船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
チャーミングなお年頃
2016.10.6(Thu)
社名:イリアール(株)
名前:広川 裕子

舩井幸雄.comをご覧の皆様、こんにちは。
イリアール株式会社の広川裕子です。

風の中に、金木犀の香りを感じると、途端に秋の空気になりますね。
気温差が大きい時期ですが、皆さまお風邪など召されていませんでしょうか?

当コーナーで、「2013年夏の想い出」という話を書かせていただいたのが、3年前……!!早すぎる時の流れに驚きを隠せません。
2016年夏の一番の想い出は、主人の実家に帰省したことでした。
実家までは飛行機で2時間ほどかかるため、時間的にも金銭的にも頻繁に帰省することができず、日々大きくなっていく孫の姿を、義父や義母にお見せできないのが悲しいところです。

義父は現在91歳です。医療制度でいうところの、「後期高齢者」です。75歳以上が「後期」と分けられるそうですので、91歳は「超後期」とも言えるでしょう。

けれど、自転車にまたがり買い物に出かける姿や、私たちを車で空港まで送迎して下さる姿を見ると、「後期高齢者」という言葉に、これ以上ないほどの違和感を覚えます。
たしかに、年齢相応に足腰は弱くなり、持病があったりはするのですが、とにかく心が若者なのです。そこが、「違和感」の原因でしょう。

義父は、もともと、好奇心旺盛な性格のようです。新しいものが大好きで、家電でもパソコンでも、初めこそ説明書とにらめっこをしながらのゆっくり操作ですが、次第にスピーディに使いこなします。
私のスマートフォンに、LINEの友達申請が来た時には心底驚きました。当初ぎこちなかったやりとりも、今は、私がメッセージや写真を送ると、すぐにスタンプが返信されてくるという具合です。

どちらかというと新しい時代の物を受け入れるのが億劫で、ついつい歳のせいにして「知ること」を後回しにしがちな私は、義父から、「興味を持つことや、知ることに年齢は関係ない」と教えられることがたくさんあります。

義父の言葉と表情には、ユーモアが散りばめられています。
「ちょっとね、長く生き過ぎてしまったね」と言いながら、ニヤリと笑い、
「今日はおじいちゃんが介抱してあげるから、安心して酔っ払いなさい」と言いながら、「フォッホホホッ」と笑う口元。
戦時中の苦労話でさえ、「悲惨な歴史」にとどまることなく、地に足のついた実体験として、悲しみも楽しさも、色と音と匂いつきで伝わるのです。
どんな時代でも、雄々しく前向きに、生きて来られた人生の長さを感じます。

こんなチャーミングな義父が、以前、「私みたいなね。高齢者が生きていても社会の負担になるだけかと思うんだよ」とポツリと言われたことがありました。
その時、私は、「そんなことないですよ〜」と即座に返答ができず、黙り込んでしまったことを覚えています。誠実に歩んできた91年間を前にすると、そんな相槌が軽々しく思えたからです。

私は義父の人生をほとんど知りません。なので、想像します。
鼻を垂らして野山を駆け回った少年時代、文学や音楽に興味を持ちつつも、戦争の混乱の中で毎日を生きた青春時代、家族や仕事に身を捧げた時代、やがて子供が巣立ち、仕事を勇退し、今、ふたたび、少年時代のような素朴で純粋で穏やかな時間の中、やっと一息つかれているのかもしれません。

7歳の息子の奇想天外なお喋りや無知な勘違いはとても微笑ましくチャーミングです。同じく、91歳の義父の話や表情もとてもチャーミングです。
何歳になっても、少年のような心をもち続けることができたのは、ずっと寄り添って来られた、こちらもチャーミングな義母の器あってのことでしょう。

息子の笑顔を宝物と思うように、「後期高齢者」の笑顔も宝物に感じる私です。
子供やお年寄りのチャーミングな笑顔が世の中を明るく平和に導いてくれるのかもしれませんね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


13周目:「シンクロの不思議」
14周目:「チューブちゃんのこと」
15周目:「親の心子知らず」
16周目:「最高の褒め言葉」
17周目:「+αのサービスを」
18周目:「Gの恐怖」
19周目:「2013年夏の想い出」
20周目:「一期一会を感じたこと」
21周目:「言い訳大臣と勇気レンジャー」
22周目:「斜45度後方」
23周目:「泣く技術」
24周目:「匂わない日々」
25周目:「想い出音」
26周目:「ならば、どう生きる? 〜『いのちの革命』を読んで〜」
27周目:「文字から気づく意外な自分」
28周目:「なんとなく、ナマハゲを思う」
29周目:「なんとなくナマハゲを思ったあと、妖怪について考える。」
30周目:「何か食べたい!」
31周目:「体感時間」
32周目:「伝える言葉」
33周目:「地味な私の楽しい週末」
34周目:「新人くんの舩井フォーラム2015」
35周目:「生かされていると感じたこと」
36周目:「漢字ってスゴイ!」
37周目:「モデルの気持ち」
38周目:「手を離すこと」
39周目:「敏感な歯と鈍感な心」
40周目:「名付け親」

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