中村陽子の都会にいても自給自足生活

このページは、認定NPO法人「メダカのがっこう」 理事長の中村陽子さんによるコラムページです。
舩井幸雄は生前、中村陽子さんの活動を大変応援していました。

2020.01.20(第64回)
みんな母親たちの味方です。敵はいません。頼りにしましょう!

 メダカのがっこうの会員さんから紹介された中野区の女性議員さんに、有機給食のご相談に伺いました。メンバーは食べ物を変えたいママプロジェクト武蔵野のママたちです。
 私たちの話を聞くために仲間の議員さんを呼んでくれていました。なぜ今子どもたちの給食を有機にすることが緊急の問題なのかを説明するために、現代の食環境の酷い状況をお話ししました。以下お渡しした要望書です。

要望書(子どもたちの学校給食を有機無農薬食材に!)

 食べものを変えたいママプロジェクトは、アレルギーや自閉症を食で改善したマムズ・アクロス・アメリカの日本版です。
 未来を背負う子供たちの日本の現状を見るにつけ、すぐにでも子供たちの食は安全な有機食材に変えなければならないと緊急性を感じております。この10年ほどで、小学生が情緒障害・自閉症や知的障害等で特別支援学級の生徒数が2倍ほどに膨らみ16万人にも達しています。またアトピーやアレルギーに侵される子供たちも急増しています。除草剤グリホサートと殺虫剤ネオニコチノイドの影響であるとの研究があります。

 海外では有機給食の動きが出ています。韓国では、全州(チョンジュ)市が小・中・高校の学校給食を無償化と同時に有機食材を提供しています。ソウル市でも2021年からすべての小・中・高校で「オーガニック無償給食」を実施する予定です。アメリカでは子供たちのアレルギー・自閉症・発達障害に悩むお母さんたちが立ち上がり、NON-GMO(非遺伝子組み換え食品)とオーガニック食材で子供たちの症状を改善させました。その勢いで、5年間で全米のスーパーに、NON-GMOとオーガニックの棚を作らせてしまったのです。

 日本でも有機給食はほんの一部ですが行われています。東京都武蔵野市の安全給食は40年前に一小学校から始まり、現在では全市で実施されています。愛媛県今治市の有機給食は、1983年に学校給食を今治産食材にしようという地産地消運動からスタート、現在では今治産の特別栽培米や地元産の小麦や大豆が使われています。千葉県いすみ市では行政が先頭に立って有機農家に働きかけ、地元産の有機米100%の学校給食を提供しています。

 東京でも「安全安心の有機食材を学校給食に!」という機運は、今少しずつ高まりつつあります。3月9日には、成城ホールで、世田谷区の学校給食を有機無農薬食材にする会の母親たちが、「世界に広がるオーガニックの波 世田谷から考えよう!学校給食」という全国集会を開催予定です。
 中野区は東京産野菜にこだわり、「まごは(わ)やさしい」などの食育が充実し、感謝しております。後は、最近とみに緩和され農薬やゲノム編集食品など、子どもたちの身体に害を及ぼすかも知れないものが入らないよう、原材料の吟味をよろしくお願いいたします。

 幾つか具体的な希望を述べさせていただきますと、

●農薬と発達障害の関係はたくさんの研究論文はありますが、正式には因果関係が証明されていないので、「安全だと証明されていないものは回避する」という「予防原則」の立場に立ってほしいです。

●給食の食材や調味料は、各学校の栄養士の裁量に任されているので、区として予防原則に立って安全を重視した採用基準を設けてほしいです。(例、武蔵野市、国立市など)

●安全な食材は価格が高いので、生産者に払う金額と給食の予算との差額に補助をしてほしいです。出来れば教育費の無償化をし、給食費はその一環として無償化してほしいです。(知育、体育、徳育の前に食育がある……食べものは子どもの身体と脳と心をつくるので)

●手始めに、主食の有機米や国産小麦から始めてほしいです。これだけでもかなり危険度が下がります。次に、玉ねぎ、ジャガイモ、ニンジンの根菜類を有機にすると、有機率が一気に上がります。次に、ネオニコチノイド系農薬を使っていない青物、果物、お茶にするとほぼ完璧になります。

 切にご検討をよろしくお願いいたします。

 以上です。議員さんたちは、真剣に話を聞いてくださり、どうしたら多くの立場の人たちの利益につながるように組み立てられるかなど、自分たちの仕事に落とし込んで考えてくれました。これは三鷹市でも杉並区でも目黒区でも足立区でも感じたことです。今は有機給食で有名な今治市も最初は一人の母親が市長に直訴したことから始まったそうです。母の力は偉大です。だからみんなが味方してくれます。希望と自信を持ってお話しに行きましょう!食べママ武蔵野がサポートします。

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Profile:中村 陽子(なかむら ようこ)
中村 陽子(なかむら ようこ)
首のタオルにシュレーゲル青ガエルが
いるので、とてもうれしそうな顔を
してい ます。

1953年東京生まれ。武蔵野市在住。母、夫の3人家族。3人の子どもはすべて独立、孫は3人。 長男の不登校を機に1994年「登校拒否の子供たちの進路を考える研究会」の事務局長。母の病気を機に1996年から海のミネラル研究会主宰、随時、講演会主催。2001年、瑞穂(みずほ)の国の自然再生を可能にする、“薬を使わず生きものに配慮した田んぼ=草も虫も人もみんなが元氣に生きられる田んぼ”に魅せられて「NPO法人 メダカのがっこう」設立。理事長に就任。2007年神田神保町に、食から日本人の心身を立て直すため、原料から無農薬・無添加で、肉、卵、乳製品、砂糖を使わないお米中心のお食事が食べられる「お米ダイニング」というメダカのがっこうのショールームを開く。自給自足くらぶ実践編で、米、味噌、醤油、梅干し、たくあん、オイル」を手造りし、「都会に居ても自給自足生活」の二重生活を提案。神田神保町のお米ダイニングでは毎週水曜と土曜に自給自足くらぶの教室を開催。生きる力アップを提供。2014年、NPO法人メダカのがっこうが東京都の認定NPO法人に承認される。「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を子や孫に残せるような先祖になる」というのが目標である。尊敬する人は、風の谷のナウシカ。怒りで真っ赤になったオームの目が、一つの命を群れに返すことで怒りが消え、大地との絆を取り戻すシーンを胸に秘め、焦らず迷わずに1つ1つの命が生きていける環境を取り戻していく覚悟である。
★認定NPO法人メダカのがっこうHP: http://npomedaka.net/

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