ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測
このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。
新型コロナの第8波が始まった。第8波は史上最悪の流行になる可能性がすでに指摘されている。
15日、東京都内の新型コロナウイルスの感染者数をAIで予測している名古屋工業大の研究グループは都内での第8波のピークが来年1月14日頃に到来するとの予測結果をまとめた。条件の相違によってパンデミックの状況も異なるとして、以下のような予測をした。
・変異株「オミクロン株」の系統「BA.5」が主流となっている現状が続く場合
第8波は今月20日以降に本格化する。12月25日から3週間ほどは、クリスマスや忘年会、新年会、帰省などの影響で、1日当たりの平均感染者は約2万8000から約3万1000人と高い水準になる。
・変異株の主流系が感染力が1.2倍ほど強い系統に変化した場合
1月13日に約3万6000人となり、第7波のピークの約3万3000人を上回る。年末年始の医療逼迫が懸念される。
このように、感染力の強い新たな変異株が流行を主導すると、第8波ではかなりの感染者数になることが予想される。それとともに、死亡者数も上昇するだろう。これは日本だけではなく、世界の他の国々でも似たような状況だ。死亡者数は次第に増加している。ちなみに以下は、過去7日間の人口100万人当たりの感染者の死亡者数である。11月7日から14日までの1週間のデータだ。
・世界平均: 1.3人 増加率: 93.6%
・ドイツ: 12.2人 増加率: 93.7%
・イギリス:10.7人
・イタリア: 9.1人 増加率:163.9%
・カナダ: 8.2人 増加率:104.7%
・アメリカ: 5.7人 増加率: 82.1%
・韓国: 6.4人 増加率:155.5%
・日本: 4.4人 増加率:136.1%
・豪州: 3.5人 増加率: 70.1%
・中国: 0.0人
・インド: 0.0人
ちなみにこの増減率は、11月7日から14日までの1週間の数値である。100%を割っている国々は、死亡者数がその前の週よりも減っていることを示している。しかしこれは、死亡者数が減る傾向を表しているわけではない。週単位の増減率は変動する。その週の死亡者数の増減率が下がったからといって、死亡者数が減少する傾向であることを意味しているわけではない。数カ月単位のデータでは、死亡者数は確実に増加しているようだ。
それにしても、11月7日から14日までの1週間のデータだけを見ても、韓国、日本、イタリアなどの国々の増加率は高い。やはり日本では、先週あたりから第8波が発生し、その結果死亡者数も漸増(ぜんぞう)しているようだ。
●複数の変異株が主流となる第8波
ところで、いま始まりつつある第8波で注意しなければならないことは、今回の流行は複数の変異株が主導する可能性が高いということだ。第7波を主導したのは、「オミクロン」の「BA.1」と「BA.5」が主流だったが、第8波では流行を主導する変異株はこれよりも種類が多くなり、それぞれが感染力や毒性が異なっているという点に特徴があるようだ。
いま出現しつつある新しい変異株は、ヒト宿主の様々な受容体との結合を強化するだけでなく、現在使われている中和抗体や抗ウイルス剤の効果を低める方向に変異しているようだ。これらの変異株は、アフリカ、インド、イギリス、アメリカ、シンガポール、台湾などで発生した亜種の遺伝的特徴を受け継いでいるとされる。
しかし出現した変異株すべてが、2021年11月に南アフリカで確認されたオリジナルのオミクロン株とのつながりを持つ。血漿、ワクチン、モノクローナル治療薬、感染後に強化される自然免疫など、ウイルス撲滅のための治療が、新型コロナウイルスの速い進化に寄与している可能性を指摘する意見もある。抗ウイルス剤や特定の薬剤の使用も、ウイルスの突然変異や薬剤耐性に対応するための変化をもたらす要因となっている可能性もある。
「WHO」の新型コロナウイルスの責任者であるマリア・ヴァン・ケルコフは、「WHO」が大きな脅威となりうる200以上のオミクロン変異株や亜種を監視していると述べ、同時に、多くの国が正常な状態に戻ろうとしている結果、検査やゲノム解読が大幅に減少していることを認めている。その結果、いまは科学者が闇のなかで手探りで何が起こっているのかを把握しようとしている状況になっているという。
しかしそのような状況でも、いますでにパンデミックで主流になっているか、またはこれから主流になる可能性のある変異株は10種類ほど特定されている。
●10種類の変異株
それら特定された10種は以下だ。すでに日本で拡散しているものもある。
1)「BA.2.75.2」
この新型は、免疫回避性が高いだけでなく、「ベブテロビマブ」を含む既存のモノクローナル治療薬のいずれにも効果がないことが、すでに研究によって示されている。「BA.2.75.2」亜系は、「BA.5」が誘導した免疫から部分的に逃れることができることも研究により明らかにされている。
現時点では、英国で発見された変異株の約0.5%を占めるに過ぎないが、急速に増加しており、これまでのところ、同国の疾病の重症化と入院の原因になっているのではないかとも言われている。
いまこの変異株は世界的に急速に広がっており、再感染が予想される。既存のワクチン接種をした人たちも、どの程度この変異株から守られるかいまのところはっきりしていない。また、予備的な調査のデータでは、神経病原性が高いだけでなく、肺細胞や消化管の症状も確認されている。
