ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2015.06.01(第16回)
グローバルエリートとはなにものなのか? 前編

 これまでのコラムで見たように、だれもコントロールできない社会現象として起こっているように見えた「カラー革命」や「アラブの春」、そして「ウクライナ政変」などは、実は米国務省や米軍産複合体のパワーグループが背後で動き、綿密な計画の元に仕掛けられたものであったことを見ました。
 ネットには陰謀論に基づく根拠のさだかではない仮説がたくさん流通していますが、これはそうではありません。裏でだれが仕掛けたのか証明する事実はあまりに多く存在しているので、これを無視することは不可能です。「カラー革命」「アラブの春」「ウクライナ政変」の拡大に多くの人が情報を発信できるインターネットのSNSが極めて大きな役割を果たしたことは間違いありません。インターネットが普及する以前の時代ではこんなに早く拡大しなかったでしょう。
 しかしインターネットの作用で、臨界点にまで引き上げられた抑圧された社会のストレスに、周到な計画に基づいて点火し爆発させたのは、これを裏で仕掛けたパワーグループであることは間違いありません。

 むしろ、こうした大きな社会変動が、社会のコントロール不能な政治経済的なメカニズムに基づいてひとりでに発生したかのようなシナリオを作り、報道している機関こそ、大手のメディアです。大手のテレビや新聞はみなこのようなシナリオで報道するため、パワーグループが明らかに仕掛けていることを示す証拠がどれほど大量にあろうとも、完全に無視します。規定の報道のシナリオに合わない事実は排除されるということです。
 このような状況ですので、実際に起こっている真実を知るためには、主にネットで配信している独立系のメディアから情報を得る必要があります。すると、事件を仕掛けた勢力と、それが仕掛けられるプロセスが、はっきりと見えてきます。

●グローバルエリートの実態、「超階級」
 しかし、それにしてもこのような出来事を仕掛けている勢力はだれなのでしょうか。
 そのような集団は明らかに存在しています。そうした集団は、よく陰謀論にあるような神秘的な集団ではありません。現在の資本主義のシステムで、最大の資本と政治力を有する巨大企業、業界団体、そしてそれらを代表する政治勢力の集合体です。アメリカの軍産複合体やネオコンなどもこうした集合体の一部です。

 大きな話題になった本に、トマ・ピケティの『21世紀の資本』(みすず書房)があります。
 この本は、資本主義の発展は格差を解消することではなく、逆に拡大してしまうという事実を完璧に実証することに成功した本です。こうした格差拡大の傾向が明白なら、過去5世紀にわたる資本主義の歴史で、巨大な富を蓄積した超富裕層の集合体が存在していてもなんら不思議ではありません。
 まず、実証的な取材に基づき、こうした集団の実像を明らかにした本に『超・階級 スーパークラス』(光文社)があります。著者は、ヘンリー・キッシンジャーが設立した著名なシンクタンク、「キッシンジャー・アソシエーツ」のCEOだったデビッド・ロスコフです。いわば「グローバルエリート」のインサイダーが書いた本です。

 この本によると、政治的、経済的な世界規模の動きを実際に操作し、影響を与えるだけの力をもつ個人は約6000名おり、それぞれが分野別に分かれた集団のネットワークに参加している事実を本人へのインタビューを通して詳しく暴き出しました。
 これらの個人は、巨大多国籍企業のCEOと大株主、また軍や政府機関のトップ、国際金融資本のCEOと大株主などの人々です。彼らの多くは、ハーバード、スタンフォード、オックスフォードなど世界のトップ20の大学にある特定のゼミの出身者で占められた同窓会の集団でした。彼らはそれぞれの分野で学閥を形成しており、グループ内で頻繁に情報交換を行い、それに基づき世界の政治や経済に大きな影響を与える決定をしています。
 このように、「グローバルエリート」と呼んでも差し支えのないほどの権力をもつ集団はたしかに存在しているものの、それは分野別に分かれた同窓会のインフォーマルなネットワークでしかなく、世界の政治や経済の動きを計画し実行する、中心となるような組織や機関が存在している確たる証拠はないということでした。
 たしかに「ビルダーバーグ会議」のような、陰謀論で世界政治を陰で操る組織として話題になる集団は実際に存在していたものの、「ビルダーバーグ会議」は引退した巨大多国籍企業の元CEOの親睦会であり、実質的になんの力もないことが分かりました。

●スイス連邦工科大学の本格的な調査と分析
 このように、世界をリードしている「グローバルエリート」とは、インフォーマルな同窓会の集合体でした。これが、2009年に書かれたデビッド・ロスコフの『超・階級』が証明した事実です。

 また、「グローバルエリート」の実態をさらに突っ込んで明らかにしたのが、2011年にスイス連邦工科大学の調査です。これは、世界有数の43000社の支配と所有の関係を数理的に解析したところ、これらの企業の所有権が147社の企業に集中している事実をつきとめました。
 そして、さらにこの147社の企業群を財政面から実質的に支配しているのは、実に数社の巨大金融機関でした。この金融機関の集合体こそ、「グローバルエリート」という言葉がもっとも当てはまるグループです。
 この研究は物理学の学術誌「PLOS ONE」に、「グローバル企業コントロールのネットワーク」という題名の論文で発表されました。以下が147社のうちのトップ50社のリストです。長いが掲載します。

