加治将一の精神スペース
このページは、作家でセラピストの加治将一さんによるコラムページです。加治さんは、『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)などの歴史4部作が大反響を呼ぶ一方で、『アルトリ岬』(PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(ビジネス社)などのカウンセリング関連の著書も好評です。そんな加治さんが、日々の生活で感じること、皆さまにお伝えしたいことなどを書き綴っていきます。
最近目にした新聞記事。
『電車の中での化粧は、是か否か』
時々いますねえ、コンパクトの一点を凝視して、アイ・ラインを書きこんでいる女とか、物凄い形相のルージュ引きが。
いつ頃出現したのでしょうか、僕の若いころも、中年のころも記憶がありません。
気が付いたら、何を考えているのか分からない電車化粧女がいたのです。
時代というやつが、若い人の許容範囲を広げたのでしょう、おばさんや、おじさんにとっては見苦しい行為ですが、まあ、見なきゃすむだけの話ですから、口泡飛ばしての論争に価値はない、と僕はあきらめております。
それよりもっと迷惑なものがあります。
路上喫煙、新幹線ホーム喫煙ですね。
ふぁっと一瞬に襲ってくる煙は、避けようがない。
気管支炎や喘息の人にとっては、迷惑千万を通り越して深刻です。煙害は嗜好では片付けられない問題です。
考えてみてください。
マナー以前に、あれだけの健康被害を放置していいのでしょうか?
これだけでも充分、発売禁止に値しますが、そのうえに全国各地で引き起こすとんでもない火災の悲劇。人間は焼き殺すし、年間、500億円もの財を灰にしてしまうしまうし(あくまでも僕の推定金額ですが、もっと多いでしょう)、こんな煙草を、国が認めているですから不思議です。
万人の敵を、行政が公然と認める場合、理由はただ一つ官益です。
人の幸せより、官の幸せが大切なのですよ。
賭博がそうです。
ギャンブルには麻薬と似た効果があり、絶対歯止めのかからない脳を持つ人間は、けっこうあちこちにいるものでありまして、すなわち庶民の生活を壊す可能性があるので、「禁止」という選択は正しいのです。
家庭崩壊、人生破産。
それを逆手にとって、たとえ1000円の掛け金であっても、厳罰をもって臨むわけですが、国の本音は、庶民を思ってのこととは別にあります。おカネです。
その証拠は、白昼堂々と行われている公営賭博。
一方では「生活を壊す可能性がある」と禁止しておきながら、目を外に向ければ、おびただしい公営賭博場のオンパレード。
唖然とするご都合主義、競馬は農水省、競輪とオートレースは経済産業省、競艇は国土交通省、サッカーは文部科学省、パチンコは警察庁。管轄官庁は、それぞれ胴元となって、きっちりとあがりを分け合っているのですから、官益ならば庶民の生活を壊してもいいのであります。
あれっ、なんの話しでしたっけ。
失礼しました、迷惑の話しでした。
迷惑と言えば、何度も言いますが新幹線や電車のアナウンスも過剰です。
これって日本人は、気にならないのでしょうかね。うるさいという声はぜんぜん聞こえず、半ば許容します。僕はダメです。
「この電車は〇〇行きです。停車駅は〇〇駅、〇〇分、〇〇駅、〇〇分、〇〇駅、〇〇分・・・全席禁煙、御遠慮ください・・・携帯はマナーモードで・・・お手洗いは〇号車・・・」
こっちは疲れて眠っているのに、やれワゴンが通るだの、やれゴミは捨てて帰れだの、やれ忘れ物に気をつけろだの・・・やれ座席の背は元に戻せだの・・・余計なお世話です。
欧米の感覚からみれば、異常の一言。
日本の友人に訊くと、てんで気にならないのだという。びっくりして訊き返すと、あっさりとこう答えたものです。
「別に、聞いてないもの」
恐れ入りました。
友人はこう続けます。
聞くとか、聞かないとか以前の問題で、由緒正しき日本人は、脳が進化しているため、新幹線、電車、飛行機、エスカレーターのアナウンスは、耳栓なしでも聞こえなくなるというのです。
「聞いてないなら、やめればいいのに」
むろんアナウンスする会社側も、そんなことは百も承知だと友人が答える。
「それはだね、なぜ無駄な、ただうるさいだけのことに手間暇かけて続けるかというと、保身なのですな」
本気度ゼロ。
一応、ぐだぐだしゃべっておけば、後になって事故があったり、難癖をつけられたりした場合「弊社は事前告知をしっかりとしており、当方に落ち度はありません」とかなんとか言って、少しでも言い逃れができるからだそうで、やらないより、やったほうが、責任が軽くすむアリバイ的な、一種の気休めらしい。
「たわごとでも、気休めになるのですな」
そんなこたあ、あなた、床マットの裏に「滑りやすいので、ご注意を」と小さく警告文を貼っておくようなもので、利用者にはクソの役にも立ちません。
立ちませんが、会社側にとってのこの手法は、日本株式会社の宗教儀式みたいなものですから、けっしてなくならないという。
しかし、進化していない僕はばっちり聞こえ、電車の中くらい静かに眠りたいのです。
迷惑ついでに言いますが、究極の迷惑は日本の煩雑な手続きです。
煩雑さゆえ、先日、車を買おうとして辞めました。
理由ですか?
