“超プロ”K氏の金融講座
このページは、船井幸雄が当サイトの『船井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介している経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。
株式市場は、日経平均がいったん1万円を超えてから、現在弱含みで動いていますが、今の世界中の非常に強い株式市場の動きを見ていると、やがてまた、1万円を奪回して、堅調な動きを始めるように思います。どんな相場でも調整局面はありますし、この3ヵ月間の上げが急ピッチでしたから、警戒感も生まれてきます。なにしろ肝心の景気が心配ですから、とても株の高値を追っていく気持ちにならないのはわかりますが、これは相場の面白いところで、一度大きく動きだすと、トレンドの変換というのは、ちょっとやそっとでは起きません。やはりある程度、行きつくところまでいかないと、収まらないのが相場というものです。
株式市場と実体経済はお互いに影響し合う
実際、面白いことですが、株式市場の上昇、それ自体が経済に一番の効果を与えているのです。日本のことを考えてもわかりますが、株式の時価総額はこの3ヵ月で80兆円も増えました。こうなると、危機を噂された大手金融機関や生損保なども、完全に安泰の状態です。
また、株を保有している個人投資家の気分も3ヵ月前とは、大きな違いがあります。恐慌ムードから一気に財布のひもを締めた人々も、平常モードに戻って、さあ、消費を始めようか! という気分でしょう。
もちろん、今回の危機は強烈でしたから、その余韻もまだ残っているところで、勢いよく使おうという気持ちにはなれないでしょう。しかし昨年暮れからの恐怖感からは解放されて、一息ついているのではないでしょうか? 消費や景気もまさに人々の気持ちそのものに左右されるところも大きいですから、今回下ぶれが大きかっただけに、これから来る反動も大きくなると思います。
「景気対策は何が一番効いたか」と言えば、株、不動産の暴落を止めたところかもしれません。投資家のジョージ・ソロスは、“再帰性”といって、株式市場と実体経済がお互い交互に影響しあう、と述べています。そして、その株式市場も経済も不完全で、人間が作りだすものであるから、共々、とんでもない動きになることがある、と言っています。
彼の理論によれば、この不完全な株式の動きが経済の動きに影響を与えると言っているわけで、この考えは従来の「株は経済の鏡」という、経済が先にあり、株はそれを写しだすものであるという一般論を覆すものです。
現在の証券アナリストや経済評論家をはじめ、権威を持つ人達、または普通の投資家であっても、従来「経済が良くなるから株が上がるだろう」と考えます。当たり前ですよね。
しかし、現状を見てください! 株が上がって経済が良くなってくるではありませんか!
3月から世界の株式市場の時価総額は1,000兆円も増えました。3,000兆円から4,000兆円に、お金が3割以上も急に増えては景気に好影響を与えるのは必至です。
止めどもない金融の氾濫の末、行き着く先は…
2000年以降、世界中でバブルが形成されました。6京円という1兆円の6万倍もの天文学的な金額のデリバティブという金融バブルが発生していたのです。そして世界のGDPの10倍以上の金融の饗宴がなされていたのです。それがうまく回っていたことが世界中の好況をもたらし、やがて、破裂して、世界中を酷い不況に陥れました。実体経済など金融のおまけだったのです。「そんな馬鹿なことがあるか!」というでしょうが、金額ベースでみれば明らかで、昨年からはじまった金融危機も、元を正せば、この金融の肥大化が原因なのです。
自分の家庭に置き換えて考えてみたらわかりやすいでしょう。もし年収より、株や為替など、金融資産の運用が10倍以上の金額だったら、どうでしょうか? 給料なんか関係ないでしょう! 資産運用の行く末が一番重要になるでしょう! もしその資産運用が、借金だったらどうですか?(本当に借金で、破綻したのが今の世界の金融、だから公的資金を投入している。)
そして今回なされたことは、金融の肥大化で、破裂した経済だから、同じく金融をさらに肥大化させる、要するにFRB(米連邦準備制度理事会)はじめ、世界中の中央銀行がお金を刷れるだけ刷って、さらに世界中の国は国債を大量発行して、お金を、これでもか! とばら撒いてきたのでした。なぜなら破綻を回避させるには、それしかないのだから。
そして、3月からその効果が出て、株が上がり始め、その資産効果と人々のマインド回復によって景気の回復を見るというわけです。実体経済関係なし! 金融で始まって、バブルを作り、破裂して、それを金融で修復して、今に至ったというわけです!
だから最後の最後は、わかりますね! 止めどもない金融の氾濫が始まって、収集がつかなくなって資本主義の崩壊に至るのです。
ハーバード大学の歴史学者、全米で人気のニーアル・ファーガソン教授は今、アメリカ政府とFRBがやっている政策に深い懸念を示し、「FRBは今年、3,000億ドルの国債を購入するという。結果、国債価格は下落し、長期金利が上昇する。住宅ローン金利も上がり、FRBの意図とは正反対の影響が出始めるだろう。米経済はかつての中南米経済の様相を帯び、ドルは、準備通貨としてだけでなく、個人預金としての価値すら失うのではないか」と述べました。(週刊『エコノミスト』(6月23日号))
嵐の前の静けさ、デフレとインフレが微妙なバランスで今、世界中を覆っています。若干インフレ気味になって、株が上昇し始めた、仮にまたデフレに戻れば、さらにインフレ政策を取るしかありません。結果はわかっているのです。止めどもないインフレになるまで、この政策を続けるしかないのです。都合のいいことに、インフレに破壊的な火をつけるようにと、世界の火薬庫、中東のイランがきな臭くなってきました。どこかで笑っている人々がいるようですね。
(※朝倉慶氏は、(株)船井メディア企画の『朝倉慶の21世紀塾』でも詳しい経済レポートやCD情報、セミナーを開催、お届けしています。よろしければご活用ください。)

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★『大恐慌入門』
(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、朝倉慶氏の新刊『恐慌第2幕』
(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売!さらに最新刊 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』
(飛鳥新社刊)が5月30日に発売!
★『朝倉 慶の21世紀塾』を2009年2月より開始
朝倉氏の最新情報を【A】レポート、【B】CDマガジン、【C】セミナーから
詳しくはコチラ→http://www.funaimedia.com/asakura/index.html
経済アナリスト。
船井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を船井幸雄にレポートで送り続けてきた。
実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。
著書『大恐慌入門』
2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』
(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』
(飛鳥新社刊)を発売。