加治将一の精神スペース
このページは、作家でセラピストの加治将一さんによるコラムページです。加治さんは、『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)などの歴史4部作が大反響を呼ぶ一方で、『アルトリ岬』(PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(ビジネス社)などのカウンセリング関連の著書も好評です。そんな加治さんが、日々の生活で感じること、皆さまにお伝えしたいことなどを書き綴っていきます。
こんにちは。お元気のことと思います。
加治が新年早々、向かった先はNY。
1月7日に成田を発ち、機内でシャンパンを呑み、映画を二本鑑賞し、再び睡眠薬代りのシャンパンを呑んで、あとはぐっすり眠ったら、もう目的地でありました。
冬枯れのNY。
年末のストームで、大被害を受けたマンハッタンですから完全武装です。
あれ?
自分が、お天気お兄ちゃんだということをすっかり忘れておりました。
なんと初日からぽかぽかの異常気象に変じておりまして、マフラー、手袋なしでも平気の平左、東京より暖かい。
新年早々、何しに行ったかって?
はい、お目当てはコイン・ショーとコイン・オークションであります。
世界最大なのですよ。
なにが世界最大かといいますと、規模と期間です。
なんと丸10日間、それも朝9時あたりから夜の10時ころまで、昼夜14時間ぶっ通し。
考えられます?
さすが肉食の国。タフといますか、無謀といいますか、日本ではありえない強行スケジュール。それを毎年毎年へこたれもせずにウォルドルフ・アストリアという名門ホテルで開催するのですから脱帽です。
それ以上にむちゃくちゃなのは、行政でありました。
市の予算が足りないとかで、あちこちにある低所得者向けの市営メンタル病院を閉鎖し、入院患者をぜんぶ街に放り出しちゃったのであります。
そんなことをすればどうなるかは、火を見るより明らか。
当たり前ですが、患者たちが街中をさ迷うことになります。いたるところで巻き起こる危険行為。
地下鉄のホームから意味なく人を突き落とすという、不気味な事件が頻発し、電車待ちの人間たちは、常に己の背後に怯えているという話でありました。
日本人には信じられない行政に、NY市長とばったり会ったら思わず「おまえはバカか?」と言っちまいそうでありました。
翌朝、オークション会場を覗くとすでに満席。
座れないのでしょうがなく、明日にむけて準備のために別室へ移動。
途中、廊下でアメリカ各地やヨーロッパから馳せ参じた歴戦のコイン・ディーラーたちと、やあやあと挨拶を交わしながら、それでもここは戦場、後にガチンコ勝負に臨むライバルたちですから、ポーカー・フェースの笑顔でやり過ごす。
別室に腰を落ちつけ、コインの下見です。
翌日からのオークション出品物を、事前に一枚一枚丹念に眺めるのですね。
虫めがねで粘り強く続けること数時間、傷もの、摩滅コインは除外し、波動のいいものを100枚ほど選出したのですが、没頭し過ぎて痛くなった目に、眼薬なんぞを射しながらホテルに戻ったのでありました。
いざ出陣
翌朝、天気曇天なれど気分爽快!
