“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2023.12
沸騰する地球

「地球のバイタルサイン(生命兆候)は破綻しつつある。世界は2015年のパリ協定で設定された目標、すなわち産業革命前から世界の気温上昇を1.5度以内に抑えるという目標から遠く離れている状況だ。今、行動すれば最悪の事態を避けられる。それは最終的に全ての化石燃料の燃焼を停止した場合にのみ可能だ」

 国連のグテーレス事務総長は12月1日、ドバイで開かれた第28回国連気候変動枠組み条約締結会議(COP28)で世界の厳しい現状を訴えました。一方、会議では化石燃料を巡る文言で紛糾、最終的に米欧が求めていた化石燃料の「段階的廃止」との文言は削られ、「脱化石燃料を目指す」との表現に落ち着きました。
 そもそもCOPの宣言には強制力のあるものではありません。それでも世界各国で合意するのは容易ではありません。もはや地球がますます暑くなって沸騰していく状況を抑えるすべはないように思われます。
「温暖化を止めなければならない」との気持ちは世界中の人が共有しているように思うのですが、それを具体的に実行するということとなると、意見の相違は決定的で何も前に進まないのが現実です。
 パリ協定で設定された1.5度という目標は、いわゆるテッピングポイント、「この水準を超えたら何をやっても元には戻れず、温暖化が急速に加速していく」という重要な分岐点でもあるのですが、昨今の暑い世界中の現状をみると、もう今の世界はテッピングポイントを超えてきてしまったように思えます。
 とにかく今年は暑い年でした。そして足元での冬の気候もかつてない暖冬が世界中で報告されています。12月初めの段階では「Tシャツで過ごす暖冬」と世界中で春のような陽気も観測されていました。
 日本の気温も誰でも感じていることですが、今年はかつてない高温となりました。気象庁の発表によると2023年の日本の平均気温は1991年から2020年の平均を1.34度上回ったということです。今年、東京では7月6日から9月7日まで64日間連続で気温が30度以上の真夏日となってこれだけ暑いのは観測史上初めてと報告されています。
 世界中で起こっている暖冬によって北半球では従来のように冬の暖房を行う必要が薄れ、天然ガス価格や灯油の価格はかなり安くなっています。
 しかしながら世界各地で気候変動が引き起こす混乱で壊滅的な事象も多発して、その影響がじわじわ広がってくる現実も直視する必要があります。
 世界中、異常気象ですから、雨が降らなくて干ばつになったり、逆に雨が一気に降ることで洪水を引き起こしたり、従来とは気候状況が激変しているので生態系が著しく変化して様々な弊害が報告されています。しかも北極や南極の氷は溶ける一方なので、世界の海面の上昇が顕著になってきて、モルディブなど島国の多くで海面上昇が進むことで住むことは困難になってきたことも報告されてきました。モルディブの国土は、その80%が海抜1メートル未満で、国土全体が将来的に水没することは避けられないとみられています。

 温暖化で深刻な影響を受けている例を示すときりがないのですが、例えば今年大きな話題になったことを取り上げると、8月ハワイのマウイ島で大規模な山火事が発生して死者は100人超となり世界に驚きを与えました。カナダでも山火事が止まらず、今年のカナダでの山火事での森林消失面積は過去10年間の平均の23倍以上になったということです。
 10月にメキシコで発生したハリケーン<パトリシア>は史上最強のハリケーンとなり、何と瞬間最大風速は時速260メートルに達したということです、このハリケーンによってメキシコ南部のリゾート地アカプルコで多数の死者が報告されています。
 干ばつという面ではパナマ運河の運行が支障をきたしていることも報告されています。パナマ運河は世界のコンテナ船の40%が航行するという極めて重要な運河ですが、ここが降雨不足で干上がってしまい、水位が低下して船舶の航行が難しくなってきたのです。現在、パナマ運河を航行する船舶は従来のから30%も減っています。これでは船賃が上昇して世界のインフレが収まらないのも頷けます。またブラジルのアマゾン川でも雨が降らず、水位は記録的低下となっています。
 アフリカの状況も深刻です。世界の最貧国地帯と言われるアフリカの角と言われるソマリアを中心とする一帯では、6年連続で雨がほとんど降らず、大干ばつとなっています。常識的に考えればわかりますが6年も雨が降らなければ人が生存できるはずもありません。これらの地域ではいわゆる「気候難民」と呼ばれる人が続出、ソマリアでの気候変動が原因となった避難民は2021年の段階で2230万人に達したということで、これは紛争による避難民1440万人を上回っているというのです。避難民といっても100人とか1000人とかの水準であれば他国も引受けが可能かもしれませんが、1万人どころか、1000万人単位では東京の人口に匹敵します、このような避難民を受け入れることはどんな国でも不可能でしょう。不法入国、治安悪化など社会的混乱は想像を超えると思われます。

 熱中症の爆発的な拡大や感染症などのまん延も避けられません。昨年は欧州を襲った熱波で7万人以上が熱中症で亡くなりました。今年も世界中で似たような状況は変わらず、熱中症による死者数は災害レベルでの推移となっています。更に温暖化の影響でマラリアやデング熱など蚊が媒介する感染症が猛威を振るってきました。
 世界保健機構(WHO)によると、感染例は2022年の段階で約420万件となり、これは2000年時点の約50万件から22年で8倍になったとのことで、今年2023年は更に拡大しているとのことです。とにかく世界中が暑いので蚊の活動する期間が延びて感染の拡大も止まらないとのことです。
 日本でも毎年暑くなって、様々な問題が出てきていますが、その深刻さは世界の現状からみれば、比較的軽いように思えます。しかしこの地球温暖化の激しい波が将来的に日本に壊滅的な被害を及ぼすことはないと高をくくっていることは危険です。そもそも日本は自然災害が極めて大きい国です。地震や台風など自然災害が激しくなって、それが想像を超える被害を及ぼすことを予想しておいた方がいいと思われます。

 国際環境NGO<グリーンピース>によると、東京で2030年までに巨大台風が接近して高潮が発生すると、墨田川や荒川、江戸川の下流エリアを中心に79.2平方キロメートルが浸水して83万人が被災すると言うのです。高潮で発生した海水は海岸沿いだけでなく川をさかのぼって東京スカイツリーまで押し寄せるというのです。海面上昇と威力を増した台風によって、高潮被害が拡大、東京では大人の身長を超えるほどの浸水に見舞われる恐れもあると指摘しています。これは非現実的な話ではありません。東京でも江東区、墨田区、江戸川区などは海抜ゼロメートル地帯もあり、カミソリ堤防と言われる無理に無理を重ねたコンクリート製の堤防にかろうじて守られている状況です。そもそもこれらの地域は海面より低いわけですから、堤防のどこか一端でも破られればあっという間に海水が押し寄せて水没してしまいます。更に巨大地震などは発生すれば堤防に亀裂が生じる可能性も高いのです。
 今後、われわれはあらゆる意味でかつてみたこともなかったような驚くべき体験に遭遇することとなるでしょう。戦争もインフレも気候変動も、直近で起こるあらゆることが想定を超えたことばかりです。温暖化は止まらず、温暖化を止める手立てを取ることもできず、これではいけないと思いながら、実質的に何もできず、ただ状況が悪化するのを見ているだけです。地球が沸騰していきます。
 それに伴って世界中で混乱が多発していきます。もはや今後の世界の異常状態は当たり前と覚悟して自ら備えを固めていくしかありません。

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暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
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Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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