トップが語る、「いま、伝えたいこと」
5月21日に本ページで知らせましたが、私は5月20日に、また1冊の本の原稿を書きあげました。だから5月、6月下旬と新著が出ると思います。 6月の本の題名は、まだ決めていませんが、『がんばれ 経営コンサルタント』のような題名にし、サブタイトルに「本物のコンサルタントや医者の見分け方」にしたいと思っています(※後日、同書のタイトルは『退散せよ! 似非(えせ)コンサルタント』に決まりました)。本音で経営コンサルタントの仕事のことを書いた本です。
同書は6月下旬に李白社(フォレスト出版)から、発刊される予定です。
3月下旬に行なった口内手術あとが、まだ痛む中で、どうしてそんなにいそいでこの本の原稿を書き、出版をいそいだかと言いますと、日本の将来を支えるいまの30代以下の若い人たちの多くが、「働くよりも遊ぶのが好き」「お金も出世も、あまり興味ない」「趣味が大事」と真剣に思っているように見えるからです。
戦前、戦中、戦後10年くらいは、日本人は一部の人以外は、実に苦しい生活をしていました。私も同様です。それを、打ちやぶって1970年ごろに豊かになれたのは、いまの50才以上の人たちが、本当にムチャクチャというほど働き、勉強したからです。その後もいまの70才以上の人はよく働きつづけました。50−70才の人も働きました。しかし、いま、30−50才の人は、少し遊びや趣味に走りはじめました。そのため日本は急速に国力を落としましたが、いまはまだ若い人が、遊んでも生活できる余裕があります。
しかし、このままでは、日本の5年〜10年先が思いやられると考えられるからです。
以下は、上記拙著の第5章「絶対に失敗しない経営のコツ」の中の一部の文章です。そしてこれは私の本音です。年寄りの冷や水かもしれません。とはいえ一人の人生の先輩の言として、40才より若い方はお読みいただきたいのです。できれば心から私の言を聞いてほしいのです。
(4)一日も早く働き続けることの楽しさに気づく
人間は一生学び続け、働き続けて、成長していく存在です。それが、もっとも効率的なように創られた存在といえます。
また人は、そんな中で自らの長所を発見し、その長所をもって社会に貢献する使命を負っているのだと思います。
ですから、息抜きに少しは遊ぶのはよいとしても、その何倍も働いてください。そして学んでほしいのです。このようにして働く楽しさ、学ぶ楽しさが、遊ぶ楽しさの何倍もすばらしいことに、一日も早く気づいてほしいのです。
表現の仕方はケースバイケースで違っても、これはクライアントになったすべての経営者および経営幹部に対して、私が一貫して言い続けてきたことです。なぜなら、「世の中の構造」と「人の正しいあり方」を五十年ほど研究したこれが答だからなのです。
私が病気になっていちばん困ったのは、やはり満足に働けなくなったことと、非常に勉強できにくくなってしまったことでした。体の不調のせいで、まず視力と聴力が落ちました(いま回復しつつあります)。テレビは見ない、パソコンはひらかない、客に会わない、原稿も書けない、文字が見えなくて本さえ読めないetc.…。形の上では第一線から身を引いたとはいえ、まだまだ世の中のお役に立ちたいし、働きたいし、学びたいのです。私にしかできないことがあると思います。
こんな気持を抱えながら「何もできないで、しかも病の苦しさの中で過ごす」日々というのは、私のような人間にとっては別の意味で勉強にはなりましたが、常識的には一種の拷問にも等しいものでした。これが三年以上も続いています。この原稿を書くのも、いままでの三倍以上の時間がかかっています。
いま70歳代半ば以上の私たちの世代は、みんなよく働いてきたと思います。しかし、私たち世代の誰も彼もが、働くことに喜びを感じながら生きてきたのではないようです。作家の水上勉さんが、同じ年くらいの老人たちがゲートボールに興じているのを見て「なんだこの人たちは、信じられないよ。まだまだ働けるのに、よくもみんなで集まってゲートボールなんかやっていられるな」と嘆いておられたようですが、同感です。
私も病院で医師から「お年ですね」と言われたときは、いつも「余計なことは言わなくてよろしい。年齢など関係ないですよ」とピシャリと言い返すようにしています。
人間は、学べる間は学び、働ける間は働いたほうがいいようなのです。それはむろん「義務」ではなくて、むしろ人が持って生まれた「権利」なのだと思います。さらに人の責任とも言えましょう。
(5)できる経験はなるべくしてみる
私は経営コンサルタントと同時に、船井総合研究所などの経営者でもありました。
経営コンサルタントは企業経営者の近くにいて、その姿、その仕事を目の当たりにすることができます。しかし、やはり経営者自身とは違うのです。当事者である経営者に比べると、どうしても仕事にかける必死さが違います(それは良くも、悪くも、です)。
経営者の本当の胸のうち、本当の苦労までは、経営者になってみないと分かりません。
その意味からは、私は経営者としてしかもトップとして株式上場をしたことなどが良かったと思います。なぜなら、上場して初めて経営者の表側と裏側、両面の苦労が分かったからです。上場してからは、それまでつき合ったことがないような変な人たちがいっぱい近付いてきました。
何とかしてカネにありつこうという有象無象…と言ったら言い過ぎでしょうか。
