中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2022.07.20(第93回)
田んぼカフェでもシードライブラリー始めました。

 種子法廃止で、米麦大豆の主要農作物の種子を外国含めた民間に渡され、種苗法改正で今まで当たり前だった農家の種取りを禁止され、ゲノム編集のトマトの苗が無償でバラまかれ、ゲノム編集の食品に表示を求める国民の声も聞き届けられませんでした。
 こうして、種と食という命の根幹を奪われ続け、押しまくられている私たち国民ですが、各地でこの悪い流れを押し返す動きが出ています。

 ちょうど、種子法廃止が決定された2017年頃に、シードバンクや、シードライブラリーを始める人たちが出てきました。その1つが富士山麓で30軒ほどの有機農家でつくっているシードバンクです。

 そのリーダーである鈴木一正さんにお話を伺う勉強会があり、非常に心を動かされ、即座に、メダカのがっこう 田んぼカフェにもシードライブラリーの棚を作りました。今まで在来種のじねん道さんの種子を扱っていたので、その下の段に、みんなが種採りして持ってきてくれた種をビンに入れて並べました。品種名、由来も記録しています。

 種取りの現状はというと、今ほとんどの農家が種採りをしていません。それは、ほとんどの種子がF1種といって、2代目以降は形質にばらつきが出てしまうからです。
 なぜF1種が栽培品種に選ばれるかと言えば、成長が早く、発芽時期や、大きさ、形、収穫時期が揃うからです。日本では流通も消費者も、形や大きさが揃っている野菜を選ぶので、農家もF1種を栽培するのです。F1種のきゅうりで面白い話を聞いたのですが、ちょうど21pのかっぱ巻きにする海苔の幅と同じ長さの品種があるそうです。望ましいか否かを抜きにすれば、すごい農業技術であることに間違いありません。しかし揃うのは1代限りで、種取りをして播いても同じものは出来ないので、農家は種取りをしなくなり、毎年種を買うようになりました。

 ですから、鈴木一正さんたちが栽培し種採りをしているのは、在来種です。在来種は自然児のようで、発芽時期も成長スピードも大きさも形も、収穫期もばらつくので、流通には向かないのです。しかし家庭菜園などでは、収穫期が長いので向いています。富士山麓シードバンクでは30軒ほどの有機農家の方たちが、お互いの農場に種採りの手伝いに行き、その中から一部をシードバンクに入れてもらっているそうです。

 昔は種は財産で、とても大切なものでした。そこで種の交換は、お寺や神社などで行われており、種の家系図で130年たどれるものもあるそうです。ある時、北海道から作り手のいなくなった種を預けにこられたおばあちゃんがいて、その種を静岡で作ってみたら意外にも育ったり、今度はその種を持って北海道に新規就農に行く方が出たりと、種の里帰り物語がシードバンクをめぐって展開されたりと、うれしい出来事もありました。

 一つ、全国でも真似したい素晴らしい取り組みがあります。それは学校を拠点としたシードバンクです。上級生から下級生に種採りをつないでいく活動がされています。学校にその地域の種が集められていくことは素晴らしいし、子どもたちにとっても、またとない命の学びとなるでしょう。

 もう一つ、面白い活動があります。それは「世界一時間のかかるみそ汁作り」です。大豆の種まき、収穫、味噌づくり、味噌の醸造中に具材の野菜作りと、トータルで1年半かかる授業になります。食べたいものを食べたいときにコンビニで買うことに慣れている子どもたちには、真逆の体験になり、大変人気があるそうです。

 その他にも、支援学校で月1回の有機給食の活動や、同じ志を持っている中国、韓国、台湾と日本との4か国の交流もしています。また、ミツバチが減ってきて受粉が出来なくなることを防ぐために、養蜂も始めているそうです。もし地球上からハチがいなくなったら75%の食料が消滅するらしいので、これは必要なことです。

 これは今日本に一番必要な動きだと思い、メダカのがっこうでもシードライブラリーを始めました。先日アマランサスの種を房ごといただき、もみすりをして種を出したところ、細かいフルイから落ちていくけし粒ほどの種が集まりました。このけし粒のような種に、あの背の高いみっしりと房のなるアマランサスに育つ情報が全部入っているのかと思うと、不思議というほかない命の神秘を感じます。どんな細工を種にしたとしても、命を創造したわけでもない人間に特許を与えるなど、ふさわしくないことだと思います。

 シードライブラリーやシードバンクを始めたい方は1本の棚から始められます。毎年作って更新していけば、冷蔵庫も冷凍庫もいりません。透明なビンに乾燥剤を入れるだけで大丈夫です。品種名や、それが分からなければ、いつ誰からいただいたのか、その方はまた誰からいただいたのか、どの地方のものなのかなど由来を聞いて記録しておきましょう!

 皆さん、よろしくお願いいたします。

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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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