ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2015.12.01(第22回)
予測を越えた事件の激増

 11月の後半に入ってからというもの、予想を越えた事件が激増しています。132名もの人々の命が犠牲になったフランス、パリの同時テロ、シリア国境でのトルコによるロシア軍機の撃墜、ヨーロッパへと殺到するシリア難民とそれに混ざって侵入する「イスラム国」のテロリスト、これに対する反応としてヨーロッパ各地で激増する極右と民族主義の運動などです。こうした出来事を見ていると、どうも世界がおかしな方向に動いているのではないかと感じる読者も多いのではないでしょうか? いったいこれからどうなるのか不安になってくることでしょう。
 一方、このように大きな出来事が起こっているにもかかわらず、なにが本当に起こっているのか真実が日本では報道されることはありません。特に安倍政権になってからというもの、テレビや新聞などの主要なメディアはとことんコントロールされ、アメリカや日本に都合の悪い情報が報道されることはなくなりました。いま私たちはメディアが作り出したファンタジーの中に生きているような状態です。
 そこで今回は、同時テロや難民問題、そしてロシア軍機の撃墜など一連の出来事の、直接的な背景となっているシリアに関して、日本ではまったく報道されていない現実を紹介しましょう。

●なぜ欧米はアサド政権打倒なのか?
 いま日本や欧米の主要メディアでは、ロシアのシリア空爆の成功で、欧米への憎しみに駆られた「イスラム国」の戦闘員が世界各地に拡散し、これから多くのテロを引き起こす可能性が高いと報道されています。
 そのため、「イスラム国」を壊滅する国際包囲網の構築が急がれていますが、アサド政権の退陣を再優先するアメリカをはじめとした有志連合と、「イスラム国」を壊滅し、シリアを安定させるにはアサド政権の支援を強調するロシアとが対立し、包括的な国際包囲網の構築ができない状態です。

 このように、欧米とロシアの立場の違いは日本でも報道されています。でも、なぜこのような立場の違いがあるのでしょうか?
 その理由は日本ではまったく報道されていません。

 そもそも初めからアメリカとNATO諸国、そしてこれに協力しているサウジアラビア、トルコ、カタールなどの有志連合が、ロシアと同じようにアサド政権を支持していれば、シリア内戦は起こっていなかったに違いありません。すると、「イスラム国」のようなイスラム原理主義勢力の台頭もなかったし、シリア難民がヨーロッパにあふれることもなかったはずです。
 たしかにアサド政権は、武力で反政府勢力を徹底して弾圧する独裁政権です。しかし、そのような政権だからこそ、イスラム原理主義勢力の歯止めになっていたことは間違いありません。したがって、アサド政権が弱体化すると、内戦の激化からシリア難民がヨーロッパに殺到し、それに紛れて侵入してきた「イスラム国」の戦闘員が、ヨーロッパ各地でテロを引き起こす可能性が高くなることは容易に予想がついたはずです。
 事実、ロシアのプーチン大統領は、アサド政権の崩壊がイスラム原理主義勢力の拡大につながることを、欧米に向けて何年も前から何度も警告していました。
 それなのになぜ、アメリカを中心とした欧米諸国や有志連合は、アサド政権の崩壊にこれほどまでにこだわっているのでしょうか?

 パリで「イスラム国」による同時テロが起こったいま、欧米と有志連合はロシアに協力してアサド政権を支え、「イスラム国」を崩壊させる統一戦線の形成への要請が強くなっています。これに応じて米国防省は、シリアにおいてロシア航空宇宙軍と連携することを発表しました。
 しかし、あいかわらず欧米と有志連合は、アサド政権打倒の方針をまったく放棄していません。シリア情勢安定に向けた協議の実施には、まずはアサド大統領が政権を去ることが条件だとしています。
 また「FOXニュース」や「CNN」などのアメリカの主要メディアは、「毒ガスで国民を攻撃する独裁政権」、「シリア国民を独裁政権から解放するための戦い」、「イスラム国よりも残虐なアサド政権」などアサド政権を悪魔化するキャンペーンを展開し、アサド政権の崩壊こそシリア情勢の安定には不可欠であるかのようなイメージを躍起になって喧伝しています。
 要するに、自由と民主主義を求めるシリア国民の戦いを支援し、アサド政権を打倒することこそ、シリアを安定させることになるというわけです。
 もとより、このようなキャンペーンの内容にはなんの合理性もないし、また現実をまったく反映していないことは明らかです。まったくのファンタジーです。最近、国連から新しく出た報告書では、2013年に毒ガス兵器を使用したのはアサド政権ではなく、「イスラム国」である可能性が高いと指摘しています。
 また、イギリスの世論調査会社、「ギャロップ」が行った調査では、79%のシリア国民がアサド政権を支持している可能性が高いことが分かりました。

 そうした状況であるにもかかわらず、なぜ欧米と有志連合諸国は、アサド政権の打倒にこれほど固執しているのでしょうか?