そういう人たちへの対処も大事な経営者の仕事なのだと知り、上手になったからです。最初は不気味な思い、恐ろしい思いも多々させられましたが、100人、200人と数をこなしていくうちに、およそ怖いものなどなくなりましたし、経営理論では分らない、経営者に不可欠な資質を持つことができました。リスク・マネジメントについては「超プロ」になったようです。
ひるがえって、人間は働いたり学んだりで、プラスになるためのできる経験はなんでもしてみることだと思います。
異質の働きや学びの経験を重ねることによって視野が大きく広がります。好んで怪しい場所に出入りして、ミイラとりがミイラになるようでは困りますが、再起不能の大ケガではなく、かすり傷くらいですませる自信があれば、働きや学びにつきましてはどんなことにでも好奇心をもって、できるだけ深くふみこんでみることです。
(6)長所伸展の法則に徹する
40歳代半ばくらいまで、私は「喧嘩の船井」と呼ばれていました。
この異名は、ビジネス上の競争(喧嘩)に強いという意味で、確かに何としてでも他者との競争に勝つ、そのためには違法でない限りどんな手も使うよ、と豪語していたくらいです。そして、私は実際に連戦連勝を重ねましたし、そんな日々の中から独自のビジネスノウハウをいくつも確立してきました。
しかし、喧嘩の船井はビジネスの現場にとどまらず、実は社内にも及んでいて、時にはカッカして竹刀を振り回したりしていたのですから、血気盛んだったのでしょう、と言われても返す言葉がありません。社員たちが頼りなく見えて我慢ならなかったのです。
ところが、ある事件をきっかけに、喧嘩の船井が一転して「仏の船井」に変わるのですが、このことが私に大きな財産をもたらしてくれることになりました。
それが長所伸展の法則です。人間は十人十色で、それぞれ違った長所や短所をもっています。であれば、独自固有の長所をどんどんば伸ばしていって、その先に自分の居場所を見つければ、他人と競争(喧嘩)しなくても生きいけるはずです。
この場合、短所のほうはいじらないで放っておきます。
短所、つまりその人にとってやるのが苦痛な仕事などは、やらせても、やってもいけないようです。
長所が順調に伸びていけば、短所は気にならなくなります。それに、人は長所だけを活かして働けばいい存在のようですから、当然ながら仕事も楽しくて仕方なくなるわけです。
これは私にとって、まさに「目から鱗」の大発見でした。
オレには長所がない(そんなわけはないのですが)と言う社員には、(2)でドンキホーテを例に既述した圧縮付加法を応用して長所を探してあげます。仕事をどんどん与えて、その社員を追い込むといいのです。すると、忙しさが極限まで達したときに、本人の好きなこと、嫌いなこと、得意なこと、不得手なことがだれでも明確に浮き上がってきます。
それを見極めて、長所や得意なことを伸ばしてあげるのは、私なり上司の仕事でした。
社員の育成に長所伸展法を取り入れてからは、カッカとして社内で竹刀を振り回すようなことはまったくなくなりました。
(7)24時間フル対応の覚悟で仕事をする
船井総研の社長時代には、全社員250人以上に毎日、その日一日の行動表を書かせていました。どこで誰と会って何をしたのかを、夜10時半までに必ず提出するように義務づけていたのです。それから各々でデスクの整理などをし、多くの社員は日付けが変わるころに帰るというのが日課になっていました。私は毎夜、全員の行動表に目を通し、コメントを書いて、翌朝には、全社員それぞれに返していました。
これによって全社員の行動と、クライアント企業何千社が抱えている問題を逐一、細部にいたるまで把握しておこうとしたのです。充分できましたし、楽しかったものです。
いまも同じですが、船井総研は当時から24時間体制でクライアントに対応していました。もちろん、私もフル稼働でした。社員には、常に自分の居場所を明らかにしておいて「夜の何時であってもかまわないから、何か難しい問題が起きたら連絡してきなさい」と伝えていたのです。
このフルサポートシステムは、当時にあっては船井総研独自のもので、クライアントから絶大な信頼を得ていました。
24時間営業のコンビニエンスストアが出現するずっと以前の話ですから、同業他社と一線を画すのに十分なシステムだったことは確かです。それに較べると、いまの日本の会社は休みが多すぎるのではないかと思います。特に医師は、いいかげんです。私にもいまでは、土曜日や日曜日に遊んだり休む人の気持はそれなりに分かりますが、正直なところ、人間に生まれてきてそういう人はもったいないことをしていると思います。
いまでは、体調が不完全のため、私はオフィスに出ないで家でできるだけ仕事をするようになっていますが、本当のところは、現場でせいいっぱい仕事するほど休養になることはないと心から思っているのです(転載ここまで)。
永い文章を読んでいただき、ありがとうございました。
ただ、これが日本や人類の将来が心配で仕方のない77才の人間の本音です。77才とはいえ、私は青年の気持です。よろしければ2−3回はここへの引用文を読んでほしいのです。
そして若い人には、遊ぶのもいいが、もっと働き、勉強してほしいのです。よろしくたのみますよ。
=以上=
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