ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測
このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。
今回はいつもとは異なり、人間の概念が歴史的に変化しつつある可能性について論じたい。
いま、ウクライナ戦争やアメリカの覇権失墜、世界の急速な多極化などの大きな変化に目を奪われているが、実はそうした状況で、人間の概念を大きく変えてしまうことにもなりかねない事態が進んでいる。これは、歴史の深層海流とでも呼べるような水面下の変化のように筆者には思われる。どんな動きなのか、順を追って説明しよう。
●米下院監視委員会の公聴会
「UAP(未確認空中現象)」が実際に存在し、そのテクノロジーの水準から見て、これが地球外のものである可能性を示唆するビデオが2017年米国防総省によって開示されてからというもの、国防総省や米軍の関係者から毎年のように新たな証言や情報の開示が進んでいた。「UAP」が地球外由来であること、そして地球外生物が実際に存在していて、それが地球に来訪しているという認識はだいぶ一般化してきた。
そのような状況で開催されたのが、超党派の米下院監視委員会による「UAP」の公聴会だった。これは民主党トップのチャック・シューマー院内総務らが連邦政府に対して「UAP」の情報開示を要求する法案の提出を受けて開催された。
元空軍情報将校を含む3人の退役軍人が証言した。彼らは、米空軍のパイロットの「UAP」目撃情報の95%が抑圧され、目撃を報告するとパイロットとしてのキャリアを失う危険性があること、そして「UAP」に関係したさまざまなプロジェクトが実際に存在していることなどを証言した。
中でも大きな驚きを与えたのは、アメリカ政府は回収された「UAP」の「数十年」に及ぶリバースエンジニアリングプログラムを秘密裏に運営してきたという証言だった。これを証言した元情報局員のグルシュという人物は、アメリカは 「人間ではない生物学的物質を探査機のパイロットから回収している」と主張した。
さらにグルシュは、個人的にエイリアンの乗り物やエイリアンの死体を見たことはなく、彼の意見は、彼が「UAPタスクフォース」での役割の中で4年間にインタビューした40人以上の目撃者の証言に基づいていると述べた。
そして、「私の証言は、長年の正当性とこの国への奉仕の実績を持つ個人から与えられた情報に基づくもので、その多くは写真、公式文書、機密の口頭証言という形で説得力のある証拠も共有しています」と言い、証拠の宝庫は意図的に議会から秘匿されてきたと付け加えた。
一方グルシュは、公聴会では、これ以上の情報を話すことは控えるとし、非公開の場では詳細を開示する用意があると申し出た。
これは正式に開催された米下院の公聴会で、リバースエンジニアリングや人間ではない生体の回収、そして地球外生物が実際に存在していることが証言された初めてのケースとなった。なぜか日本の主要メディアではまったく無視されているが、アメリカの主要メディアでは「UAP」とエイリアンの存在を公に認めた初めての公聴会となったということで、天地を引っ繰り返したような騒ぎになっている。
CNNやABC、そしてFOXなどの全米の主要メディアには、「ディスクロージャー・プロジェクト」のスティーブン・グリア博士を含むこの分野の専門家が登場し、地球外生命体が単に存在するというだけではなく、宇宙にはさまざまな文明の地球外生命体が構成する巨大なネットワークのようなものがあり、人類はそれから孤立しているとする見方などを盛んに報じるようになっている。
●イスラエル国防省高官の証言
公聴会以降の状況で改めて注目されているのが、イスラエルの「宇宙開発計画の父」と称され、アメリカの「スミソニアン博物館」はじめ、数々の組織や機関から賞を受賞し、「イスラエル国防省宇宙計画」の長官だったハイム・エシェッド博士が2020年12月にイスラエルの新聞、「イエディオット・アーロノット」で行ったインタビューである。エシェッド博士は次のように述べ、地球外生物のネットワークが実際にあることを明確に認めた。
・はっきり証言する。私は「イスラエル国防省宇宙計画」の長官であった頃、アメリカの担当部局とは頻繁に情報交換していた。そのとき、イスラエルとアメリカ両国は、地球外生物と交流しており、彼らとの間に協定を結んでいた。
