船井幸雄グループ社員の、日々もの思い、考へる

このページは、船井本社グループスタッフによるコラムページです。 「これからは“本音”で生きるのがよい。そのためには“本物の人間”になることが大事」という舩井幸雄の思想のもと、このページでは、社員が“本物の人間”になることを目指し、毎日の生活を送る中で感じていること、皆さまに伝えたいことなどを“本音ベース”で語っていきます。

書:佐野浩一
船井幸雄グループ社員の日々もの思ひ、考へる あの社員の一日を公開!
ドアーを閉めさせていただきます
2018.7.12(Thu)
社名:(株)船井本社 『舩井幸雄.com』&『舩井メールクラブ』事務局
名前:藤原 かおり

 皆さまこんにちは。(株)船井本社『舩井幸雄.com』事務局&『舩井メールクラブ』事務局の藤原かおりです。
 西日本の記録的な大雨で被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。皆さまのご健康と一日も早い復旧を心より祈っております。

 さて、最近読んだ文章で、ドキッとする目が覚めるような感覚を久しぶりに味わいましたので、ここで皆さまとシェアしたいと思います。
 それは、『子どもと昔話』という季刊誌の2018年夏号の小澤俊夫さんの連載『日本を見つめる』の「ドアーを閉めさせていただきます」という文章です。

 季刊誌『子どもと昔話』のことは以前も紹介したことがありますが、小澤昔ばなし研究所の小澤俊夫さんが編集長をつとめる雑誌です。もともと、私が学生時代からファンだったミュージシャンで小澤俊夫さんの息子のオザケンこと小沢健二さんの「うさぎ!」という連載を目当てに購読し始めたのですが、その後、ご存知のように(うれしいことに!)オザケンは歌手活動に復帰し、しかし残念なことに多忙のため「うさぎ!」は休載となってしまったのですが、『子どもと昔話』は引き続き購読しています。
 以下に小澤俊夫さんの「ドアーを閉めさせていただきます」の文章を転載いたします。長くなりますが、ぜひお読みください。

ドアーを閉めさせていただきます
                             小澤 俊夫


 ある電車の始発駅で、発車時刻が近づくと駅の放送が、「間もなく電車の扉を閉めさせていただきます」と言った。ぼくはびっくりした。「閉めさせていただきますって、閉めるのはあんたの仕事だろう。閉めさせていただきますというのはおかしいんじゃないか! お客様の意向を伺って、もしお客が、いや閉めてはいかんと言ったらどうするんだ」と思った。
 ぼくは近頃、人々が言葉の最後に「させていただきます」、「させていただきました」を付けることに深い不安を感じている。
 この言葉は、本来、とてもへりくだった表現で、相手の意向を伺って、その承諾をもとめる言葉である。相手の人が所有するものを拝借したいときに使うとか、相手の人の権利が及ぶものを使用させてもらうとき使う言葉である。
 ところが近頃は、あらゆるところでこの言葉を使っている。電車のドアーを閉めるのは車掌の仕事である。なのに「閉めさせていただきます」は全く見当違いである。
               (中略)
 分かりにくい問題だが、問題の第一は、どういう心境からこの言葉が出るのかという発言者の気持ちだ。そして問題の第二は、このおかしさに世間ではほとんどだれも発言しないという社会的風潮だ。
               (中略)
 その表現は「へりくだり精神」と言えるだろうし、「謙虚さ」の表れかもしれない。だがへりくだるあまり、自分の主体性を失っているのではないか。この世の中に自分がいて、その自分からの発言だという主張が消えて、周りの人たちの中でやっと「させていただく」という精神。やっと生きさせていただいているかのようである。
 そんなはずはないではないか。みんな自分の体を持ち、心を持ち、判断力を持って生きている。そういう自分が、今、仕事としてこの電車の扉を閉めるだから、「扉を閉めます」あるいは「扉が閉まります」とはっきり言うべきなのである。そう言えば、もしお客の誰かが「いや、ダメだ」と言っても「定刻ですから」と言えるはずだ。
 もちろん、こんな場面で、「いや、ダメだ」と言う客はいないが、「させていただきます」からつなげて考えれば、ありうるということである。
 ぼくが言いたいのは、「させてもらう」のでなく、自分の判断として「いたします」と言うべきだということに尽きる。「へりくだり精神」とか「謙虚さ」と言えばきれいなのだが、「させていただきます」を連発するのは、実は、自分の主張を述べることが怖いのではないだろうか、と考えてしまう。