●ロシアがアサド政権を支持する理由
 他方、ロシアがアサド政権を支持する理由は明白です。
 プーチン大統領がスピーチで何度も言及しているように、アサド政権が崩壊した場合、シリアはイスラム原理主義勢力に占拠されてしまうからです。すると、「イスラム国」を中心としたイスラム原理主義勢力は、ロシアの勢力圏の中央アジアに侵入し、テロが拡大する可能性があるからです。
 すでに「イスラム国」には、ロシアと中央アジア諸国の戦闘員が7000名ほど参加しています。こうした戦闘員が母国に戻り、テロを多発させることは十分に考えられます。このため、イスラム原理主義勢力の防波堤となっているアサド政権を、ロシアは全力で支援する必要があるのです。
 たしかにこれは、アサド政権の崩壊を狙う欧米よりもはるかに合理的な理由です。しかしながら、そうであっても、ロシアがアサド政権を支持する理由は本当にこれだけなのでしょうか? 他に理由はないのでしょうか?

●ロシアのピークオイルと2つのパイプライン
 実は、これらの理由について、説得力のある報道がなされたことはいままでなかったと言ってよいでしょう。特に日本のメディアではそうです。
 このコラムで、イスラエル外務省が1982年に発表した中東流動化政策があり、これが現在でも実施されていることを紹介しました。
 それは、イラクのフセイン政権、リビアのカダフィ政権、そしてシリアのアサド政権などのイスラエルに敵対する軍事的に強大な独裁政権をすべて崩壊させ、中東全域を異なった宗派が対立する恒常的な流動状態におくことが、実はイスラエルの安全保障にとってもっとも理想的な状態だとしていました。そしてこの政策は、これを実現するための手段としてイスラム原理主義運動を支援し、対立を煽ることが骨子でした。
 イスラエルにとって、アサド政権の打倒を推し進めることは、この30年来の中東流動化政策の一環であることは間違いありません。
 たしかに、欧米と有志連合に集まった諸国がイスラエルのこの政策を支援していることは間違いないとしても、実は欧米とロシアのアサド政権に対する立場の相違には、イスラエルとは相対的に関係のない独自の理由が存在していることが、最近明らかになりました。
 それは、ロシア産原油のピークオイルの時期がかなり近いという事実、ならびにそれと関連して、欧米とロシアが建設している2つのパイプラインのことです。

●ロシア産原油のピークオイル
 ロシア産原油の生産が限界に近づいていることは、複数の機関の調査から明らかになりました。この経緯をはじめて詳しく報じたのは、アメリカの外交政策の奥の院である「外交問題評議会(CFR)」の季刊誌、『フォーリンアフェアーズ』の10月号でした。
 この記事によると、まず2年前の2013年、香港上海銀行(HBSC)は、2018年から2019年にロシア産原油の産出はピークに達し、その後、産出量の横ばいが続いた後、2020年から2025年には原油の産出量は30%減少すると予測しました。これは、同じ年に出された「フィッチ・レーティングス」の予測とほぼ一致する結果でした。
 ところが昨年、ロシア第2の石油企業、「ルクオイル」のレオニード・フェデュン副社長は、ロシア産原油の産出は予想以上に早くピークに達し、産出量の減少が早期にやってくると発言しました。

●欧州のエネルギー供給者、ロシアの次の一手
 これは、将来ロシアが大きな危機に直面することを意味しています。周知のようにロシアは、ヨーロッパの原油と天然ガスの約80%を供給しています。このヨーロッパのエネルギー需要のロシア依存が、ロシアが欧米に対して政治的に強い立場を維持することができる基盤です。もしロシア産原油が早期にピークに達し、原油の産出量が減少するのであれば、ロシアのこのような政治的に有利な状態は維持することができなくなります。
 このためロシアは、ピークオイルに達する2018年を目指して、ヨーロッパに対する政治的に有利な立場を維持できる次の一手をすでに考えているのです。
 それは、ロシアが2010年に開始したイラン、イラク、シリアの3ヵ国を結ぶパイプラインの建設です。シリアにパイプラインで集積したイラン産とイラク産原油と天然ガスは、地中海のラタキア港からバルカン半島まで運ばれ、そこからヨーロッパ全土にパイプラインで供給するという計画です。
 イランはロシアの同盟国であり、シーア派の勢力が多数のイラクはイランの影響下にあります。したがってロシアは、強い同盟関係にあるイラン産原油と、イランとのつながりの強いイラク産原油の供給者となることで、ヨーロッパにおける政治的な優位性を維持することができます。
 そしてこの計画の中核になるのはシリアです。ロシアが支援し、関係が強いアサド政権が続く限り、シリアはこのパイプライン建設に全面的に協力し、イラン産とイラク産原油が集積するハブとなります。
 でも、シリアの内戦が激化したため、約16億ドル規模のパイプライン建設計画はつい最近まで一時中断されていました。しかし、ロシアの空爆によって「イスラム国」の勢力は大幅に後退し、シリア政府軍の支配地域が拡大したため、早期に建設を再開することが決まりました。

