中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2018.02.20(第41回)
改めて農薬の害を知ろう!

 農薬の害に警鐘を鳴らしてくれたのは、アメリカでは『沈黙の春』のレイチェルカーソン、日本では、有吉佐和子さんでした。1970年前半、女性たちは環境汚染から、家族や子どもの命を守ろうと立ち上がりました。有機農業研究会を農家と一緒に立ち上げたのも、彼女たちの働きでした。ある農家が「農薬や化学肥料を使わずに、手間をかけて育てた農作物は高くなるのに、あなたたちは買うのですか?」と聞くと、「あなたは、安ければ毒まんじゅうを食べるのですか?」と聞き返されたそうです。
 各地に生協や生活クラブなど、市場を通さない取引が始まりました。今でもこの精神を失わずに活動している生協はありますが、多くは資本主義の波にのまれ、スーパーとあまり変わらなくなってしまいました。

 女性たちの生活も変わりました。家族の健康を守る食生活を支えることを本業とする専業主婦が減り、女性も家計を助けるために働くのが当然、企業もそれを助けるための便利な食品を開発ました。工場からの長距離輸送、倉庫管理などの都合から、保存料や一見美しくおいしくするための添加物が多量に使われるようになりました。

 農薬も変化しました。毒まんじゅうと称された時代の農薬は、有機リン系の農薬で、虫はすぐ死ぬし、農家も健康を害したり腎臓肝臓を傷めて早死にする人が多く出ました。このころの農薬は即効性の毒だったのです。

 1992年に出てきたネオニコチノイド系の農薬は、虫への毒性は強いが、ほ乳類や人間には安全性が高いということで、世界中で使われるようになりました。この農薬の特徴は、作物への浸透性が高く、長く残留するということです。今までの有機リン系では3日でしたが、ネオニコチノイド系の農薬は3か月も残留するのです。このため、減農薬を可能にした農薬として評価されました。現在、減農薬=エコ農産物=特別栽培=認証農作物などは、農薬の成分を半分にするか、散布する回数を半分にすることが条件なのです。

 この農薬の危険性は、使い始めてすぐ1990年代にミツバチの大量死という形で現れました。有機リン系の農薬とは違い、触れても即死するわけではないのですが、ネオニコチノイドが溶けている田んぼの水を飲んだり、散布された花の花粉や蜜を集めているうちに、脳神経のかく乱物質がハチを狂わせ、巣に帰れなくなり失踪、巣ごと全滅してしまうのです。同じく田んぼでヤゴという幼生期を過ごす赤トンボが激減しました。ネオニコチノイドの害が分かってから代替農薬として使われたフィプロニル農薬の使用が原因です。この農薬はギャバ阻害剤で、怒り狂って口をあけてヤゴが死ぬのです。

 人間への影響は、子どもへの脳障害の形で現れました。ネオニコチノイド系農薬の使用増加とともに、発達障害児、特に血液脳関門の未発達な児童が急増しています。ネオニコチノイド系農薬の使用量のグラフと、多動性を発症している子供の数は比例しています。日本政府や企業はこの因果関係をが認めていませんが、フランスやEUではミツバチ失踪の段階で、いち早く危険を察知し、使用を禁止しました。ミツバチの受粉という仕事を高く評価してのことです。

 日本では残念なことに、ネオニコチノイド系農薬の残留基準は、2016年から大幅に緩和され、ホウレンソウやレタスなどの葉物では2000倍になったものもあります。昨年7月のこのコラムに、世界で一番多く使われているグリホサートという除草剤の残留基準が昨年400倍になったという話をしたと思います。
 いつ日本は禁止するのか? それは、次に替わる農薬が開発されたとき、これらの農薬を禁止するつもりだそうです。その農薬では、また違う機能障害が出るでしょうが。

 さてどうしますか? 「ただちに人体に影響はない」とはどこかで聞いた言葉ですが、直ちに死なない毒まんじゅうを食べ続けますか? 日本は人体実験の場だと諦め顔で笑っている人もいます。農薬や添加物の話をすると、それでは食べるものはないじゃないか!と怒り出す人もいます。そうです。本当に家族を健康に守れるような食品は売っていません。でも自分の身の安全もさることながら、こんな日本を次世代に残していいのか? を考えてください。独身の方も年配の方も、健康な一生を送れる日本を残すことが重要です。

 日本では革命は起こせないでしょう。だとすれば消費行動しかありません。みんなで農薬を使った農作物は食べたくないとお店に行って言いましょう!わがままではありません。すぐには死なない農薬の毒の影響を広く知らせましょう。「切れる」といいますが、本当に脳のシナプスが切れてしまうのです。遺伝子組み換え作物を食べ続けたラットの一生は、雌は人間の30〜40代で乳がんを発症し、雄は、40〜50代で肝臓がんや腎臓がんを発症するという実験があります。日本は遺伝子組み換え食品を世界一輸入し消費している国です。ミツバチやトンボやラットが苦しんで教えてくれたことを無駄にしないで。みんな自分と自分の周りの人の病気に思い当たることがあるはずです。子どもの病気は母親の責任だと悩まないで、日本の農業や食品業界を変えましょう。これが私たちの静かな革命です。

追伸:日本の種子(たね)を守る会とメダカのがっこう共催で、日本の種を守る会の発足以来の活動報告と、種を守る新しい法律案の中間報告と、ドキュメンタリ映画「種はみんなのもの?それとも企業の所有物?」の初上映をします。日時は3月20日13:00〜17:00 場所は衆議院第一議員会館1階多目的ホールです。以後、この上映会を皆さんにしていただきたいので、ぜひ見に来てください。
★詳細・お申込みはこちら→ http://npomedaka.shop-pro.jp/?pid=127096161


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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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