に応えようとする子供のほうが、成長は早いかもしれません。私の敬愛する先生は、素直であることの大切さを教えてくれましたが、私たちが宇宙に向けて素直に心を開くならば、いったいどんな奇跡が起きるでしょうか・・・・。そして最終的には、わたしたち自らが、宇宙において生命を育む存在へと、進化・変化してゆくのかもしれません。
「問いの応酬」というものを元にして、著者が人間と時空の照応関係について述べる章では、私たちと時空が一体である、というところまで結論が掘り下げてあります。つまり、私たちは宇宙と一体の存在であり、宇宙そのものだったということです。
「自分が笑うことで、相手の運命に良い影響を与える」という話は、とくに私にとって感動的なものになりました。なぜなら、それまでずっと理解に至らなかったある法理が、その時頭の中でつながったような気がしたからです。
それは、天台大師という人が説いた「一念三千」の法理でした。一念三千とは、簡単に言うと、私たちの瞬間瞬間に変化する思いが、すべての世界に影響を与えていることを示したものなのですが、私には実感としての理解が伴なわず、とても難解な法理のようにずっと感じていました。
しかし、それは当然のことだったのかもしれません。というのは、この法理は仏自身も難解な真理であるとし、ずっと人々に語ることをためらっていたものだからです。
この一念三千の法理は、釈尊の説いた教えの中から生まれています。
ある日この世の真理を理解した釈尊は、すべての人々に同じ悟りを得させ、同じ自由自在の境涯に引き上げたいと願います。そしてまずためしに、「私たち人間の心は、絵描きのようなものなんだよ」と人々に語りました。この、最初に説いた教えが、華厳経だったと思います。「心で描いたものは、何でも現象化して実現するんだよ」と、人々に語りかけたのです。この経には釈尊の本音がある程度含まれていたのですが、この時点で民衆が示した反応は、「はあ?」というものでした。この民衆の反応を見た釈尊は、説く法のレベルを、人々の理解度に合わせて、もっともっと低める必要があることを知ります。生まれたばかりの赤ちゃんには、ご飯の炊き方さえもわからないのです。
人々の意識があまりに幼いことを知り、釈尊は自らが覚知した宇宙の真理を、人々に語ることは諦めてしまうべきかと、苦悶することもありました。彼は、ここで彼自身の慈悲心のなさや弱さ、自分さえよければいいというような諦めのエゴの心と、格闘したのだと思います。どんな聖人であろうと、常に自らの内なるエゴと闘っているのです。
言いかえると、一瞬の隙に湧いてくるエゴに瞬間瞬間勝利しつづけた人が、仏なのです。
自分のエゴに勝利した釈尊は、人々の意識レベルが最適なところまで上がる時代が到来するまで、どんなに長い月日がかかろうとも、忍耐強く育み、来るべきその時を自らつくることを決意します。そうして、右も左もわからない赤ちゃんや幼子でも理解できるように、まずは「悪いことしたら地獄の世界に落ちてしまうよ」「この仏様を一心に信じたら、死んでから天国にいけるよ」というようなことから教えはじめました。
これが仏の慈悲から生まれた方便(仮の教え)ですが、諸経のすべてはその時その時の民衆の意識レベルにおいて説かれたものであり、したがって時をしらずしてこれらの方便を現代で用いるならば、人間の成長を止めるばかりか、世界に不調和をもたらす、邪法になりさがってしまうことも、私たちは知っておかなければなりません。
今の世界を見渡しても、釈尊や他の賢者や聖者が残した、その時代における方便を、いまだに信仰している人々がいます。そしてその人々が住む国土世間は、不調和以外のなにものでもない世界に成り果てているのです。これらの、時をはきちがえた時代遅れの信仰や思想、世界観、宇宙観、生命観に執着していることこそが、戦争や天災を引き起こし、悲惨を生み出している元凶であることに気付いている人たちが、どれくらいいるでしょうか。
まさに、子供が母親の思いを知ることがないように、仏や神の子と言われた人たちの真意を、私たち民衆はまったく理解していないのです。これは、いつまでたっても「守ってもらう」というような、幼い子供の意識のままでいるからでしょうか。
さて、天台大師の一念三千に話を戻しますと、彼は釈尊の説いたある経の一節にインスピレーションを受けて、この法理を立てたことがわかります。それは、釈尊が説いた諸経の中で最高峰に位置するといわれ、未来の人類のための予言書とも思われる、法華経の中のある文です。
