船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井幸雄グループスタッフによるコラムページです。
日々仕事をする中で感じていることなどを自由に語ったページです(このページでは、便宜上、船井幸雄を“船井会長”と呼び、敬語表現を使わせていただいています。ご了承ください)。

船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
6月の社員研修会と「思いが実現する 船井幸雄の60の言葉」から
2006.7.13(Thu)
社名:(株)船井メディア
名前:小林 碧

 私はこれまでに数回、このコーナーに掲載させていただきましたが、一貫して空洞化しつつある日本文化への危機感の警鐘といったメッセージがその底流にあったかと思います。
 日頃感じるジェネレーションのギャップ、若い社員さんたちから得るものも大ですが、時にはちょっと眉をひそめるようなこともあり、またIT化時代に翻弄されて失われていく「3丁目の夕日」の匂いetc・・・。
 そんな折、6月の社員研修会で奇しくも会長から、「日本人の躾には仁・義・礼・智・心」が適しているようです」との言葉がありました。儒教の教えの五常です。
 私の学生時代はしっかりと「論語」を学ばされた世代なので、私の倫理観の中にもそういった“空気”がインプットされています。でも、いまの世代の人たちにその教えを語ったら、「古臭い」の一言でうるさがれ、まさに格言にあるごとく「犬に論語」でシラケて、敬遠されるのがオチでしょう。
 そんな現代にあって、「思いが実現する 船井幸雄の60の言葉」(マガジンハウス刊)に書かれている一言一句は、まさに珠玉の金言集といえましょう。
 優れたビジネスマンといえども、基本は『優れた人格者たれ』という一言に尽くされていると実感します。各項目ごとに読みやすく、具体的で、これなら誰でも読み込めます。一つ例に採るなら、ホテルをチェックアウトする際にもう一度振り返る、すなわちチェックインしたときと同じくらいにきちんと片付けよ――ということですが、私も心していることでしたし、レストランで食事を終えたときのテーブルマナーだって同じことです。
 「論語」に、「己の欲せざるところ、人に施す事なかれ」という一文があります。
 「人から不快なことをされたら、自分は決して同じようなことを他人にしてはいけない」という意味ですが、これが社会人としてのモラルの原点だと思います。
 日本文化を「菊と刀に象徴される恥の文化」とも評されましたが、よいところは謙譲の美を重んじること、気配りの細やかさなどにあると思います。どうもそのあたりが昨今渇いちゃってきたようです。
 私には二人の娘がいて、先週、下の娘もついに嫁ぎ(涙・涙・・・)、それぞれに素敵な伴侶に恵まれましたが、早速この本を贈りました。彼らはしっかりと「60の言葉」を通してゴッドマザーの真意を捉えてくれることと信じています。

 最後に私の父のことを少し書き添えたいと思います。
 「思いが実現する 船井幸雄の60の言葉」の巻頭に次のような文章をみつけました。
 「青年を成長させてくれるものが三つあります。読書、旅、そして人との出会い」。
 これを読んだ途端、父はなんて幸せな人生だったのだろう!と気付きました。父の趣味はまず読書、その他乗馬やダンスが好きで、当時としては結構お洒落で多少の浮名は流していたのを私は目撃しちゃっています(笑)。決して要領のいい方ではなく、上司に取り繕うのは苦手。役所勤めが合わないということで30代半ばで独立。大好きな“旅”を生業として会社を興し、やがて散在する旅行代理店を全国組織のネットワーク作りへと尽力しました。旅行傷害保険を取り入れた先駆けだったと思います。
 交通公社などが進出してくる前で、池田勇人首相の“所得倍増”を標語にモータリーゼーションの目覚ましい進歩とともにレジャー産業が栄え、高価ながらも海外旅行ツアーがスタートした時代です。
 そんな父の自慢は、頭の中に日本中の道路マップがインプットされていること、大きい契約を結んでいた保険会社も含め、権限を利用してマージンなどを受け取るようなことはいっさいしなかったということでした。
 70歳をとうに過ぎても社用車の送迎を断り、階段が多いとぼやきながら人形町の協会本部まで通っていました。
 《経営戦略》などという術には長けていなかったかも知れませんが、明治生まれの「品格」は備えていました。 会長を拝見していると、父と顔かたちに似ているところがあって、時折重なって見えることがあります。
 好きなことを生業とし、アルバムを開けばいつも仕事仲間やお客様たちとの旅先での写真ばかり――。してみるとささやかな人生ながらも、父は本当に幸せだったと思います。国の誉れの受賞式での晴れ晴れとした笑顔が遺影となりました。
 今、私は父譲りの大の車好きで、一人身になった寂しさをかこちながら、たまの休みには覆面パトカーに気遣いながら、気ままに車をとばしています。
 6月末の命日は仕事で墓参が叶わなかったので、そろそろ行こうかと思います。
 「読書、旅、そして人との出会い」。お父さん、幸せでしたね・・・・。


2周目:「人生の命題  目指せ!ほんもの」
3周目:「お手紙 (テーマ:船井会長に伝えたいこと)」
4周目:「私から皆さまにお伝えしたいこと」
5周目:「―人を玩(もてあそ)べば徳を喪(うしな)い、物を玩べば志を喪う― (テーマ:私から皆さまにお伝えしたいこと)」
6周目:『京都嵐山 祐斎亭への集い』を終えて・・・ (テーマ:私から皆さまにお伝えしたいこと)」

バックナンバー
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2006.07.28: 命をかけるってどういうことだろう (テーマ:私からみた船井幸雄)
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2006.07.21: 船井会長の本を読んで
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2006.07.13: 6月の社員研修会と「思いが実現する 船井幸雄の60の言葉」から
2006.07.12: 6月の全体研修会での船井会長 (テーマ:私からみた船井幸雄)
2006.07.11: 自分のエゴ (テーマ:私からみた船井幸雄)
2006.07.10: 「思いが実現する 船井幸雄の60の言葉」を読み終えて
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2006.07.03: 信頼することは楽しいこと (テーマ:船井会長の本を読んで感じたこと)
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