中村陽子の都会にいても自給自足生活
このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。
今回この学習会をなぜ開催したかというと、種子法が廃止されてから、種子法の勉強を始めたのですが、私がお付き合いをしている自然栽培や有機栽培で自家採種をしている農家は、農政の枠外にいると感じたからです。そこで、そういう農家とそれを支持している都市部の消費者のための種子法学習会が必要だと考えました。来年4月から廃止されてしまうことを考えると、一刻も早く集まっておきたいと思い、田の草取りが一段落する8月2日にしました。都市部の市民も合わせて100名以上が集まってくれました。(※その様子は【舩井幸雄アルバム】でも紹介しています。→ http://www.funaiyukio.com/shashin/index.asp?m=201708 )
農家への事前アンケートでは、種子法廃止ですぐに支障が出る農家はいませんでした。さすが日本の在来種固定種を守っている人たちだと感動しました。
農家が心配していた自家採種の権利は、侵されることがないと篠原孝先生は保証してくれました。こぼれ種による特許侵害などというとぼけた訴訟などに負けるはずがないとも言ってくれました。
しかし、国から義務付けられて各都道府県が守ってきた日本の種子を、今後誰が守ってくれるのかという心配と、種子情報や精妙な技術、農業試験場や原種農場などの施設や研究者などが、外資を含めた民間に買収されてしまうのではないかという心配は当たっていました。国がお金を出さなくなって、資金に困ったところに、巨大資本は入り込んでくるからです。
「官から民へ」は今回の場合裏目に出ます。日本各地の多品種の維持管理や、いざという時のための純粋な研究開発は、投資効果を短期に回収することが至上命令である民間にはできません。種子は食の根幹、国防の要です。これを外資を含めた民間に任せるとは、世界中どこを探してもこんな国はありません。この度の種子法廃止と、農業競争力強化支援法が、いかに愚かな法律であるか、本当にこれが日本の国会が出した法律なのかと、現実を疑いたくなるようなものなのです。
しかし、その理由がわかりました。2016年、2月4日、ニュージーランドで日本がTPP協定に署名した時に交わした「日米交換文書」です。そこには「日本政府は米国投資家の要望を聞いて、各省庁に検討させ、必要なものは、規制改革会議に付託し、同規制改革会議の提言に従う」とあり、日本政府がとんでもない約束をしていることが分かりました。実際、種子法廃止案は、規制改革推進会議の提言に従い、通常のルートである農政審議会を通さずに閣議決定された初めての法案だそうです。今後、TPP協定批准にともない200以上の無謀な法改正が行われる予定です。
改めて敵のシナリオは完成し、日本が完全に制圧されたと感じました。無茶苦茶な法案がどんどん通ってしまう理由はわかりました。ですが納得はできません。研究熱心でいつもは活発な発言をする農家たちが、言葉を失いました。日本の主権は米国投資家に売られてしまったのです。都市部の参加者もNGOや団体の主宰者の方たちも多かったのですが、事の重大さにショックを隠せない様子でした。
除草剤耐性や殺虫性を持った遺伝子組み換え作物(GMO)が今以上に増えたら、今度こそ消費者の選ぶ権利として、表示が必要だと考えていましたが、TPPでは遺伝子組み換え(GM)企業に都合が悪い表示ができないISD条項がついており、敵が一枚上手であることが分かりました。「遺伝子組み換えでない」という表示も「国産」表示も「産地」表示もできなくなるのです。ISD条項とは「企業が相手国の政策で損害を被った場合、相手国を提訴することが出来る」というもので、賠償金を請求されるのは日本政府です。提訴先は、国際投資紛争解決センターで、世界銀行が投資家のために設置したところです。
しかし聞くところによると、GM企業も遺伝子操作する元の種子は公共品種に依存しているとのこと。彼らにとっても、多品種を維持管理してくれる公的機関は必要なのではないでしょうか?
しかし、特許料で種子の価格を吊り上げようとしているGM企業にとって、この機関に種子を安く提供されると商売にならないということなのでしょうか。勝手すぎます。
この学習会で、素晴らしい考え方に出会いました。それは、基本的人間の必要性(ヒューマンニーズ)は特許の例外にすべきであり、それは2つの分野で、農業の種子と医療だという考え方です。
高い薬も特許料がなくなったら、100万円の薬も1万円になります。今は99万円が支払えないために多くの人が死んでいきます。これはおかしいです。これをなくすのが当たり前です。特許料というのはべらぼーに高いものです。問題の子宮頸がんワクチンですが、これは日本がアメリカから1本7万円で買って、みんなに打ってもらっているのですが、原価は100円だそうです。怖ろしいほどの利権構造です。
「基本的人間の必要性=ヒューマンニーズである農業の種子と医療の薬は、特許の例外にすべきである」という考え方を、国連で決議し、世界の常識にしていきたいと思いませんか。病気や飢えに苦しむ子どもたちのためにワクチンを買ってあげる寄付をしても、製薬メーカーが特許料で儲けるだけ。種子と薬に特許をからませないことを世界の常識にすれば、本当の解決に役立ちますよ。
この学習会でうれしい驚きがありました。それは、国連では、世界の食糧危機と気候変動を乗り越える農業は、大規模農業ではなく、小規模家族農業だという認識に変わっていたことです。日本が向かうべきピッタリの方向です。これについては、内容がたくさんあり過ぎるので、次回にします。日本国民の1%の人が、気が付いて向かう方向を定めれば、今のおかしな政治を逆転できます。私は諦めませんよ。一緒に行きましょう!
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首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。
1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。
長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/