それは「唯仏与仏。乃能究尽。諸法実相。所謂諸法。如是相。如是性。如是体。如是力。如是作。如是因。如是縁。如是果。如是報。如是本末究境等。」(ただ、仏と仏とのみが、よく諸法の実相を究め尽くされているのである。それはいわゆる、諸法の如是相、如是性、如是体、如是力、如是作、如是因、如是縁、如是果、如是報、如是本末究境等である)という、「諸法実相・十如是」の文になります。
この文は、釈尊が法華経の中で、「とにかくあなたたちには理解し難いほど甚深である」
「とにかくあなたたちには理解し難い法である」と、繰り返し繰り返し賛嘆してきた仏の智慧を、いよいよ説き示そうとした部分なのです。
この文がその時、森田さんの本も最終に迫るころ、私の頭の中にバっと浮かび上がったのでした。
仏と仏とのみが究め尽くした智慧とは、「諸法実相」だといいます。「諸法」とは、命あるものすべてと、その環境世界のことです。森羅万象、あらゆる物ごとや、現象のことです。
そして「実相」とは、読んで字のごとく、「真実のありのままの姿」のことです。
つまり「諸法実相」とは、「あらゆる存在、あらゆる現象の、真実ありのままの姿」といえます。
そして、「その実相」の内容を具体的に示したのが、上の十如是の文なのです。この十如是のそれぞれの意味を簡単に見てゆくと、森田さんが示してくださった、私たち人間と時空の関係性というものが、私の頭の中で、この文とシンクロを起こしたのです。
ここで簡単に十如是のそれぞれの意味を述べてみると、「如是相=外に現れた姿」、「如是性=内なる性質」、「如是体=相と性を合わせた全体」、「如是力=潜在的な力」、「如是作=力が外に向かって働きかける作用」、「如是因=物ごとの起こる直接的原因」、「如是縁=因を助ける間接的原因や条件」、「如是果=因と縁によって生じた結果」、「如是報=結果が事実となって外に現れる出ること」、「如是本末究境等=第1の相から第9の報までが、関係しあって一貫していること」となるでしょう。
さらに例をあげて、この文の言わんとすることを簡単に述べてみようと思います。
あなた自身という存在は、「諸法」の一つです。あなたの顔立ちや背格好などは、諸法であるあなたの「如是相」です。また外には見えませんが、あなたの内面にあるもの、例えば「気が短い」とか「気が長い」とか「優しい」とか「おとなしい」とか、そういった性格・性分は、あなたの「如是性」です。この如是相と如是性から成り立っているあなたの内面と身体を合わせた全体、つまりあたなた自身が「如是体」ということになります。そして、あなたの生命は、様々な力(如是力)を持っており、それが外に向かって様々な働き(如是作)を起こすのです。
また、そうしたあなた自身の生命の働きが原因(如是因)となり、内や外の助縁(如是縁)が加わって、あなた自身の生命に変化が起こり(如是果)、それがやがて現実の報い(如是報)として現れます。
しかも、この9つが一貫して欠けることなく、あなたという生命、あなたの境遇が創り出されてゆく(如是本末究境等)、というのが、仏法の「十如是実相」です。
森田さんがあのコイン占いをマスターしてゆくなかで、明らかにして下さった私たちと時空の関係性を、なんだか同じように表現していると思われませんか?
また本の最後には、人間と地球の運命について、私たちが「快」に生きることが地球を救うとありました。私もこの意見に賛成です。もし若輩者の私が意見することを許してもらえるのなら、この「快に生きる」という個所に究極を付け加えて、「究極の快に生きる」と表現したほうが、間違いも起こりにくいし、わかりやすいのではないかと思いました。なぜなら、常に究極の快を追い求め続ける究極の快楽主義者こそは、宇宙の究極の真理に到達できると私は思うからです。宇宙はあなた自身であるから、地球も含めすべての存在にとって最も心地良いことが、本当はあなた自身にとっても最高に心地が良いことのはずだからです。
最後に、この素晴らしい本を私に縁させてくれた人に、心からの感謝を込めて、「ありがとう」と伝えたいです。また、自らの人生をかけて根元的な問いを持ちつづけ、これまでは観念的・信仰的世界においてしか表現されていなかったこの世の妙なる真理私たちと神、時空との関係)を、科学的なアプローチで示して下さった森田さんに、深い感謝の念を捧げます。
きのう、きょうと紹介してきた20代前半の女性が書いたこの感想文を読んで、皆さんはどう感じられたでしょうか?
私は、とにかくこの文章を読んでビックリしたというのが感想です。このような若い女性が、出てきたというのは世の中が大きく変わっていくと思います。
これからが、楽しみです。
=以上=
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