ヤスのちょっとスピリチュアルな世界情勢予測

このページは、社会分析アナリストで著述家のヤス先生こと高島康司さんによるコラムページです。
アメリカ在住経験もあることから、アメリカ文化を知り、英語を自由に使いこなせるのが強みでもあるヤス先生は、世界中の情報を積極的に収集し、バランスのとれた分析、予測をされています。
スピリチュアルなことも上手く取り入れる柔軟な感性で、ヤス先生が混迷する今後の日本、そして世界の情勢を予測していきます。

2023.11.01(第117回)
憎しみの対象となるイスラエル

〜イスラエルの「ガザ」攻撃とその大変な余波〜



 今回は、「ハマス」の攻撃に対する報復として続けられているイスラエル国軍の「ガザ」攻撃がもたらしている大変な余波について書く。
 イスラエルの「ガザ」攻撃が一層激しくなっている。10月18日には「ガザ」の北部にあるキリスト教の団体が運営する病院で大規模な爆発があり、中にいた500人を越す人々全員が死亡した。「ガザ」ではすでに3000人が死亡し、100万人が北部から南部に避難した。いま「ガザ」はイスラエルによって水と電力、そして食料の供給が遮断されているので、大変な人道危機になっている。
 イスラエルによる「ガザ」攻撃は初めてではない。21世紀に入ってからも2006年、2008年から09年、そして2014年と3回も起こっている。しかし「ハマス」のイスラエル攻撃の報復として行われた今回の攻撃は、破壊の規模でも死者数でも群を抜いている。
 2014年の攻撃では50日間の戦闘で1423人のパレスチナ人が死亡しているが、今回はわずか10日間で3000人を越えているのだ。イスラエルは30万人の予備役の動員を終え、地上侵攻を準備している。地上軍の本格的な侵攻となると、「ガザ」の死者数は予想を越えて増大することは確実だろう。

●これまでとはまったく異なる世界の反応
 2014年の「ガザ侵攻」のときも筆者は情報を集め、動きを詳しくモニターしていた。そのときも侵攻したイスラエル国軍に対する反発が強く、ツイッターやフェースブックなどのSNSではパレスチナ人に同情し、イスラエルを非難する声は多かった。しかしながら、イスラエルの「ガザ」攻撃はすでに何度も繰り返されているので、戦闘が長引くにつれてSNSの関心も次第に薄れ、それとともにイスラエルへの非難も沈静化した。とにかく、パレスチナ問題の最終的な解決に至る政治的な交渉が一刻も早く進められるべきだとの意見に落ち着く傾向にあった。
 しかしながら今回は、そのような2014年当時とは様相がまるで異なる。筆者は「X(旧ツイッター)」、「ユーチューブ」、「テレグラム」などのSNSとともに、「TikTok」を活用している。すると「ガザ」攻撃には、2014年当時とは根本的に異なる反応が見られた。
 とても激しいイスラエル非難の声である。この攻撃の理由となった「ハマス」のイスラエル攻撃は、すでに忘れ去られたかのような状態である。

 やはり、2014年には存在しなかった「TikTok」の拡散力の影響は大きい。コンテンツの審査が非常に厳しくなっている「Youtube」とは異なり、「TikTok」はほぼリアルタイムでライブで動画を配信できるので、「ガザ」でいま起こっていることがつぶさに分かるものすごい数の動画がアップロードされている。「ガザ」でも病院など電力の供給とネットの接続がかろうじて確保されている場所があるのだろう。そうした場所から、英語のできる市民が瓦礫の中で泣き叫ぶ子供たちを背景に、悲痛な声で「TikTok」の視聴者に助けを求めるものが多い。
 これを見てショックを受けた多くの人々が反応し、イスラエル非難の大合唱となっている。この動きは18日の「ガザ」北部の病院で500人以上が死亡した事件が起こると、さらに非難は激しくなっている。
 今回の「ガザ」の攻撃の理由は「ハマス」によるイスラエル攻撃だったが、「ハマス」を非難する声はほとんどない。そもそも、イスラエルが過去70年以上にわたってパレスチナ人の人権を抑圧し、「ガザ」を屋根のない刑務所にして、230万人の人々を非人道的な状態に追い込んでいることが、「ハマス」が攻撃せざるを得なかった原因であるとして、イスラエルの責任を追求する声が多い。
 このような声に呼応しているのは一般市民だけではない。これまではイスラエルの政治的な立場に一定の理解を示していたよく知られた専門家やコメンテイターの中にも、イスラエルを非難するものが多くの出てきている。例えば、国連のイラク核査察官であり、国際情勢の著名なアナリストであるスコット・リッターや、トランプ政権の国防省上級顧問でイスラエル軍との関係が強いダグラス・マクレガーなども、「ガザ」の空爆で多くの一般市民を殺害しているイスラエルを厳しく非難している。

