ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2017.10.01(第44回)
朝鮮戦争終結と日本の危機

 あっと言う間に10月になりました。2017年も残すところ3ヵ月になってしまいました。今年はアメリカのトランプ政権の成立はじめ、緊張した北朝鮮情勢など、非常に変化の激しい年になりました。来年がどうなるのかまったく見えない状況です。
 そこで今回は、日本も巻き込まれる可能性があるので、もっとも注目されている北朝鮮情勢と、これから日本が陥る可能性のある危機について解説しましょう。

●北朝鮮の核容認、韓国と日本の核武装
 いまアメリカでは、北朝鮮の対応を巡って大きく意見が分かれつつあります。
 早期に先制攻撃して一気に決着をつけるべきだとする軍産やネオコンがいる一方、中国の拡大を牽制するために東アジアで緊張を高める道具として北朝鮮を利用すべきだとするキッシンジャーが代表するグループもあります。
 他方、北朝鮮を核保有国として容認し、韓国と日本を核武装させた後、アメリカは東アジアから撤退すべきだとする孤立主義の意見も相当に強いのです。制裁では北朝鮮に核兵器を放棄させることは不可能なので、この方法でしか北朝鮮問題の解決は不可能だとする意見です。韓国や日本を核武装させると、北朝鮮のみならず中国の勢力拡大も抑止できるので好都合なのです。

 北朝鮮を中国を牽制する道具として使うにしろ、永遠に緊張を維持できるわけではありません。強度の緊張が続けば続くほど、北朝鮮は核開発を加速させるので、一層大きな危機となって跳ね返ってきます。また軍事オプションですが、100万人近い犠牲者が出る大戦争になる可能性があるので、おいそれとは選択できません。
 そのように見ると、やはり北朝鮮の求めに応じて北朝鮮を核保有国として容認して、朝鮮戦争を正式に終了させ、韓国と日本を核武装させる以外に現実的に問題を解決する方法はないのではないかという意見が強くなるのも納得が行きます。
 こうした意見は、クリントン政権の国防長官だったウィリアム・ペリーや、オバマ政権のときの国連大使、スーザン・ライスなどの人々が表明していますが、それ以外にも国務省の政策担当者が意見を寄せる外交専門誌、「ナショナル・インタレスト」にもそうした論文が多く掲載されています。また韓国や日本の核武装論は、太平洋艦隊の元司令官のような軍人や、パット・ブキャナンのような著名な政治評論家からも表明されています。

 北朝鮮の核を容認し、韓国と日本を核武装させるべきだとする意見は、アメリカは世界のコミットメントを減らすべきだとする孤立主義の考え方に賛同する勢力も支持しています。東アジアにおける北朝鮮の脅威には、核武装した韓国や日本などの当事者に任せ、アメリカは関与すべきでないとする意見です。主席戦略官のスティーブン・バノンはこの意見に近かったのですが、いまでもこれを支持するホワイトハウスの勢力は存在します。
 もしこれから、どんなに制裁を強化しても北朝鮮は核を放棄せず、そしてアメリカも被害のあまりの大きさから先制攻撃という軍事的オプションも選択できないとするなら、北朝鮮の核容認と、韓国と日本の核武装というオプションしか残されていないことになります。いま中国を牽制するために北朝鮮の緊張を利用しているトランプ政権も、最終的にはこのオプションを選択せざるを得ない可能性も高いのです。

●近い将来いずれ終了する朝鮮戦争とその余波
 北朝鮮の核を容認する第3の選択は、核の絶対的な非拡散を条件にして、北朝鮮と平和条約を締結し、1953年に休戦したままになっている朝鮮戦争を、実質的に終了させる方向に道を拓きます。朝鮮戦争の完全な終結です。
 だが、日本ではほとんど知られていないことですが、朝鮮戦争の終結は実は安全保障をアメリカに依存した戦後日本の体制の根本的な変更を迫ることになるのです。これで日本は、いわばアイデンティティーの危機を経験することにもなりかねません

●実は在日駐留米軍の主要部隊は国連軍
 それというのも、在日米軍の主要部隊はなんと国連軍として日本に駐留を許されているからです。これは、朝鮮戦争が勃発し、米軍を主体とした国連軍が結成されたとき、日本の国土を米軍が自由に使う目的で行われた処置です。以下の7つ米軍基地が国連軍としての資格で駐留しています。

1.キャンプ座間
2.横須賀海軍施設
3.佐世保海軍施設
4.横田飛行場
5.嘉手納飛行場
6.普天間飛行場
7.ホワイト・ビーチ地区(沖縄県うるま市)

 現在日本には、本土に7つ、沖縄に8つの米軍基地があります。そのうち本土4つ、沖縄の3つが国連軍の資格で駐留しているということです。

●国連軍地位協定と日本
 朝鮮戦争が休戦した翌年の1954年、戦争の再発を防止するために国連軍の駐留を日本が受け入れる「国連軍地位協定」が締結されました。先の7つの米軍基地はこの協定に基づいて日本に駐留しているのです。
 そして「国連軍地位協定」の第24条によれば、国連軍後方司令部は朝鮮半島から国連軍が撤退するまで有効で、国連軍撤退が完了したのち90日以内に日本から撤退しなければならないとしているのです。
 つまり、朝鮮戦争の終結とともに、国連軍の資格で日本に駐留している7つの基地は撤収しなければならないということです。だが、キャンプ座間、横田飛行場、横須賀海軍施設などは在日米軍司令部のある基地です。朝鮮戦争の終結にともない、司令部のあるこれらの基地を撤収させると、三沢や岩国など他の基地が存在していたとしても、まともに機能しなくなるのかもしれません。

●アメリカの孤立主義と日本の危機
 このような状況は、スティーブン・バノンのような孤立主義の勢力にとっては好都合な状況です。朝鮮戦争の正式な終結にともない、東アジアへのコミットメントを大幅に減らすという目標の実現に本格的に動くかもしれません。
 一方これは、日本にとっては、70年以上続いている戦後体制の根本的な転換を迫る大きな危機になる可能性があります。憲法を改正し、本格的に核武装をして独自の安全保障体制の構築を目指すのか、それとも周辺諸国と集団安全保障の体制を改めて構築するのかの選択です。
 おそらく、遅くとも2年以内に大きな変化の波が、それこそ津波のように日本を襲うことでしょう。北朝鮮情勢は、これから急展開する恐れがあるので、要注意です。気づかないかもしれませんが、いま日本は歴史的な転換点にいるのです。

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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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