“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2014.07

●はじめに
「バイ・マイ・アベノミクス」
 この威勢のいい掛け声に合わせ、日本の株式市場は昨年、1年間で56%という記録的な上昇を遂げたわけですが、今年に入ってから5月まで、冴えない展開が続いていました。

 しかしながらここにきて、日本の株式市場も徐々に上昇機運が盛り上がってきたようです。
法人税の引き下げ、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による株式購入枠の大幅拡大、NISA(少額投資非課税制度)の枠の拡大、国家戦略特区の選定等々、日本政府が経済を盛り上げるために、矢継ぎ早に大胆な政策を繰り出してきたからです。
 一方で、異次元緩和の名の下に、限りなく円紙幣は印刷され続けており、多少のインフレがようやく起こってきました。皆さんも、物価が少しずつ上がってきたと感じ始めているはずです。
 しかし政府は、こんな物価上昇では、とても満足などできません。もっと強烈に物価を上昇させ、国民が今年も来年も再来年もその先も、物価が上がると確信するまで、そして「継続的な2%の物価上昇」が確実となるまで手を緩めないでしょう。
 こうして日本ではマネーの洪水によって物価の上昇が始まり、やっと景気が回復しつつあるのです。
 人があまっているなどという話は昔のこととなり、今や至るところで人手不足が目立ってきました。建設業界では人手不足で工事が思うようにはかどらず、外食産業ではアルバイトが集まらないので深夜営業ができずに店を閉めるほどです。輸入物価高騰からガソリン価格をはじめ、諸物価も上昇しています。
 このように、日本政府や日銀の思惑通り、念願のインフレが訪れようとしているのです。

 ですが、これで万々歳と思ったら、大間違いです。
 マネーを限りなく印刷すれば、インフレ気味になって景気がよくなる一方だなんて、調子のいい話があるわけがありません。効く薬は副作用が大きいのは当たり前で、実際のところ、今の政策が効いて本当にインフレになってから、真の問題が勃発するのです。それが、これからなのです。
 どんな問題かって? インフレが止まらなくなるということです! 一度火がついたインフレは、止まるはずがないのです。
 米国では昨年、量的緩和を終了するとアナウンスした途端、あっという間に金利が1.5%から3%まで上がりましたが、日本の場合は、そのような経済の流れが致命傷となるのです。
 どうしてかって? だって借金が山のようにあるでしょう。金利が上がったらどうなるの!
借金の金利が払えずに破産するではないですか! 1000兆円もあるのですよ、金利が上がれば返せるわけがない! こんな理屈は小学生でもわかるわけで、いわば政府や日銀の政策が成功するということは、日本国の借金が返せなくなる事態が表面化するということにほかなりません。
 日本中が景気回復に喜んでいますが、その先があるのです! その先に備えなければ、悲惨な将来が待っているのです。こんな簡単な理屈は少し考えれば誰でもわかるはずですが、皆さんは今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫、と思っているのではないですか?
 政府だって1000兆円なんて借金が返せるとは、内心思っていない。つまり私は(そしておそらく政府も)、1000兆円の借金はインフレで返済することになると確信しているわけです。要するに日本国は国債が暴落する(激しいインフレが起こる)ことによって、結果的にその借金を返すことになるのです。

 こうして、やがて政府の思惑通り、本物のインフレが訪れ、加速し、円安とともに止まらない物価高が襲ってくるのです。
 そうなれば、どうなるか? 現金や預金などあっという間に価値を失っていくでしょう。デフレ時代はじっとしていればよかった。しかしインフレ時代は違う。行動できない者は泣きをみることになるのです。インフレ時代が来るということは「弱肉強食の時代が幕を開ける」ということなのです。

 これから、株価は際限なく上がり始めるでしょう。
 デフレからインフレへの転換を図る政府は、インフレの到来に備えて国民の資金を強引に株式市場に誘導するつもりです。
 政府は早くもNISAの枠の拡大を目指しています。始まって半年も経たないうちに枠の拡大を目指すのですから、国の覚悟がわかるというものです。今後、現在の2倍、つまり1年で200万円分の投資に税金がかからないとなれば、4人家族で年間800万円、これが10年になれば8000万円の投資が無税でできるようになるのです。一般的な家庭において、投資に関してはほぼ「税金を取りません」という国の宣言です。

 かように政府は、ありとあらゆる手段を使って、国民の資産を株式市場に投入させようとしている。この姿勢を甘くみてはならないのです。
 国民一人ひとりが、日本経済に何が起ころうとしているのか、真に理解せず、乗り遅れると、大変な目に遭うでしょう。
 本書ではこれからどのような経済の大変動が襲ってくるのか、自分のお金をいかに防衛し、増やすべきなのか、具体的な方法を示しています。
 来るべき変化に備えて行動を起こし、明日の日本を担える人材になるべく準備をしてほしいと思います。

14/12

アベノミクス

14/11

バンザイノミクス

14/10

新刊『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(舩井勝仁との共著)まえがきより(※目次、舩井勝仁のあとがきも含む)

14/09

加速する物価高

14/08

新冷戦という脅威

14/07

新刊『株は再び急騰、国債は暴落へ』まえがき より

14/06

深刻化する人手不足

14/05

何故ドルなのか

14/04

株高は終わったのか?

14/03

ウクライナを巡る暗闘

14/02

中国ショック

14/01

ハッピー倒産ラッシュ


バックナンバー


暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/

Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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