“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2016.01
波乱で始まった2016年

 世界中で株価の急落が話題になっています。昨年までは順調に上昇してきていた世界の株式市場ですが、今年になってから異様な様相となってきました。日経平均は取引初日の大発会から6日続落という1949年に東京証券取引所が再開してから初めてという驚愕のスタートとなりました。米国株も年初から急落、中国市場に至っては今年初日の取引から何と7%も下げて取引を全面的にストップするなど、異常事態が世界中を襲ってきたのです。

●今年は、大荒れを覚悟しておく必要がある
 舩井幸雄先生は生前、物事が変化するときは<びっくり現象>が起こると話していましたが、まさに<びっくり現象>が世界中で起こってきたわけです。この異常事態をどう見たらいいでしょうか? 今年世界経済は大変な事態となっていくのでしょうか?
 結論的に言って、今年は相当な事態が発生すると覚悟した方がいいかもしれません。このような世界中の市場で異常自体が発生したということは、何か我々に大きなメッセージが発せられていると思っていいでしょう。
 中東地域での大混乱や中国経済のハードランディングなどが考えられます。私は一貫して日本の株式市場に関しては強気で対応すべきと考えていますが、今年はさすがに大荒れになっていきそうと覚悟を決めています。今年は下げも上げも相当な変動が頻繁に起こり得ると構えておいた方がいいかもしれません。
 一連の流れを生じさせている根本的な原因は中国経済の失速です。二けた成長を続け、世界の資源を暴食しながら大発展を遂げてきた中国ですが、ここにきて明らかに経済の失速の傾向が隠せなくなってきたわけです。今まで中国は世界経済を引っ張ってきたわけですが、中国経済が失速しては、その中国から発せられる需要が膨大だっただけに影響が大きく出るわけです。例えば中国は世界中の銅や鉄鉱石の半分までも消費し続けてきたわけです。そのような膨大な需要に大きな変化が生じては、銅や鉄鉱石の値段が大きな影響を受けるのは当たり前ですし、それに付随していた経済や企業、並びにそれを主要産業としていた国家などが深刻な影響を被るのも当然です。日本などは技術力もあり、企業が付加価値の高い製品を開発して世界中に販売しています。しかし世界の国家を見渡せば、日本のように技術力がある国ばかりではありません。中東諸国などは石油の輸出に依存しているわけですし、南米諸国やアフリカ諸国も一部、そういう資源に頼った経済構造の国も多いわけです。ロシアなども原油や天然ガスの輸出で経済の半分を支えている状況です。これら資源輸出に自国の経済を頼ってきた国々にとっては、基本的にその資源だけが主要製品とみていいですから、今回、原油はじめほとんど全ての資源価格が急落してきた影響は極めて深刻な事となるわけです。しかも中国経済が失速してきたので、下がってきている資源価格がいつになったら上昇に転じてくれるのか見通しが立たないわけです。

 例えば中東の雄、サウジアラビアをみると、急速に国家財政がひっ迫してきているのです。原油価格が一昨年夏には100ドルを超えていたのに、先日はついに26ドル台にまで落ちてしまいました。この原油輸出だけがサウジアラビアの経済を支えてきたわけですが、その収入が4分の1に減少しては国家財政が危うくなるのは避けられません。そのためサウジアラビアでは、様々な改革を行って歳出を削減すると共に、国債を緊急に発行したりしていますが、それでも追いつかず、ついに保有している資産を売却にかかっているという事態が起こってきたわけです。それが世界中で株を売却しているとみられ、現状の世界的な株安に繋がっているというわけです。このような事態が簡単に収まるわけではありません。
 また原油事情についていえば、数年前から米国で技術革新が起こり、シェールガス、シェールオイルが産出されるようになりました。これがまた世界の原油供給を大きく変化させることによって、原油価格の恒常的な低下を招くようになったわけです。かように産油国は原油を取り巻く情勢が激変することによって、国家財政が危うくなりつつあるわけです。ロシアやブラジルなども同じような傾向が出ています。