●トップ50社のリスト
1. Barclays plc
2. Capital Group Companies Inc
3. FMR Corporation
4. AXA
5. State Street Corporation
6. JP Morgan Chase & Co
7. Legal & General Group plc
8. Vanguard Group Inc
9. UBS AG
10. Merrill Lynch & Co Inc
11. Wellington Management Co LLP
12. Deutsche Bank AG
13. Franklin Resources Inc
14. Credit Suisse Group
15. Walton Enterprises LLC
16. Bank of New York Mellon Corp
17. Natixis
18. Goldman Sachs Group Inc
19. T Rowe Price Group Inc
20. Legg Mason Inc
21. Morgan Stanley
22. Mitsubishi UFJ Financial Group Inc
23. Northern Trust Corporation
24. Societe Generale
25. Bank of America Corporation
26. Lloyds TSB Group plc
27. Invesco plc
28. Allianz SE 29. TIAA
30. Old Mutual Public Limited Company
31. Aviva plc
32. Schroders plc
33. Dodge & Cox
34. Lehman Brothers Holdings Inc*
35. Sun Life Financial Inc
36. Standard Life plc
37. CNCE
38. Nomura Holdings Inc
39. The Depository Trust Company
40. Massachusetts Mutual Life Insurance
41. ING Groep NV
42. Brandes Investment Partners LP
43. Unicredito Italiano SPA
44. Deposit Insurance Corporation of Japan
45. Vereniging Aegon
46. BNP Paribas
47. Affiliated Managers Group Inc
48. Resona Holdings Inc
49. Capital Group International Inc
50. China Petrochemical Group Company

 これを見ると、ほとんどが欧米系の巨大資本ですが、「野村ホールディングス」と「三菱UFJ」の2つの日本企業が入っているのが印象的です。

●ネットワークを支配する金融機関
 このスイス工科大学の分析は、世界経済で巨大な影響力をもつトップ企業群の支配と所有の関係を明らかにすることが目的なので、こうした企業のCEOやオーナーがもつ相互の人的なネットワークは分析の対象になっていません。
 しかし、これらのトップ企業の最高経営者が、『超・階級』が明らかにしたように、産業分野別のグループに分かれたネットワークを形成し、頻繁に情報交換している可能性は十分にあります。
 そして、そうした企業群のネットワークの上位に位置し、さらにこれを支配する関係にあるのが、「ゴールドマンサックス」「シティ」「モーガンスタンレー」「バンクオブアメリカ」「ドイツ銀行」など、一握りの金融機関の集合体です。
 「ロスチャイルド家」や「ロックフェラー家」というのは、これらの金融機関を複数支配するパワーグループです。

●世界銀行、カレン・ヒューデスの内部告発
 ところで、この147社のトップ企業群を実質的に支配している一握りの巨大金融機関が、世界経済のシステム全般をもコントロールしている実態を明らかにしたのが、「世界銀行」の法務部門の主席弁護士であったカレン・ヒューデスです。

 カレン・ヒューデスはエール大学で弁護士資格を取得後、アムステルダム大学で経済学を学び、「世界銀行」の法務部門で20年ほど弁護士として勤務した「世界銀行」のいわばキャリア官僚です。
 ヒューデスは、「バーゼル規制」を通して世界の銀行のグローバルスタンダードを決定している「国際決済銀行」こそ、スイス工科大学の分析が明らかにした「グローバルエリート」の牙城である金融機関が、世界経済を支配するために使う機関であるとしています。
 ヒューデスによると、この機関は実質的に彼らの完全なコントロール下にあり、私物化されているといいます。
 この告発を行った後ヒューデスは、「世界銀行」の職を解任されました。いまは、「グローバルエリート」が主要なメディアをも支配している状況を告発し、また彼らの長期的な計画を暴露しています。そして、こうしたエリート支配の状況を打破し、民主的なシステムを構築するための運動を展開しています。

●イルミナティーはどうなったのか?
 さて、これが確実に実証可能な「グローバルエリート」の実態です。この範囲にある情報は十分な実証が可能なので、いわゆる陰謀論とは一線を画しています。
 こうした実証可能な範囲にある情報からは、「イルミナティー」「フリーメイソン」「サタニスト」「ボヘミアン・グローブ」と言ったようなオカルトの匂いがする支配集団の名前はまったく登場してきません。その意味では、こうしたオカルティックな集団こそ、陰謀論の文化が作り上げた幻想なのかもしれないと疑いたくもなります。

 でも、実はかならずしもそうではないことが、「グチファー」のハンドルネームで知られる人物からのリークで明らかになりつつあります。これが次回に詳しくお伝えしましょう。

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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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