“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2015.11
中国の結婚事情

 「70年後の中国の男性のうち半分は結婚できない」。中国の代表的なマスコミ、第一財形は衝撃的な見解を表明しました。中国では一人っ子政策の歪みで男児を望む傾向が強く、最近では女児とわかった場合は堕胎するなどの事象が多く見受けられるようになりました。気が付いてみると男女の比率に極端に差が出るようになって、その傾向がますます酷くなる一方で、ついには将来中国では男性の半分は伴侶を見つけること不可能になって一生独身で過ごすしかなくなる、という衝撃的な見解が表明されたのです。
 現在中国における男女の比率は、20歳以上では男性51.2%に対して女性48.8%と許容範囲ですが、今後を担うはずの若者をみると深刻なことになっているのです。中国での20歳以下の男女の比率をみると男性54%に対して女性46%となっています。従来から中国の一人っ子政策の歪みはいずれ中国の社会に大きな問題を生じさせないわけがない、と言われてきましたが、徐々にこの男女の数の差の著しい歪みは中国における大きな社会問題に発展しそうです。

 とにかく現在でも中国の男性にとってお嫁さんを探すのは容易なことではありません。
 中国の国家統計局によれば、中国の男性の数は女性の数に比べて3300万人も多いということです。自然な出生児の男女比は女児100人に対して男児が103−107人と言われていますが、中国でも1980年代まではこのような正常の範囲内だったのです。ところが1980年以降、一人っ子政策が厳しくなるに従って、男児の出生の比率が飛躍的に上昇してきたのです。2004年の統計ですと、女児100人に対して何と男児の比率は121.8人にまで上昇、これでは歪(いびつ)な社会が生じてくるのも当然でしょう。
 男女比の比率が極端に拡大することによって、中国では早婚や売買婚、性犯罪など様々な問題が際立ってきたということです。これだけの問題が生じるのはやはり一人っ子政策が厳しく施行されたことによって、跡取りの欲しい夫婦が男児の出生を強く望んだことや、最近の医療技術の進歩によって胎児の段階で性別が判定できるため、女児とわかった瞬間に堕胎などの行為が頻繁に行われているためと思われます。現に中国での第2子の性別を見ますと、女児100人に対して男児が152人という驚くべき結果が出ています。一人っ子政策で第2子が欲しい夫婦は極端に男児を望むケースが多く、堕胎などを繰り返すことによって、このような自然の摂理に反した男児の異常な出生率の多さということになっているわけです。

●一人っ子政策廃止後に広がる思わぬ余波
 このような風習が長い間に行れ続けたわけですから、社会が大きな問題を抱えるようになるのも当然です。
 中国は今年の全国人民代表大会(※中華人民共和国の一院制議会)の決定で、一人っ子政策を廃止して夫婦全てに二人まで子供を作ることを許すようになりましたが、今更政策変更しても過去の長い間の歪みや社会的な弊害が収まるわけもないのです。現に一人っ子政策を完全廃止したからと言っても、二人目の子供を作る夫婦が激増するという調査結果は出ていません。むしろ最近の中国では物価高が目立つようになり、また子供の教育費の高騰がはっきりしてきていて、普通の夫婦ではとても二人の子供を教育させて養う余裕はないということです。日本でも豊かになるにつれて夫婦が作る子供の数は減っていますが、中国もここで高度成長を成し遂げたわけで、豊かになった他の国のように普通の夫婦は多くの子供を望まない傾向がはっきりしてきているのです。
 となると、今までの男女の数の異様な不均衡の本格的な社会問題が深刻化、露呈してくるのはこれからと思っていいでしょう。

 中国での結納相場、いわゆる結婚時に中国では男性側がお嫁にくる女性側に支払う結納金の相場ですが5年前は10万元(約200万円)でしたが、今では15万元(約300万円)と急騰しているということです。中国の平均的な年収は60万円程度と言われていますから、結婚にまでたどり着くコストは中国の男性にとって容易なことではありません。
 結果的に、ある程度裕福な男性でないと結婚できないという現実に直面しているわけです。逆に見ると、貧困地区は誰もお嫁さんがこないという深刻な状況が生じているわけです。特に悲惨なのが地方の農村部です。農村部では収入が都市部ほどないですから、必然的にお嫁さんがきません。よって中国では、地方の農村部では貧困なために誰も嫁の来てがなく、このような地域は必然的に独身者だけが暮らす<独身村>という状況になってきたようです。<貧困地域>イコール<独身村>に転落という構図です。
 中国の西安交通大学の調査によりますと、これらの中国の地方の農村部を調べたところ、何と男性の3割までもが結婚詐欺にあった経験があるというのです。特に中国国内で酷い結婚詐欺と報道されたのは「ベトナム人花嫁集団逃亡事件」です。ベトナム人の未亡人が紹介者となって多くのベトナムの女性が花嫁として紹介され、結婚が成立したということです。これらベトナムから来た花嫁は器量も良いということで近隣の村でも話題になって、多くの方面から紹介依頼が舞い込んできたというのです。もちろん紹介料は高く、一人の紹介につき約200万円から360万円という高額な紹介料が要求されたというのですが、とにかく嫁の来ない地域にとっては切実な話ですから、多くの紹介がなされたわけです。
 ところが、こうして高額で紹介され結婚に至ったベトナム人の花嫁20人以上が、ある日突然、一夜にして紹介者と共に消えてしまったというのです。中国でもこの結婚詐欺はあまりに悪質ということで大きく報道されたというわけです。かように中国の貧困地区は、収入は少ないうえ詐欺の標的にされるという悲惨な状況となっています。

 また中国では現在、マイクロソフトの女性キャラの人工知能<シャオアイス>の対話サービスが引っ張りだこの状態になっているということです。この対話サービスを利用しますと、ユーザーと人工知能は日常会話や雑談などの人間らしい会話をすることができるというわけです。女性とのコミュニケーションに飢えている男性が(寂しいことですが)このサービスを盛んに利用しているというわけです。ユーザーが「愛しているよ」というと人工知能が「私も愛しているわ!」と応じてくれるというわけで、オタク系の男性に大人気になっているというのです。結果、驚くべきことですが、この対話ソフトのユーザーは何と、中国国内で3000万人超に上っているというのです。中国ならではのスケールの凄さですが、反面、やはりこの国の先行きを楽観視することなどできません。

15/12

2016年の展望

15/11

中国の結婚事情

15/10

郵政上場

15/09

現れ始めた高齢化社会のひずみ

15/08

荒れた株式市場の先行きは?

15/07

異常気象の連鎖

15/06

値上げラッシュ

15/05

新刊『株、株、株! もう買うしかない』まえがき

15/04

日米同盟強化の恩恵

15/03

アベノミクス その光と影

15/02

ギリシアの悲哀

15/01

止まらない<株売却ブーム>


バックナンバー


暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/

Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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