中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

メダカのがっこうには、以下のような3つの宣言があります。

1.私たちは、田んぼから瑞穂(みずほ)の国日本の自然再生をします。
2.私たちは、お米中心の一汁一菜の食事で日本人の心身を健康にし、食料自給力をつけます。
3.私たちは、命を大切にする農家と手をつなぎ、生きる環境と安全な食料に困らない日本を次世代に残せるような先祖になります。


このコラムでは、「メダカのがっこう」での活動内容や、様々な経緯で「メダカのがっこう」に参加された方々のご紹介や、健康のための大切な情報などをお届けしていきます。

2021.04.20(第79回)
野菜の栄養価をみえる化したら…有機給食が実現する

 日本の有機農業面積は5%未満なので、有機給食をやろうとしても、有機農作物が足らないことは必至です。どの自治体も、有機給食をお願いに行くと、必要量を確保することが出来ないので難しいという答えが返ってきます。

 そうです。有機給食を実現するには、現在農薬・化学肥料を普通に使っている慣行農家にも有機栽培に一部でも移行していただかなくてはなりません。しかし、自治体が給食で使う食材を有機にするという方針を立ててくれることが先決です。有機農作物があるから有機給食が出来るのではなく、給食に有機食材を使うことにしたから、有機栽培をする農家が増えるのです。

 農家は生活がかかっているので、売れないものは作れません。買い上げてくれることが分かって初めて有機栽培への転換を決意するのです。ですから、有機給食にする方針が出てから、有機農作物の生産が追いつくまでのタイムラグは必ずあります。このことをみんな知っておく必要があります。みんなが挫折しないためには、このタイムラブをできるだけ短くしなければなりません。

 さて、売れることが分かって、子どものためにもなるとなったら、農家は本気で有機農業に取り組むでしょう。その時に、慣行農法から有機栽培への移行を成功させるための方策を考えておかなければなりません。

 まず慣行農業は、農薬・化学肥料を使っているので、土の中の微生物の量は減っています。普通有機栽培を始めて本当に良い土ができて害虫にもやられない元気な作物が採れるまでの期間は、5年から10年はかかる場合が多いです。しかしこれではほとんど農家は落伍してしまいます。最初から有機や自然栽培を絶対にやろうという信念があるわけではなく、頼まれたから作っているわけなので。

 この移行をスムーズに支える条件を考えてみました。@慣行の作物と有機の作物の栄養価の違いをデータで知ること。A目指すべき人を元気にする最高の有機農作物を作る技術研修を受けることが出来ること。B軌道に乗るまでは助成金などの生活保障があること、などが必要ではないでしょうか。

 @の慣行の作物と有機の作物の栄養価の違いを知ると、今までの常識が覆され、有機栽培を目指すモチベーションアップになると思います。というのも、有機野菜は、形が悪く貧相で虫食いだらけだというのが一般の常識だからです。
 ご覧いただきたいのは、日本有機農業普及会が毎年開催している、「栄養価コンテスト」の数値です。

 これは赤線がコンテスト参加者の有機農産物を測った数値、緑の点線は平均の数値です。
 上方向に糖度。下方向にビタミンC、左に硝酸イオン、右に抗酸化力です。硝酸イオンは酸化された窒素成分で、えぐみや苦みの原因となり、あまり好ましくない成分です。抗酸化力は、細胞の酸化、つまり細胞の老化を防止するビタミンやミネラル、その他ポリフェノール、フラボノイド、カテキンなどの色素成分の総合力を試薬を使って数値化したものです。抗酸化力こそ私たち人間が「野菜を食べる理由」となる栄養価です。

 エントリーした88検体あるうちの小松菜の一部の例を紹介しますと、小松菜のえぐみや苦みは硝酸イオンの量に関係していることがわかります。本当に体に良い小松菜は、糖度とビタミンC が多くて甘くておいしく、しかも抗酸化力が抜群でアンチエイジングの働きがすごいことが分かります。

 このように、苦くても体に良いから食べたほうが良いと思っていた野菜が、体に害を及ぼしていることが分かると、どんな農産物を作ればよいのかが分かります。今まで私たちの味覚や感覚に頼っていた野菜の良しあしを、このようにみえる化したことは素晴らしいことです。

 これにより、何農法がいいのかという単なる対立ではなく、みんなで研究し、高めていくことができます。このみえる化は、小祝政明さんが始めました。彼はBLOF理論を打ち立てました。教条的な縛りはなく、結果を得るために常に研究していく姿勢を貫いています。
 私は、このみえる化は、慣行農法から有機栽培に移行する農家にとって、モチベーションアップとなるとても有効なものではないかと思っています。

 AとBは次回にします。関心のある方は、ネットで検索してみてください。


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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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