●欧米のパイプライン計画
 他方、ロシアのエネルギー供給に依存しているヨーロッパは、この依存から脱することのできる方途を模索していました。また、ヨーロッパにおけるロシアの政治的な立場の強化を脅威として感じているアメリカは、ロシア産原油のピークオイル以降も、エネルギー供給者としてのロシアの支配が維持されるイラン−イラク−シリアパイプラインの建設阻止を望んでいました。
 そこで計画されたのが、カタール産原油をサウジアラビアからヨルダンを通り、そしてシリアからトルコに至るパイプラインを建設し、トルコから南ヨーロッパ経由でヨーロッパ全土にエネルギーを供給する計画でした。
 このパイプラインは、欧米資本の支配下に入ります。このパイプラインが稼働すると、ヨーロッパのロシア依存は大幅に低下し、その分ロシアはヨーロッパに対する政治的に強い立場を失うことになります。
 やはりこのパイプライン建設計画でも、シリアが重要な通過地点になります。建設を進めようとしているアメリカは、シリアのアサド政権にこの計画にシリアも参加することを要求したましが、ロシアとの関係が強いアサド政権はこれを拒否しました。

●ロシアの親アサドと欧米の反アサドの本当の理由
 この10月に明らかになったこのような状況から見ると、なぜロシアがアサド政権の存続を強く望み、欧米と有志連合がなぜアサド政権の崩壊を画策しているのかがよく分かります。これは、ロシアと欧米の勢力拡大を巡る地政学的な対立なのです。
 ちなみに、カタールを起点にしたパイプラインが通るサウジアラビア、ヨルダン、トルコは、アメリカを中心にした有志連合に加わり、空爆を実施している国々です。ということは、アメリカと有志連合の空爆の目的は「イスラム国」の壊滅ではないことが分かります。本当の目的はアサド政権の崩壊なのです。

●1987年2月の「エノク予言」
 これが最近明らかになった情報です。これが事実だとするなら、欧米と有志連合はアサド政権を潰すためには、あらゆることをするでしょう。シリアの反政府勢力である「イスラム国」を支援することだってあります。ロシアと協調した「イスラム国」の国際包囲網の形成は極めて困難でしょう。
 実は、いま起こっていることをかなり正確に予言した人物がいます。スイスのUFOコンタクティー、ビリー・マイヤーです。UFOの動画や写真を偽造したのではないかという疑惑がある一方、極めて高度な内容のコンタクト記録を公開しているので、支持者も多いのも事実です。
 そのマイヤーが1987年、2月28日に行われたコンタクト記録に「エノク予言」と呼ばれる予言があります。これは21世紀の初頭にどのようなことが起こるのか、具体的に示した予言です。この予言には次のようにあります。

 「イスラムの狂信者が決起してヨーロッパの国々を戦争で蹂躙し、それによって一切が激しく揺り動かされるであろう。西側ではすべてが破壊され、英国は打ち破られて、最も悲惨な状況に投げ込まれるであろう。イスラム狂信主義者とイスラム戦士は、長い年月にわたってその権力を維持するであろう。しかしこうしたすべての、ことはヨーロッパだけに限られるものではなく、地球のすべての国と人間が巻き込まれるであろう。なぜならば、一切が世界中を巻き込む戦争へと拡大していくだろうからである」

 「イスラム国」がヨーロッパ各地で無差別テロを引き起こす可能性が極めて高くなっているいま、これは実に不気味な予言です。28年も前の1987年には到底予測できることではありません。
 マイヤーが2014年に公開した文書では、このような状態になるのは2020年前後だと言います。また、このまま行くと92%は的中するが、8%は私たちの行動で予言全体を回避できる可能性があるといいます。

 どうなるでしょうか?

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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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