カリフォルニアの運転免許は通用せず、日本で取り直さなきゃならんからです。
むろん僕は、20歳の時に日本の普通免許も自動二輪も、あまつさえ小型船舶操縦士一級さえ保持しておりました。
それがなんと全部パーになったのです。
悔しいのは小型船舶操縦士。
昔は更新などなかったのですよ。それがアメリカに長年滞在している間に、なんと人知れず更新制に切り替わってしまっており、知る由もない僕は、当然手続など夢に思っていなかったため、免許証は無情にも無効にされてしまったのです。
どう思います?
小型船舶免許の有効期間は無限だと言っておきながら、僕に無許可で、こっそりと有限に切り替える。完全な契約違反ではないですかね。
受けて立ってもいいが、泣く子とお上には勝てないので、もうダメです。
船舶操縦を一から出直す時間的余裕はありません。あきらめますが、それでもときおり海辺を新幹線で通過すると、ああ〜大海原の彼方に乗り出したいなあ、と少年のように心が疼(うず)くのですよ。悔しーい!
失礼、少々取り乱しました。
で、自動車の免許証です。
本の取材先の足として、レンタカーの必要を感じていたので、それならばなんとか日本の免許証を取り直そうと、そしてついでに車なんぞ買おうかなあと・・・。
それにしても日本は、どうしてこうまで手続きが煩雑なのか?
住民票、印鑑証明・・・車庫証明・・・身元保証人・・・あまりの煩わしさに正直、気力が萎えました。
アメリカでは住民票も、印鑑証明も、車庫証明も、身元保証人も、ついでに車検もいりません。というか、そんなもの存在しないのですよ。
車を買う、家を買う、家を借りるはサイン一つです。あとはぜ〜んぶ、いらない。
単純明解、買えばその場で新車が引き渡され、さっさと乗って帰れます。
「売り手」と「買い手」の、行政による「つなぎ方」が実に上手いのですよ。
本来、行政とはそうあるべきで、国民の公僕なのですから邪魔になってはいけないのです。
ところが日本の行政は真逆で、国民の公僕ではなく、ご主人様でありますから、すべからくお上の許可、申請を必要とし、日本に住んでいる人は気が付かないと思いますが、外から見れば煩雑さは強烈となります。
山積の手続き。
「よくみんな我慢して、乗り越えるなあ〜。なんで簡素にしないのだろう」
僕は、車も家も考えるだけでダメージを受け、放棄したのです。
買いたいのに買えない。
スタートする前に疲労困憊するなら、なにもしないのが一番。
小金持ちの貧乏暮らし。
日本の若者も無気力ですが、こんなに障害物があってはシニアも、無気力になります。
これって景気回復にとって、最悪の体制です。
政府は、庶民の邪魔を取り除き、頭と税金を低くすれば、庶民の心が鷲掴(わしづか)みにされ、おカネがバンバン回ることを知っているのだろうか?
大き過ぎる役所。
言論統制もなく、拷問もなく、餓死する人もいないのに、暮らしを自由にエンジョイできないのは、アホらしい規制と手続きが、立ちはだかっているからに他なりません。
日本の時間の流れは早瀬に打った杭の如し、世界の流れにぽつりと取り残されている。そう思うのは僕だけでしょうか。
幸せを祈りつつ・・・。
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★『ビジュアル版 幕末 維新の暗号』(祥伝社)が8月1日に発売されました。
『幕末 維新の暗号』と『舞い降りた天皇』と『失われたミカドの秘紋』と『西郷の貌』(すべて祥伝社)を全部まとめた写真集です。
この写真集は、支配者の日本史偽装を許さないぞ、今後とも真実を暴いてゆくぞという私の確固たる意思表示であります。
各方面からの圧力がひどく、潰れそうです。どうか1冊でも10冊でも買って応援してください。よろしくお願いします。
★『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済新報社)は、おかげさまで三刷りになりました。ありがとうございます。
この本でコインが売れ、日本中のコイン・ディーラーはコイン品薄に陥ったとか。コイン関係者の嬉しい悲鳴が聞こえてくるようですが、その割にはこっちに足を向けて寝ているらしいのです(笑)。
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作家・セラピスト。1948年札幌市生まれ。1978年より15年間、ロサンゼルスで不動産関係の業務に従事し、帰国後、執筆活動に入る。ベストセラー『企業再生屋が書いた 借りたカネは返すな!』(アスキー)、評伝『アントニオ猪木の謎』、サスペンス小説『借金狩り』、フリーメーソンの実像に迫った『石の扉』(以上三作は新潮社)など多数の著作を発表。『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』、『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)の歴史4部作は大反響を巻き起こし、シリーズ 50万部の売上げ更新中である。その他、カウンセリング小説『アルトリ岬』(2008年 PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(2010年 ビジネス社)などがある。
2011年4月に『陰謀の天皇金貨』(祥伝社刊)を、2012年1月に『倒幕の紋章』(PHP文芸文庫)を文庫版として発売。2012年2月に『西郷の貌(かお)』(祥伝社刊)を、2012年4月に新刊『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済新報社)を発売。
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