「させていただきます」の氾濫を世間では誰も気にしないのは何故か
 「させていただきます」がこれだけ氾濫しているのに、世間ではほとんど問題にされていない。ぼくはそのことに恐れを持つ。それは日本の社会全体に、「させていただきます」という発想がしみついていることを示すからである。みんなが恐る恐る「させていただく」気持ちになっているからであろう。
 では、なぜみんなで恐る恐るの気持ちになっているのだろうか。
 ぼくがここで気がつくのは、あの「空気読め」である。周りの人の考えに気をつけろ。周りの人の考えと違うことは避けろ。それはひいては、自分の考えは出すな、につながる。ここまでひろげて考えてみると、「空気読め」と「させていただきます」は同じ根っこから出ていることに気がつく。
 その根っことは、「自分の考えは出さず、周りの考えに従え」である。これはもう、「個性」とか「自主独立」という考えの真反対である。
 「個性」とか「自主独立」という徳目を掲げる教育機関は、日本中にいくらでもある。徳目を額に入れて掲げておくこともいいが、日常的な会話の中で、「空気読め」とか「させていただきます」を平気で使う習慣を放置しておくことは恐ろしい。
 なぜ恐ろしいかと言えば、日本を戦争する国にしようと思う勢力が、「北朝鮮が日本に攻めてくる」とか、「中国が日本の南西諸島に攻めてくる」というような不安を駆り立てる言葉をテレビなどで流し始めたとき、多くの人が、自分の頭で考えずに、周りの「空気を読んで」、自分もそう考えるようになる危険があるからである。「そう考えさせていただきます」と。
 他人と異なることが怖いのである。阿部知二という文芸評論家が、敗戦後間もなくの1946年、『思索』という雑誌に、「他と異ることの恐れ」という論文を発表した。戦争中、日本人はみんな他人と異なることを恐れたので、全体主義に巻き込まれていったのだ、という反省の文章だった。
 今、ぼくは同じ恐れを持つ。自分の仕事についてまで「させていただきます」と言って、周りの人の目を気にし、「空気を読め」と言って周りの人の空気を気にする我々日本人。このままでは、「アメリカの自由のために、テロと戦え」という雰囲気がマスコミによって全国的に作られたら、その空気を読んで、テロとの戦いに出かけていくのではないか。原発再稼働が全国に行き渡り、「さあ、今度は原発技術を駆使して、原子爆弾を作ろう」という雰囲気がマスコミによって全国的に広がったら、「では、原発を作らせていただきます」ということになるのではないか。
 そんな日本にしてはならない。子どもたち、若者たちに、しっかり自我を持ち、自分の頭で考えることの大切さを伝えなければならない。それには、今、大人をやっているわれわれが、「空気を読む」ことをやめ、「させていただく」ことをやめて、しっかり自分を持たなければならないと思う。    (2018年5月18日)(転載ここまで)


 この文章を読み、私はこれまで良かれと思って「させていただきます」という言い回しをとくにビジネスメールや文書では多用していたので、冷や水を浴びせられたような感覚になりました。まさに謙虚さの表現として多用していたのですが、これを多用していると、たしかに自分に対する自信が減っていき、引き換えに自分の周りの「空気を読まない(読めない)」タイプの人たちに対して、自然にイライラがつのるようになってしまっていました。
 とはいえ、新卒で入社した会社ではまず、「“させてもらっている、してもらっている”の精神が大事」と教えられたので、日本人として「させていただく」という気持ちを持つことは悪いことではないと思っているのですが、あまりに「させていただきます」という言葉を多用すると、自分に自信がなくなり、「空気を読む」ことばかりを重視してしまう人間になることに気づいたので、これからは多用に注意して使う時でも意識を持って使おうと思いました。


2周目:「鳥インフルエンザからニワトリを想う」
3周目:「日本の独立と個人の自立」
4周目:「資本主義について思うこと」
5周目:「“野性”を目覚めさせるには・・・」
6周目:「にんげんクラブ全国大会で気づいた“つながり”」
7周目:「歪みを正す方法」
8周目:「“グレー”からの脱却」
9周目:「“コンサバ”に思う」
10周目:「“野菜”は本当に健康にいいのか?」
11周目:「ロンドン・シティで感じた意外な“気”」
12周目:「フリーエネルギーとUFOの関係」
13周目:「最近読んでショックを受けた本」
14周目:「“寄り添う”ということ」
15周目:「“五井野イズム”に触れて……」
16周目:「秘伝のお茶と新コラム」
17周目:「偶然とは思えない3つのこと」
18周目:「「本物」は野性的!?」
19周目:「日本人の「水戸黄門」幻想」
20周目:「嫉妬の時代」
21周目:「久しぶりに会った舩井幸雄」
22周目:「舩井幸雄との出会いを思い出してみました。」
23周目:「後から思い出してみるといろいろシンクロがあったこと。」
24周目:「竹中平蔵とは何者か。」
25周目:「足指から目覚める?」
26周目:「舩井SAKIGAKEフォーラムが無事終わりました。」
27周目:「私にとっての12月25日」
28周目:「“本物の健康”を追求するセミナー」
29周目:「最近ビックリした、アンチエイジングのエネルギー」
30周目:「舩井幸雄の「氣」の力を想う」
31周目:「「願い」のちから」
32周目:「本物時代の到来」
33周目:「Dr.コパさん」
34周目:「一神教vs多神教」
35周目:「空海から義経へ」
36周目:「“ミンパク”を知っていますか?」
37周目:「人生に難がやってくる意味」
38周目:「旅先でのシンクロ」
39周目:「オザケンの「うさぎ!」」
40周目:「宇宙での生活」
41周目:「最近のおススメ!2つ」
42周目:「竹田和平さんがメンターと出会われた神社」
43周目:「『君の名は。』とムー」
44周目:「卵がけごはんがごちそうになる・・・」
45周目:「「雑草魂」はもう古い?」
46周目:「銀座のはちみつ」
47周目:「ひょっこり見つかった舩井幸雄の健康情報」
48周目:「加計学園問題で揺れる今治市の可能性」
49周目:「“品格”について考えてみる。」
50周目:「“差別”から歴史を読み解く岸田秀さん」
51周目:「おすすめワイン」
52周目:「会津への旅」
53周目:「究極の“じっくりコトコト”」
54周目:「バリ島でのニュピ体験」
55周目:「「舩井フォーラム ザ・ファイナル」と生アーモンド」
56周目:「リピート必至の逸品」

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