船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井幸雄グループスタッフによるコラムページです。
日々仕事をする中で感じていることなどを自由に語ったページです（このページでは、便宜上、船井幸雄を“船井会長”と呼び、敬語表現を使わせていただいています。ご了承ください）。

　先日のＷＢＣ(ワールドベースボールクラシック)の優勝に日本中が湧きました。私が、そこで感じたことは、報道するニュースで使われていた言葉に「スモールベースボール」とありましたが、その可能性です。要は、海外選手によくみられるパワーを全面に出した短絡的なパワー野球ではなく、組織力から成る、緻密さ、精巧さで勝負する野球です。

　外国人に比べ、日本人はパワーで劣りますが、スモールベースボールで世界一を勝ち取りました。それも連覇です。大きな理由は、防御率ダントツ一位の投手力にあったのは間違いないですが、特にピッチャーの正確なコントロール、緩急、打者との駆け引き等、計算された「緻密さ」は、他国のピッチャーを含めたバッテリーにはないものでした。また送りバントやヒットエンドラン等、点ではなく、点と点を線としてつなげる攻撃がスモールベースボールの特徴です。国別対抗戦は、個々の成績よりも「日本の野球のため」という、フォアザチームの精神を否応なく駆り立て、「つなぐ野球」を実現させました。

　個々それぞれの力量では、負けていたかもしれませんが、結局最後はチーム力で勝ったということは、それだけ組織力は重要という証明です。これを会社に置き換えると、極論、会社の業績も、組織力次第なのかもしれません。結局、経営は「人」次第とよく言われますが、人は色んな人と関係性を持つことによって生きる意味を見い出すと考えると、会社はまさしく、人間関係が織り成す人間模様そのものです。

　船井会長は、人生の役割に気付くヒントに自分の長所があると言います。会社という人間関係の組織の中に身をおいて、自分のポジショニングを各個人がしっかり考えれば、会社で働くということが自身の役割に気付く大きなきっかけになると考えることができます。

　おそらく私が、野球を好きで熱中していたのも、「野球という競技」よりも「組織が噛み合ってくる過程でのチームメイト同士の何とも言えない高揚感」みたいなものが魅力で続けていたように思います。しかし、役割を自認し、役割を全うしようという姿勢は、フォアザチームの精神があってこそです。今回の「日本の野球のため」、仕事に置き換えれば、「会社のために」という精神があるかどうかが自分のポジショニングを探し始めるのスタート地点です。おそらく会社に魅力がなければ、個人成績に注力しがちで、組織のまとまり度合いなんて二の次でしょう。

　昨今、会社のために働いている社会人は、そんなに多くないと思います。現に私もそういう経験を経てきました。「会社のため」という視点があるからこそ、組織における自分の役割を必死に探し求めるようになるはずです。そういう思考ができる環境に身が置けていることは感謝すべきことだと改めて思います。

　スモールベースボールが準決勝で野球大国のアメリカを敗り、世界を席巻したことは、マクロに見て「組織力に長ける」日本人の考え方、習性が最先端の時流だと証明する一因になったと感じずにはいられません。時流は色んな場面に現象として現れると思いました。


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４周目：「旧友　（テーマ：“働く”ということは）」
５周目：「志を一つに　（テーマ：私が日々思ふこと）」
６周目：「伝えるということ　（テーマ：私が日々思ふこと）」
７周目：「自身の役割とは　（テーマ：私が日々思ふこと）」
８周目：「冬の季節に思うこと　（テーマ：私が日々思ふこと）」
９周目：「お客様に教えられる　（テーマ：私が日々思ふこと）」
１０周目：「本物の法則とは　（テーマ：私が日々思ふこと）」
１１周目：「死生観　（テーマ：私が日々思ふこと）」
１２周目：「商売の本質　（テーマ：私が日々思ふこと）」
１３周目：「勝負の別れ目　（テーマ：私から皆さまにお伝えしたいこと）」
１４周目：「日々私が思うこと　（テーマ：私が日々思ふこと）」
１５周目：「信頼から生まれる組織力　（テーマ：私が皆さまにお伝えしたいこと）」
１６周目：「ツキで周りを固める　（テーマ：私が日々思ふこと）」
１７周目：「妻のこと　（テーマ：私が日々思ふこと）」