・協定を結んだ相手は、さまざまな地球外生物の連合体である「ギャラクティック連合」であった。実はトランプ政権もこの事実をよく知っている。トランプ大統領は、そのすべてを世界に向けて公開するつもりであった。
・しかしながら、「ギャラクティック連合」から公開をしないように強い要請があった。彼らが言うには、人類は地球外生物の存在を受け入れるための精神的な準備ができておらず、公開するといたずらにパニックを引き起こすからだという。人類の精神的な進化と発展を待って、公開したいとのことだった。
エシェッド博士がこの証言を行った2020年12月当時、アメリカの主要メディアでも報道されたものの、さほど大きな注目を集めなかった。ところが下院監視委員会の公聴会以降、この証言が改めて注目され、もし高度なテクノロジーを持つ地球外生物が実際にいるのであれば、「ギャラクティック連合」のようなものも実際にあるのかもしれないとまじめに話題になっているのだ。
●マインド・アップロード
地球外生物と「ギャラクティック連合」のようなものの存在に目が開かれることは、これまでの人間のイメージを根本から変化させる可能性がある。人間とはもはや地球にだけ存在するものではなく、地球外の生命体が連合した広大なネットワークの一部であることになる。すると、出自も含めて、そもそも人間とはどのような生物なのかが改めて問題となってくるに違いない。
しかし、人間の概念を根本から変化させる可能性のある動きはこれだけではない。歴史で大きな変化が起こるときは、それぞれ無関係に見える異なった領域で特定の方向を目指す動きが、まさにシンクロのように重なって起こることがある。人間の概念の変化についても同じことは起こっているような感じだ。
人間の概念を変化させかねない動きの一つが、「マインド・アップロード」の新しいテクノロジーである。
「マインド・アップロード」とは、脳をスキャンして個人の脳をコンピュータに完全にコピーする、全脳模倣のテクノロジーだ。コンピュータは、脳の情報処理をシミュレートし、元の脳と基本的に同じように反応し、感覚的な意識も持つことができる。
動物の脳のマッピングとシミュレーション、より高速なスーパーコンピュータの開発、仮想現実、ブレイン・コンピュータ・インターフェイス、動的に機能する脳からの情報抽出など、神経科学とコンピュータ科学において、関連分野の実質的な研究が行われている。「マインド・アップロード」を実現するために必要なツールやアイデアの多くはすでに存在するか、現在活発に開発中である。
最近この分野で、あるブレークスルーが起こった。それを引き起こしたのは日本人の研究者だ。東大工学系大学院の渡邊正峰准教授である。これまでの「マインド・アップロード」のコンセプトでは、人間が死ぬことが前提となっていた。死んだ後に脳を取り出し、すべての細胞のネットワークをシミュレートしてコンピュータにコピーするのだ。しかし渡邊准教授のチームは、人間が生きているうちに脳のコピーを可能にするテクノロジーを開発している。
それは走査型電子顕微鏡を使う方法だ。電子ビームを集束させて、脳の薄切片の詳細な画像を作成するのである。得られた画像スライスを重ね合わせ、脳内の神経細胞の3次元結合を再構築する。このようにして、神経細胞の脳繊維(軸索と樹状突起と呼ばれる)が再構成され、完全な神経結合が得られる。
このデバイスを訓練する手順は、最新の「ディープラーニング・ニューラルネットワーク」を訓練するのとよく似ている。これで、最終的には人間の脳を模倣することができる。これが達成されれば、意識や人格もそのままの状態で存在する。
●脳細胞を移植したチップ
このように、人間の脳がそっくりそのままコンピュータにコピーできる「マインド・アップロード」のテクノロジーが開発されようとしている一方、脳細胞を移植したコンピュータチップも開発されている。
これは、約80万個のヒトとマウスの脳細胞を電極に培養し、「DishBrain」と呼ばれる半生物学的コンピュータチップを製造するテクノロジーである。皿の中で生きている約80万個の脳細胞を成長させ、目標に指示されたタスクを実行するように教えることができる。つまり、プログラミングである。すでにこれを開発したオーストラリアのモナシュ大学では、この脳細胞チップにテニスのような簡単なコンピュータゲーム、ポンを行う方法を教えることに成功している。
●人間とテクノロジーの一体化、トランスヒューマン
さて、こうしたテクノロジーの発展は何を表しているのだろか?