●共通のアイデンティティーとしての反植民地主義
 たしかに今回の「ガザ」攻撃は、前回の2014年当時と比べると、規模も大きく犠牲者の数も多い。イスラエルを非難する声が高まっても当然だろう。しかしながら、今回のイスラエル非難の高まりは尋常ではない。イスラエルは、まさに悪魔であるかのようにたたかれている。
 このような激しいイスラエル非難の背景を見ると、2014年当時とは大きく異なる状況が存在していることが分かる。
 それは、BRICSの拡大とともに始まっている「グローバル・サウス」の国々の急速な成長と発展である。「グローバル・サウス」とは、これまで発展途上国と呼ばれていたアフリカや南西・中央アジア、そしてラテンアメリカと南アメリカの国々のことだ。これらの国々は、「一帯一路」を主軸にした中ロ経済圏の拡大で、急速に成長している地域である。
 成長の拡大とともに、これらの国々は政治的な自己主張を強めている。「グローバル・サウス」のほとんどの国々は、かつては欧米の植民地であった。欧米諸国による労働力と資源の厳しい収奪に、長年あえいでいた国々である。
 さらに、植民地の収奪構造はいまも残っている。西アフリカのサヘル地域にあるマリ、ニジェール、ブルキナパソのような国々ではウランや金のような国内資源が旧宗主国であるフランスの資本に支配され、そこから得られる富のほとんどは国外に流出している。さらにこれらの国々には対テロ対策を口実にフランス軍が駐留し、フランスの既得権を守っている。

 しかし、昨年から今年にかけてマリ、ニジェール、ブルキナパソでは軍によるクーデターが起こり、フランスの息のかかった親欧米派の政権を打倒した。誕生した新政権は反植民地主義とフランスからの政治的・経済的な独立を主張して、国内に駐留するフランス軍を追い出したほか、ニジェールなどではフランスに対して金やウランの禁輸を実施した。そして、これらの国々は、植民地主義の歴史がないロシア、そして中国との関係を深め、政治的・経済的な自立の道を模索している。
 これに対しロシアも反植民地主義を「グローバル・サウス」全体の統一的なアイデンティティーとして提示し、これらの国々の結束を図る方向に動いている。10月16日、プーチン大統領は中国メディアとのインタビューでおおよそ次のように語っている。

「アメリカが推進する「ルールに基づく秩序」という概念は、植民地主義を装ったものだ。過去の植民地支配国は、自分たちが支配する領土に「啓蒙」と「文明の恩恵」をもたらしていると主張した。アメリカの例外主義は、アメリカ人が世界の他の国々を、歴史上の植民地主義者と同じように「二流の人々」と認識していることを意味する。
 ロシアはこのアプローチを否定し、すべての国が対等に扱われる公正な多極化世界を目指している。私たちはこのプロセスを加速させることもできるし、誰かが減速させようとすることもできる。いずれにせよ、その誕生は避けられない。非西洋経済圏をリードするBRICSグループが今年拡大したことは、その方向への大きな一歩だ。新たに6カ国が加盟したことで、BRICSの経済力は西側諸国のG7を上回った」

 これはロシアが、欧米主導の植民地主義的な既存の秩序とは大きく異なる世界秩序の担い手になることの宣言である。この新たな秩序は、どの国も公平に扱い、植民地として収奪はしない多極型秩序である。
 こうしたプーチン大統領の呼びかけは、「グローバル・サウス」の多くの国々が共鳴している。今年の6月に「BRICS首脳会議」を主催した南アフリカのラマポーザ大統領は、国民に向けて次のように宣言している。

