トップが語る、「いま、伝えたいこと」
先月の25日ごろからのことですが、何人かの人から「船井さんは、ボディガードを付けているんですか?」とか「森田健さんとケンカしているんですか?」と聞かれ、びっくりしました。「どうして、そんなことを聞くのですか?」と問うと、「森田さん(不思議研究所)のホームページにいろいろ書いていますよ」とのことです。
森田健さんは、ここ10年くらい、私がもっとも大事にしてきた人の一人です。彼(不思議研究所)のホームページは勉強になるし、楽しいので、よく読んでいました。ただ、10月28日の私のこのホームページで書きましたように、10月15日から、しばらくはパソコンを開いていなかったので、彼のホームページも見ていませんでした。彼が私にケンカを売ってくるなどとは、夢にも考えていなかったからです。
森田さんとは10月10日に昼食を一緒にしました。神坂新太郎さんと私の秘書が同席していました。その席上、「私は11月1日に神坂さん宅に行くので、できれば森田さんも一緒に行ってくれませんか」と頼んだのですが、その時彼は「分りました」と返事しました。その時彼には、今年12月と来年2月の私の主催するセミナーに以前から講師を頼んでおり、了解をもらっていたので、確認の意味でその日や時間、場所などを書面にして渡しました。
10月14日の午後7時40分ごろ彼から電話があり、その時「11月1日は、私も行った方がいいと思うので、必ず行きますよ」と確約してくれました。また、「これからも生涯仲よくしたいですね」というようなことを、その時は話したのです。
10月15日から、私は何日間か出張していたし、「しばらく全般的に情報断絶をしよう」と考え実行に移していたので、彼のホームページも見なかったのです。私は、出張中は荷物をなるべく減らしたいのでパソコンは持ち歩きません。いまのところほとんどの場合、秘書も連れず、一人で行きます。もちろんボディガードもおりません。
ところで10月26日に、彼(不思議研究所)の方から私の秘書あてに、「11月1日に森田は伺えなくなりました。また、12月、2月などのセミナーも、森田はできれば欠席したいと申しております」という旨のFAXが入りました。10月26日に広島に出張していた私は、当日の夜、私の秘書からその連絡を受けました。その時、「森田さんは少し変だな」と思いましたが、「ムリ強い」はしないのが私の方針です。そこで翌日の10月27日に、「11月1日とその他のセミナーの件、了解しました。森田さんのご意向に従います・・・と船井が言ってます」という旨の返事を、私の秘書から不思議研究所の方へFAXで送ってもらいました。
ともかくいままで、森田さんのことは、まったくと言っていいほど気にしていなかったので、冒頭のような質問があっても、つい忙しさにまぎれ、彼のホームページは10月31日朝まで見ていませんでした。
10月30日夜に、私のリスクマネジメント担当の顧問弁護士から、「10月1日以降の森田健さん関係のホームページの内容は全てプリントアウトし、リスクマネジメントの面から検討しています」という電話をもらいました。冒頭に述べたように、いろいろな方からの質問もあることなので、10月31日朝、久しぶりに1時間余り彼のホームページを読んだのです。
彼と彼の仲間が、いろいろ書いてましたが、私の見た範囲では、とりたてて気になることもないし、弁護士さんにその旨を伝え「よろしく」と、返事をしておきました。ホームページは、見ても見なくてもいいものですが、公開のものです。それだけにリスクマネジメントの重要な対象になるのです。
ここでリスクマネジメントについて述べたいと思います。
私は30余年も船井総研の代表取締役であり、その後半は30社余の関連会社の中心的存在でした。そのような自分を例に、少しリスクマネジメントの大事さを話します。
会社経営者の仕事は、前向き(攻め)が3分の1。リスクマネジメント(守り)が3分の1、そして攻めと守りのバランスをとるのが3分の1と考えてもいいほど、リスクマネジメントはトップにとって大事なことなのです。
会社には従業員やその家族、株主、取引先、ユーザーなどがいますから、経営者、特にトップは、それらを守るためにも会社を堅実に維持し、まちがいをなるべくしないように、リスクに対するマネジメントシステムを確立し、たえずそのシステムを機能させておく必要があります。
たとえば、船井総研はリスクマネジメントの専門会社と契約していました。いまもしています。それは警察出身者が中心の会社です。そこには社員として数百人のプロがいます。そのような会社は日本にも何社かあり、私自身その種の会社のコンサルティングを担当していました。
船井総研時代には、契約していた会社からのアドバイスもあり、トップである私には
数年間ですが、ボディガードの人が付いてくれました。私に、もしものことがあれば、
船井総研や関連会社に大きなマイナスが出るというのです。これは私も納得しました。しかし、その種の人に付いてもらうのが好きでない私は、東京周辺を自動車で移動する時に限り、運転手を兼ねてもらって、彼らにいろいろ世話になりました。
事実、会社のトップとしての30余年中には、何回も未知の人から脅迫されたり、危険なこともあったからですが、これは、ある規模以上の多くの会社のトップにとっては、残念ながらいまのところ常識です。それくらいトップというのは組織体にとって大事な存在ですし、イヤなことも多いものです。それだけに船井総研のトップを辞めた日から、私はボディガードとは無縁になりました。正直なところホッとしました。とはいえ、その後も「船井本社グループ」という社員数100人ぐらいの小グループのトップだけは続けていますので、いまも何人かの弁護士を含めた専門チームに依頼し、リスクマネジメントシステムをつくり、機能させています。その専門チームが、いま、10月に入ってからの森田健さんのホームページに「非常に注目している」ということなのです。ともかくリスクマネジメントは、トップが組織体について充分に知っておりさえすれば、あとはプロを交えた専門家チームをつくり、充分に機能さえさせれば、それでよいものです。しかしリスクマネジメントをなおざりにして、つぶれた会社や、経営に大打撃を受けた会社が多くあります。これを無視したり、無用心なのは絶対にいけないでしょう。
経営者の皆さんは充分に御注意ください。
=以上=
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