中村陽子の都会にいても自給自足生活
このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。
前回は、私たちが食べたら健康になる野菜の栄養素を紹介しました。私たちが一番摂取したいのは、抗酸化力、ビタミン、おいしく感じる糖度であり、摂取しないほうが良いのは、苦みの原因である硝酸イオンです。
今回は、どうしたらそういう理想的な作物を作れるのか、その技術を紹介し、有機栽培も慣行栽培の農家の方たちが広く研修を受けられる制度を作る方法があること。しかし、ちゃんとした作物が出来るまでの期間、所得補償が必要であることなどをお話したいと思います。
まず、有機という言葉についてですが、本来は、「天に機(からくり)有り」という意味であり、単純に有機肥料を使うことではありません。ですから「自然農法」もこの中に入ります。有機栽培を研究すれば研究するほど、その田畑にはあり得ない動物性有機堆肥を入れることはなくなります。土は植物と分解者である微生物が作ったものですから、よく天の機(からくり)を知り、余計な何かを入れるより、彼らの働きやすい環境を作るということが人間側の仕事になります。
まず稲作技術ですが、これには、大きく分けて、自然農法国際研究開発センタ―(略称:自然農法センター)の技術、秀明自然農法ネットワークの技術、木村秋則さんの自然農法、民間稲作研究所の技術、日本有機農業研究会の技術などがあります。各農家は、どこか1つに頼るというより、いくつか勉強し、自分の土地に合った技術を見つけ出し、最後は「俺流」に行きつくのです。
これらの技術には、野菜栽培の技術もあります。また、九州はかなり有機農業の先進地域で、「聴診器と鍬(くわ)」の竹熊先生に始まり、ミネラルを重視した農法の創始者中嶋常允(とどむ)先生、「にんじんから宇宙へ」で草や虫や菌をすべて生かす循環農法の赤峰勝人さん、「菌ちゃん先生」こと吉田俊道さん、もっとあると思いますが、名だたる技術が全国に広がっています。前回の野菜の栄養価コンテストを開催している日本有機農業普及協会のBLOF理論は長野発です。
それぞれの技術には、それが生まれた地域の土や気候が関係しており、平均気温が低いところは虫の害が少なく、冬の間、乾燥する太平洋側と、雪や雨などで湿気がちな日本海側では作業の内容が変わってきます。変わらないのは、「天の機(からくり)=自然の摂理」を良く知り、それを活かすという精神です。
またこれらすべての技術以前の問題としてその土地の水の流れ、風の流れを改善する環境改善の技術「大地の再生」技術があります。これはまだまだ知られていませんが、自然の力を引き出すには最も基盤になる技術であり、最近完成されました。「ザ・フナイ」でも「現代農業」でもかなり連載されました。溝堀、天穴掘り、炭などで地下の気の流れ、水の流れを改善すると、同じ技術で育てても、委縮していない伸び伸びした作物が育ちます。
さて、みんなが有機給食をめざしたら、圧倒的に有機農産物が足りないのですから、有機農家だけでなく、慣行農法の方たちにも生産していただかなくてはなりません。それには、なぜ有機農産物が人間の体にとって良いのか、という栄養価を知ることが大切です。よく有機の野菜は虫食いで貧弱でおいしくないというイメージがありますが、これは有機肥料の完熟度や投入する量に問題があり、硝酸イオンが多くて身体に良くない野菜であるのです。
これを知ったうえで、上記のすべての農業技術の研修を受けられる制度を作り、全所有農地の1割から始めていただき、土が出来るまでの間の野菜も、農薬不使用野菜ということで、給食で全量買い上げるという制度が必要です。また失敗もあるでしょうし、収穫量が減少するかもしれないので、その間3年〜5年の所得補償も必要です。
これらの研修制度や買い上げ推進、所得補償などの政策を有機農業を推進する農水省が立ててくれたら本当にいいと思うのですが、まだそこまでは行っていません。ただ一つ使える制度があるのでお知らせします。それは農水省生産局農業部農業環境対策課(03-6744-2114)HP: https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/jichinet.html でやっている「有機農業と地域振興を考える自治体ネットワーク」(農業者を支える自治体のサポート)です。有機農業の振興には有機給食の出口が欠かせません。これらを始めようとする自治体が農業者5名と役所の関係者がいれば、自治体の長の名前で参加できます。この部署には2021年度に1億5千万円の何分の一かの予算がついており、有機農家育成の仕組みづくりや研修会の費用などが出ます。今年の申請は2月に終わってしまいましたが、来年目指して頑張ってみてください。
もう一つ有機給食の活動をしている市民側にも大切な心構えがあります。それは有機給食へのベクトルを自治体に取ってもらうことが一番大切なので、たとえニンジン1本からでも、今旬の野らぼー菜1種類からでも、また有機米1日からでも、給食に取り入れられることを喜ぶという姿勢です。それから自校式が良いのは間違いないのですが、センター式でも武蔵野市は実現していますし、民間委託でも給食の業者の方は有機給食に取り組んでくださるところはあるので、いろいろな道を自治体の方と一緒に模索することです。これは自治体のやる気を引き出すことになります。道は一つではないということです。
現在、多くの有志が集まり、有機給食の全国の情報が分かるプラットフォームを作っています。(仮称)オーガニック給食連絡会 です。これは運動体というより、各地で運動している方たちや生産者の方たち、栄養士さんや調理師さんたちの情報サイトというインフラを目指しています。呼びかけ文を添付しますので、団体でも個人でも賛同者になっていただけますよう、よろしくお願いいたします。
「学校給食をオーガニックにする連絡会呼びかけ人のお願い」PDF
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首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。
1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。
長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/