 一方、中国では共産党政権による弊害が市場の中に現れてきました。そもそも共産主義と資本主義を合わせていいところだけを取ろうとしてきたことに矛盾が生まれつつあるわけです。「社会主義市場経済」と言って、中国は市場を巧みにコントロールしながら経済の活性化を図ってきました。それが今までのような発展途上であれば通用する手法だったかもしれませんが、今日のようにある程度発展を遂げた段階に入ると、市場が自由に一人歩きするようになるので、コントロールするのが難しくなってきたわけです。
 中国は昨年、株価を上昇させることによって景気の回復を図ろうと試みたわけですが、その目論見は大失敗となって、6月から株価の急落を生じさせてしまいました。これを何とか阻止しようと株の売り手に対して圧力をかけたり、政府系のファンドや証券会社に株を買い支えさせたり、果ては株を意図的に売ろうとしていると多くの証券関係者を逮捕、拘束したりしてきたわけです。このような強権的な手法が投資家に大きな不信感を生じさせることとなり、投資家離れが当然のように起こって、一切の矛盾が今年はじめから噴き出してきてしまったというわけです。中国の場合は株だけでなく通貨である人民元も価格をコントロールしようとして失敗しつつあります。為替を維持するために自国の大事な資産である外貨準備の大量放出ということになってしまいました。

●米国FRBによる利上げの影響は?
 一連の動きに拍車をかける形となっているのが米国の利上げです。中国やロシアやブラジル、そして産油国などが深刻な状況となりつつある中、米国経済は順調に回復してきたのです。昨年12月米国は約10年ぶりに金利を引き上げました。順調な経済回復をみて、早めに金利引き上げを行うべきという米国の金融当局の判断でした。米国が金利を引き上げますと、世界の資金は金利のつく米国に引き寄せられるようになります。ましてや中国はじめ新興国や産油国は経済が失速気味ですから余計にドルが先行され、資金が米国へ回帰するようになるわけです。この動きに拍車がかかってきて止まらなくなってきたことで新興国の通貨が売られ、株が売られ、ついには中国の株も売られ、中国の通貨である元も売られ、挙句の果てに世界中の株も売られ始めてしまったというわけです。
 円が激しく買われ始めましたが、これは中国やロシアやブラジル並びに中東をはじめとする産油国、そして中国に深く依存している東南アジア諸国などに比べて比較的日本が安定しているとみられているからです。
 一方、これだけ世界的に混乱が広がってくると今度は、政策当局も動き出してくるでしょう。すでにECB(欧州中央銀行)は3月の追加的な景気刺激策を実行することをアナウンス、米国も金利引き上げペースを緩めたり、先延ばし、ひいては金利引き下げに動くかもしれません。日本では追加的な金融緩和が実行されるでしょう。そして参議院選挙を前に、ついに消費税引き上げの再延期という決断もなされそうな雲行きになってきました。
 これらの劇的な展開は、再び日本株の上昇に火をつけることとなるでしょう。
また原油が下げ止まらなくて混乱が広がる中東諸国でクーデターでも起これば、原油を巡る情勢が一変する可能性もあります。中国経済がどうにもならなくなってくると中国は共産党政権の正統性を示そうと周辺に危機を作ろうとするでしょう。南シナ海の人工島を巡る争いや日本との尖閣を巡る問題をエスカレートさせてくる可能性も高いのです。
 かように年初から世界的に株が急落して経済的な混乱が生じてきたということは、経済問題のみならず、政治的、軍事的な緊張を世界のあらゆる地域で勃発させる可能性を高めることとなるのです。株価が下がってもわれ関せず、と傍観していてはなりません。<びっくり現象>が起こってきたということは「とんでもない火の粉が我々に降りかかってくる」と警鐘を鳴らしているのです。


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株、株、株!もう買うしかない 〜日経2万円突破でも日本株はバブルどころか“逆バブル”『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/

Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売。

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