船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる
このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。
名前:石原 和夫
皆さんは「佐々井秀嶺」という日本人をご存じでしょうか。
佐々井秀嶺師は1935年生まれ、現在76歳。一説には1億5千万人にのぼるというインド仏教信者の頂点に立つ僧侶です。
そのように聞くと、どんな偉大な聖者かと思いますが、本人は小学校の頃から女の先生に抱きつくほど色情が強く、青年期は事業に成功するも、女性に懸想したことから仕事が手につかなくなり、挙句に失踪。
救いを求めさまよった山中で、たまたま救われ引き取ってくれた神通力のある僧侶の教導がご縁で高尾山の僧になります。
昭和40(1965)年タイに留学、2年後インドに渡りました。
初の仏教寺院である竹林精舎があった霊鷲山(りょうじゅせん)でお寺の建立に尽力しましたが、指向性の違いから離脱。
将来を模索している時に不思議な体験をします。
1968年8月8日の深夜、金縛りにあった秀嶺は突然左肩に強い衝撃を受けます。 見ると戸口に人の姿が見えました。白髪が肩に届き、胸元まで垂れた長い白髭。巨躯を白衣で包み、右手には長い杖、左手に巻物を握り、炯々(けいけい)とした大きな眼をしたその人物は、「我は竜樹なり。汝速やかに南天竜宮城へ行け。汝の法城は我が法城。我が法城は汝の法城なり。南天鉄塔もまたそこに在り」と言い残し霧のごとく消えてしまいます。
それらしき土地を探して、赴いたのが、中央インドのナグプール。
そこで知ったのがビーム=ラーオ・ラームジー・アンベードカル博士(当時既に故人)。
彼は、神秘的な体験の中で彼に示唆を与えた巨躯の人物にそっくりの容姿でした。
アンベードカルは、インド初代法務大臣で、「インド憲法の父」と呼ばれていますが、驚くべきことに不可蝕民の出身でした。
これは、ブラーミン(僧侶、司祭階層)、クシャトリヤ(王族、戦士階層)、ヴァイシャ(商人、労働者階層)、シュードラ(上位三層に奉仕する奴隷労働者階層)によって構成されたカースト社会の最低下層のシュードラにすら入ることが許されず、けがれた者として排除された階級です。
この不可触民達は同じヒンドゥ教を信奉しながら、寺院にも入れず、ブラーミンによる儀式もあげてもらえませんでした。公共施設、学校にも入れず、村はずれの泥小屋に住み、残飯、動物の屍肉で餓えをしのぐ日々。反抗すれば村からの追放、焼き討ち、なぶり殺しの極刑が待っていました。
共同井戸すら使えず、飲料水を手に入れることも至難の業でした。
アンベードカルも酷暑の中、その優秀さゆえに特別に入学がゆるされた学校で水壺に手を触れることを許されず、親切な生徒の注いでくれる柄杓の水を、口を開けて飲ませてもらっていたといいます。
極限の貧困の中から学者、議員になり、法務大臣にまで登りつめた彼は、ヒンズーから不可触民達数十万人を引き連れ、仏教に集団改宗。そのわずか2ヵ月後に世を去ります。享年65歳。
その人物の肖像が、秀嶺の前に現れ「竜樹菩薩である」と名乗った人物だったのです。
奇異な縁を感じた秀嶺は激しい弾圧の中、迷える不可触民仏教徒達のために立ち上がり、40年間帰国することなく、宗教的人種差別の壁を壊すために、国家権力を相手に立ちあがるのでした・・
新書としては異例の600ページ近い大部ですが、「事実は小説より奇なり」の言葉そのままの破天荒な佐々井師の人生に引き込まれ、一気に読み終わってしまいました。
悩みを抱えた1人の人間が、懸命に人生を模索し、自己のなすべきことを求めていく姿に共感し、異国の地でしばしば命の危険にさらされながらも孤軍奮闘する姿にハラハラドキドキし、やがてたくさんの現地の人の共感を得て行く姿に、勇気と感動をもらいました。
ご興味のある方はぜひ、ご一読ください。
『破天──インド仏教徒の頂点に立つ日本人』
山際素男著、光文社新書、1,400円(税別)
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