2)「BQ.1.1」
「BQ.1.1」は「BA.5」亜系に由来するが、スパイクタンパク質にいくつかの変異(R346T、K444T、N460K)が追加されており、免疫逃避の可能性はがある。抗ウイルス薬の「エバスヘルド」も「ベブテロビマブ」もこの亜型にはどれほどの効果があるのか分かっていない。冬の流行を主導する中心的な変異株になると予想されている。
また「BQ.1.1」に感染すると、より重症化するだけでなく、感染した場合の発病性が高いことが予想されている。すでに「BQ.1.1」は、「BA.2.75.2」と同様、イギリスやヨーロッパの他の地域で、すでに感染症による入院や死亡の増加の原因となっているようだ。
3)「XBB」
「XBB」は「BM1.1.1」と「BJ.1」という2つの変異株が組合わさったタイプだ。すでにシンガポール、日本、さらにはオーストラリアなどで増加していることが確認されており、病気の重症化や入院の原因となっている可能性がある。また、「XBB」系統が最も免疫逃避能力が高いことが示唆されている。
4)「BA.5.6.2.1」(BW.1)
スパイタンパクの「444T」と「460K」に変異を持つ変異株だ。アフリカ、中東、ヨーロッパの一部で流行は確認されている。また、スパイクタンパクの「NSP13_A389V」と「NSP2_V447I」にも変異があり、これが感染した場合の発病率を高くしている可能性がある。
5)「BU.1」系統
「BU.1」系統は、スパイクタンパクの「S:444M」と「S460K」に変異を持つ。このため、病原性は高いとされている。病原性とは、細菌やウイルスなどの病原体が、他の生物に感染して宿主に感染症を起こす性質・能力のことだ。コロナウイルスに感染しても発病しないことがあるが、病原性が高い場合、発病率は高くなる。
6)「BJ.1」
「BA.2.10.1.1」 としても知られていいる。13のスパイクタンパクに変異がある。感染率の強さや毒性の強化は未確認。「BJ.1」系統、「BA.2.3.20」系統が、各地で主流となっている系統に比較して、感染者数増加の優位性を見せている。一方で、これらの系統の割合の上昇傾向は地域によって異なっており、オミクロンの中で特定の亜系統が世界的に優位となる傾向は見られない。
7)「BR.2」
「BA.2.75.4.2」とも呼ばれている。スパイクタンパクの「S:346Tと「S:486i」に変異がある。ニューサウスウェールズ州をはじめ、オーストラリア各地で数字が上がってきている。
8)「BM.1.1.1」
「BA.2.75.3.1.1.1」とも呼ばれている。「BM.1.1.1」は、さらにスパイクタンパクの「S:490S」に変異がある。その免疫回避力は「BA.2.75」系統よりさらに強いと推測されている。
9)「CA.1」
「BA.2.75.2.1」とも呼ばれている。これは「BA.2.75.2」亜系から生まれた、スパイクタンパクの「T604I」と「L452R」と、「E_T11A」に新しい奇妙な変異を有している。
10)「BN.1」
「BA2.75.5.1」とも呼ばれる。スパイクタンパクの「S:K356T」、「S:R346T」、「S:490S」に変異がある。
これらが日本では第8波と呼ばれ、いま世界でも拡散している変異株だ。今回の蔓延の波は、このような複数の変異株が主導する可能性が高い。
これらの変異株はすべてオミクロンの亜種である。オミクロンの亜種は急速に進化しており、より強力な特徴を持つ新しい変異株が多数出現している。このためこの冬に被害を拡大させる可能性のある変異株の種類はもっと増え、ダイナミックに変化すると予想されている。
「北京大学バイオメディカル・パイオニア・イノベーション・センター(BIOPIC)」の研究者らは、すべての新しい変異株は前例のないスピードで変異しており、以前の感染による自然免疫とワクチンによる免疫の両方を回避するだけでなく、さまざまな抗ウイルス治療薬も回避することができると警告している。
「レムデシビル」、「パックスロビド」、「モルヌピラビル」といった代表的な抗ウイルス薬がいま使われているが、これらの治療薬がこれらの新しい変異株に対してどの程度の効果があるのかはっきりとは分かっていない。かなり効き目が弱まる可能性が指摘されている。
そして、現在の「BA.5」など既存のオミクロンの変異株に感染した経験があり、免疫がある人も、これらの新しい変異株に再感染する可能性がある。ただ、これらの変異株の感染力が強化され、また感染した際の発病率である病原性が高いことが確認されているが、毒性が強くなっているのかどうかは定かではない。
だが、既存の抗ウイルス治療薬の効果を減じる高い免疫回避能力があるようだ。これまでの感染の波は一種類か二種類の代表的な変異株が蔓延の中心となっていたが、第8波はこれとは異なり、多くの種類の変異株が一斉に蔓延する可能性もある。これから研究が進み、これらの変異株の毒性や、それが引き起こす症状などの具体的な特徴がもっと分かってくるはずだ。既存の「BA.5」よりも強い毒性のものもあるのかもしれない。
とにかく気を緩めることなく、マスク着用と適切なソーシャルディスタンスの維持に心掛けなければならないだろう。第8波は始まったばかりだ。来年の春頃には次の第9波が、また別な変異株の主導で始まるかもしれない。やはりまだ、コロナのパンデミックは注意しなければならない。
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社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/