会場は思ったより狭く、ぎっしりの250人。
すでにオークションははじまっておりまして、端からトントントンとリズミカルに値が上がって行く展開。嫌な予感のまま目当てのコインの番が来る。
案の定、あらかじめ設定していた最高値をあっさりと更新。
「まいったなあ……」
オークショナーが読み上げているコインは、べつに伝説の部類ではありません。むろん花形スターでもなんでもなく、いってみればその辺に転がっている数(かず)コイン。これが予想を楽々と超え、競り上がってゆくのですよ。
「みなさん、そんなに気張らなくとも……」
こちらはセスナ機でファーっと遊覧飛行なのに、周囲はF16戦闘機の操縦カンをぎゅっと握り締めて空中戦を挑んでくるがごときで、ぜんぜん歯が立ちません。
近年の傾向とはいえ、次々と塗り替えられる高値更新記録、喉の乾きを覚えた加治はペット・ボトルの水をごくりと飲む。
コインは買ってナンボであります。
NYくんだりまで来て、一枚も落札できないとなると無駄足どころか、コイン・コレクター作家、加治将一の沽券にかかわります。
「しょうがない、奮発しますかね」
改めて仕切り直しです。
昨年、テルマエ・ロマエという邦画が大ヒットしました。
ご覧になった方も多いと思いますが、その中にローマのコインが幾度か出て来ます。
キュートな上戸彩ちゃんが、ローマ・コインをいったいなんだろうと眺めるシーンはとても印象的。
ハドリアヌスのコインです。
ハドリアヌスは76年1月24日生、138年7月10日没の第一四代ローマ皇帝で、五賢帝の一人です。
62歳まで生きたというのですからとんでもなく長寿で、今で言うと軽ーく100歳は超えております。
ミルウァ帝、トラヤヌス帝、ハドリアヌス帝、アントニュウス・ビウス帝、マルクス・アウレリウス帝を五賢帝と称したのは、その時代(96年〜180年)のローマが、「人類もっとも幸福であった時代」だとギボンが『ローマ帝国衰亡史』で持ち上げたことに由来しますが、なかでもハドリアヌスは人気度抜群でありました。
なんといっても領土です。
現在のイングランドからヨーロッパ全土、はてはシリア、エジプトまでを手中に収め、ローマ史上もっとも図版を拡大した皇帝なのです。
法律と行政を整備確立し、ローマ帝国全体を均一に統治し、建てた芸術的建築物は数知れず、ついにはローマ市民に神格化されるほど愛されます。
とにかく金運、仕事運、出世運、恋愛運……すべての方面に「運気が強い!」お宝コイン。
加治の狙いは、最初から特別な思い入れのあるこのハドリアヌス・コインに絞っておりました。
一口にハドリアヌス・コインといってもオリンピックのように金、銀、銅のコインがあり、さらにデザインやら造幣場所によって数十、分類の仕方によっては100を超える種類があります。
頭をリセットして、いざ行かん!
四方八方から競り上がる高額札。
元来、加治は脱力といいますか、よく言えば自然体であります。
頑張るとか、己を励ますとか、鞭打つなど、てんで苦手でありまして、ぜんぶ天にお任せの他力本願。先天的なのでしょう、実は幼いころから努力するという能力が抜け落ちているだけなのですが、しかしそれがよかったのだと思います。
加治の場合、無理は挫折の原因となり、無抵抗は持続力となるのです。
流れに身を任せる省エネ人生が、自分にぴったりなようで、力を抜いて好きなことをしていますと、幸せなことに周りからアンコールの声を掛けてくださるのであります。
最初の一枚を落札する。
この最初の一枚が肝心です。第一弾に秘められた象徴的パワーというのは相当なものであって、この素晴らしきコインが、次の良きコインを引き寄せ、アユの友釣りのような感じで、終ってみれば落札は13枚。
これも縁、ほんとうによく来てくれました。
「ありがとう……」
売り手よし、買い手よし、ソフト・クリームが溶けるほど微笑みかけて、会場を後にしました。
こんな調子で日に日に増えるコインたちは、やがて我が家に届き、蔵の中の通称「神聖コイン合衆国」の一員となって一緒に暮らすことになります。
NYの滞在は八日間。
ハッピー・ラッキー・ウォークで五番街をそぞろ歩き、大好きなプラザホテルでカプチーノなんぞをすすれば、至福の時間が過ぎてゆきます。
ハッピー・ラッキー・ウォークってなんだ? とお思いでしょうねえ。
当の本人もよく分からないのですが、とにかく右左の歩調に合わせてハッピー! ラッキー! と呟きながら歩くだけなのですが、気持がハッピーになって、ラッキーが舞い込んでくる仕掛けになっている。
一度やってみてくださいな。
少なくとも周囲からの怒り、恨み、嫉妬を弾き飛ばす効果は抜群にあります。
で、カプチーノを呑みながらつくづく感じたことは、民主党、特にオバマになってからというもの、年々役人の力が大きくなってきている、ということです。
徴税力を上げるためのさまざまな措置がとられて、とても窮屈なのですよ。
極めつけは、海外にいるアメリカ人および永住権者の預金通帳と資産を洗いざらい提示申告しろ、という命令です。
非居住者に狙いを定めた法律ですが、海外居住者は、本人の現居住国とアメリカの両国に書類を申請しなければならず、そのあげく税務解釈の違いで出頭せよ! なんてことにでもなれば、大ごとですから、この法律で永住権を返上した知り合いは少なくありません。
現金の扱いには、さらに敏感になっておりました。
ちょっとしたキャッシュの出し入れでも身分証明書の提示、理由説明などを要求されるありさま、いったいぜんたいここはあのフリー・カントリーの鏡、アメリカなのだろうか?