それは、テクノロジーと人間のシームレスな一体化という状況だ。イーロン・マスクもこのシームレスな一体化を提唱し、「ニューラルリンク」という会社を設立した。
この会社の目標は、脳神経にインプラントを埋め込むことで、人間の脳がコンピュータと直接相互作用できるようにすることである。同社のウェブサイトによれば、その潜在的な用途には、失明や麻痺を含む「満たされていない医療ニーズを持つ人々の自律性」の回復が含まれるとしている。
これができれば、脳の活動を活性化するコンピュータチップを脳に埋め込み、パーフォーマンスを引き上げたり、脳の長期記憶を保管している海馬の内容をチップに書き込み、コンピュータに保存することも可能になるだろう。このような方向の開発もかなり進んでいる。
このような、人間とテクノロジーのシームレスな一体化は「トランスヒューマニズム」に道を拓く。「トランスヒューマニズム」とは、長寿と認知能力を大幅に向上させることができる高度な技術を開発し、これと人間が一体化することで、既存の人間の概念を越えることである。「UAP」や地球外生物の存在を認めることで人間の概念が変化する動きとは異なるものの、「トランスヒューマニズム」も人間観の変更を迫る動きであることは間違いない。
しかし、人間とテクノロジーが一体化する「トランスヒューマニズム」が内包する危険性は、人間がテクノロジーに解体されてしまい、人間のあらゆる側面が高度なテクノロジーと置き換え可能になることだ。この解体の結果、高い脳のパーフォーマンスと増強された記憶力、そして健康と長寿が手に入るようになると、人間はこうしたテクノロジーに依存状態となり、抜け出すことが困難になるだろう。テクノロジーに支援されない生活はもはや考えられなくなる。すでに我々はスマホに完全依存状態で生活しているが、依存の対象が脳内チップや脳・コンピュータインターフェースになると言えば分かりやすいだろう。
「エクソコンシャス・ヒューマンズ」という本を書き注目されているレベッカ・ハードキャスル・ライト博士は次のように述べている。
「自撮りというソーシャルメディア現象は、自己客観化を象徴しています。この現象は、多くのアングルで何枚もの自撮りをする傾向であり、他人が自分をどう見ているかに基づいて自己イメージを作り上げています。ソーシャルメディア上では、1枚のセルフィーが毎日何枚ものセルフィーになります。この自己客観視は、1)自己のベスト画像をランク付けし、2)その画像を他人の画像と比較し、3)デジタル補正ツールを使い、4)最終的に他者に勝利した自己画像を作り出すことによって強化されます。写真を投稿するたびに、このプロセスが繰り返されます。
このプロセスを通じて、人間の身体、心、精神という真の自己は、一次元のイメージ、つまり物体に切り下げられます。価値を下げることは、トランスヒューマニズムの第一歩です」
ちょっと難しいかも知れないが、すでに我々の人間関係や社会生活のかなりの領域がネット上のSNSで営まれている。「Line」や「ツイッター」、そして「インスタグラム」が使えない世界は想像すらできなくなっている。これらのSNSに対する依存は強化されるばかりだ。ライト博士は、これは自撮りによって作られるSNSの自己イメージと自分自身が一体化してしまい、こうしたテクノロジーなしには生きられなくなる状況を示しているという。
●人間をどうやって守るのか? エクソコンシャス・ヒューマンズの提唱
SNSの自撮りやスマホの依存状態はテクノロジーと人間が一体化する「トランスヒューマニズム」の初期の現象だろう。しかし、脳も含め人間のあらゆる側面が高度なテクノロジーによって置き換え可能になるならば、人間はあとかたもなくテクノロジーに解消されてしまいかねない。人間という存在、そしてそれを基盤にして現れる自我を持った「私」や、「自己」という存在もかけがえのないものではなく、テクノロジーによってどうにでも操作可能な対象にしか過ぎなくなってしまう。
ここまでくると、テクノロジーをコントロールし操作する主体は人間ではなくなる。テクノロジーはコントロール不能となり、人間を生産物として飲み込んでしまうかもしれない。どんな個人もコピーが可能であり、再生産ができる存在になる。
こうした状況に危機感を感じ、テクノロジーには解体されることのない人間の在り方を模索し、テクノロジーに対する人間の優位性を主張しているのが、前述したレベッカ・ハードキャスル・ライト博士である。人間の優位性の確保は、AIなどのテクノロジーの暴走をくい止めるためにも重要である。「Chat GPT」を使ったことのあるものなら、AIの高度な能力に驚いたことさろう。すでに「Chat GPT」の登場で、コピーライティングや広告、また脚本や映画などの分野で仕事が急速になくなっている。
ライト博士は、テクノロジーには解体されることのない人間性の根拠となるものこそ、「エクソコンシャス」という概念であるという。これは人間の意識に内在している普遍的な能力のことである。この概念の内容を以下に掲載する。
「エクソコンシャス」とは、多次元的、全体的、統合的な意識であり、さまざまな体験や現象を包含しているとされる。地球外生命体との接触だけでなく、霊、天使、異次元存在など、人間以外の知性との出会いも含まれると言われている。「エクソコンシャス」の主な特徴としては、以下のようなものがある。
1)拡張された意識
「エクソコンシャス・ヒューマンズ」は、直感や超能力、共感力が高まるなど、意識や知覚が高まったと感じることが多い。また、明晰夢や幽体離脱、体外離脱など、意識の変容を体験することもある。
2)宇宙とのつながり
「エクソコンシャス・ヒューマンズ」は、大宇宙との深いつながりを感じ、しばしば自分自身を宇宙市民または大使と表現する。また、自分が銀河系の大きなコミュニティの一員であると考え、人類の進化と意識の拡大を支援する責任を感じている場合もある。
3)コンタクト体験
「エクソコンシャス・ヒューマンズ」は、目撃、テレパシーによるコミュニケーション、物理的な遭遇など、地球外生命体とのさまざまな接触体験を報告している。これらの体験は、ポジティブ、ネガティブ、またはニュートラルであり、個人の人生に大きな影響を与える可能性がある。
4)スピリチュアルな変容
「エクソコンシャス」は、しばしば精神的な成長と変容に関連しており、個人が自分自身をより大きな宇宙の計画や神の秩序の一部であると考えるようになるためだ。また、人生の目的や使命感を新たに持ち、人類や地球に対して何らかの形で奉仕するよう求められることもある。
これが「エクソコンシャス」の概念である。ライト博士はこの概念を基盤にして、「トランスヒューマニズム」には解体されない人間性の概念を築こうとしている。7月27日に米下院政府監視委員会の公聴会で公に明らかになった「UAP」と地球外生物の存在がもたらす人間の概念の変化にも、「エクソコンシャス」は親和性の高い概念となるだろう。
もちろん、「エクソコンシャス」は新しい人間の概念として広まるかどうかはいまのところ分からない。しかし少なくとも、「トランスヒューマニズム」に対抗して、人間を救うことになる概念ではあると思う。いま筆者は、ライト博士の「エクソコンシャス・ヒューマンズ」を翻訳している。9月以降には出版されると思う。非常に興味深い本だ。期待してほしい。
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社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
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