がっくりです。
ディズニーに遊びに行ったら、ミッキーが自殺してしまったって感じであります。
帰国すれば、今度は我が日本が不気味でありました。
アベノミクスとかで、実態の伴わない株の値動き、まるで真冬に咲いた徒花(あだばな)のように見えるのは加治だけでしょうか。
いったい世の中、どこへ向かうのでありましょうか?
人類史上もっとも危うい金融状況だと言われております。ひょっとして経済が崩壊するのではないか、そして経済の崩壊は、文明の崩壊につながるのではないかという説もあります。
が、しかし暗い時代は変革の時代です。
人類の知恵を信じる他はないのですが、なにがあっても自然保護、人間保護、非暴力の基本軸がズレぬよう、あとは天と船井幸雄先生にお任せであります。よろしくお願いします。
幸せを祈って……。
★オフィシャルサイト「加治将一の部屋」: http://kaji-room.com/
★加治将一 公式ツイッター: http://twitter.com/kaji1948
★『ビジュアル版 幕末 維新の暗号』(祥伝社)が8月1日に発売されました。
『幕末 維新の暗号』と『舞い降りた天皇』と『失われたミカドの秘紋』と『西郷の貌』(すべて祥伝社)を全部まとめた写真集です。
この写真集は、支配者の日本史偽装を許さないぞ、今後とも真実を暴いてゆくぞという私の確固たる意思表示であります。
各方面からの圧力がひどく、潰れそうです。どうか1冊でも10冊でも買って応援してください。よろしくお願いします。
★『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済新報社)は、おかげさまで三刷りになりました。ありがとうございます。
この本でコインが売れ、日本中のコイン・ディーラーはコイン品薄に陥ったとか。コイン関係者の嬉しい悲鳴が聞こえてくるようですが、その割にはこっちに足を向けて寝ているらしいのです(笑)。
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作家・セラピスト。1948年札幌市生まれ。1978年より15年間、ロサンゼルスで不動産関係の業務に従事し、帰国後、執筆活動に入る。ベストセラー『企業再生屋が書いた 借りたカネは返すな!』(アスキー)、評伝『アントニオ猪木の謎』、サスペンス小説『借金狩り』、フリーメーソンの実像に迫った『石の扉』(以上三作は新潮社)など多数の著作を発表。『龍馬の黒幕』『幕末 維新の暗号』、『舞い降りた天皇』『失われたミカドの秘紋』(すべて祥伝社)の歴史4部作は大反響を巻き起こし、シリーズ 50万部の売上げ更新中である。その他、カウンセリング小説『アルトリ岬』(2008年 PHP)や『大僧正とセラピストが人間の大難問に挑む』(2010年 ビジネス社)などがある。
2011年4月に『陰謀の天皇金貨』(祥伝社刊)を、2012年1月に『倒幕の紋章』(PHP文芸文庫)を文庫版として発売。2012年2月に『西郷の貌(かお)』(祥伝社刊)を、2012年4月に新刊『カネはアンティーク・コインにぶちこめ!』(東洋経済新報社)を発売。
★オフィシャルサイト「加治将一の部屋」:
http://kaji-room.com/
★加治将一 公式ツイッター: http://twitter.com/kaji1948