「世界のどの大国とも同盟を結ばないという私たちの決定は、私たちが原則や国益の問題に関して中立であるということを意味するものではない。
 私たちの非同盟の立場は、世界のさまざまな地域で抑圧され疎外されている人々の闘いを積極的に支援することと並行して存在している。
 私たちが勝ち取った自由、そしてその恩恵を受けた国際的連帯は、植民地主義や人種抑圧を経験し続けている人々の闘いを支援する義務を私たちに課していると、私たちは常に信じてきた。
 だからこそ、私たちはパレスチナと西サハラの人々の闘いを支援し続けるのだ。
 私たちは、すべての加盟国が平和的手段によって国際紛争を解決するという原則を含め、国連憲章の条項を全面的に遵守しています」

 このように、いま反植民地主義を共通のアイデンティティーとする息吹は、BRICS諸国と「グローバル・サウス」全体に拡大し、より戻すことが不可能なトレンドになっている。
 そして問題は、こうした文脈からイスラエルという国がどのように捉えられるかだ。
 植民地主義は、自由と民主主義、そして基本的人権の擁護を主張する西側先進国のもっとも不都合なダークサイドを表している。理念としては民主主義と人権の擁護を唱えながらも、自らの植民地だった地域に対しては、露骨な暴力による経済的な収奪を続けていたからだ。

●植民地主義の象徴としてのイスラエル
 過去、70年を越えてパレスチナ人の人権を抑圧し、自由を奪ってきたイスラエルは、植民地主義という西側諸国のもっともダークな歴史の側面を象徴する存在として見られている。2014年の51日間続いた「ガザ」の攻撃のときは、イスラエルのそうしたダークな象徴性はあまり深くは認識されていなかった。
「ガザ」の攻撃は、中東の局地紛争として見られることも多かった。イスラエルに向けられた世界の怒りは、さほど激しいものではなかった。
 しかし、反植民地主義がBRICSと「グローバル・サウス」全体のアイデンティティーになったいま、イスラエルという国は西側諸国のもっともダークな歴史を圧縮して表現する象徴となった。イスラエルの激しい「ガザ」攻撃に世界中の人々は、アジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカを植民地化した歴史の陰画を読み取る。イスラエルに対する反発が起こっているのは、中東諸国だけではない。多極型秩序形成の息吹に触れている世界のあらゆる地域と場所で、イスラエル非難は拡大している。
 これは、アメリカやヨーロッパでもそうだ。西側の先進国では民主主義と資本主義の理念が根本から揺らいでいる。この2つの伝統的な理念では、社会の持続性を保証することは不可能なことがはっきりしている。結局、この2つの理念が作り出したものは、8割を越える国富が最上位1%程度の超富裕層に支配されるという極端な格差社会だった。それは、いつまでたっても貧困から抜け出すことのできない下層という、いわば国内の植民地の存在を恒常化した。そのため、植民地主義のイスラエルへの強い反感は、欧米諸国でも拡大している。

●イスラエル国内で起こっていること、極右の武装化
 10月7日に起こった「ハマス」のイスラエル攻撃を、ネタニヤフ政権は事前に知っていた可能性はある。それというのも、もともと「ハマス」という組織は、パレスチナ自治政府が国家として独立することを阻止する目的で、パレスチナに内戦を引き起こすためにイスラエルが後押しして作った原理主義組織だからである。
「ハマス」は独立した組織で、イスラエルから指令や命令を受けているわけではない。
 しかし、イスラエルはこの組織の結成に関与しているわけだから、「ハマス」の動きを戦闘員一人一人に至るまで、「モサド」は把握していたとする記事が多い。ネタニヤフ政権は、ある目的を実現するために、今回の攻撃を容認した可能性が高い。この目的がなんであるのかは、長くなるので記事を改めて書きたい。  今回の記事では、世界中のごうごうたる非難の中で、イスラエル国内でいま起こっていることを書く。それは、「カハネ主義」の台頭と彼らの武装化という事態である。

「カハネ主義」とは、アメリカ生まれのユダヤ教のラビ、メイル・カハネの持っていた過激思想のことである。カハネは次のように主張した。

「我々は神に選ばれた民であり、我々が滅びなかったのは明白な神との契約があったからだ。我々は異教徒と平等では断じてない。我々は優れているのだ」

 これはユダヤ民族至上主義であり、レイシズムの一種である。「カハネ主義者」は特にアラブ人、イスラム教徒を敵視しており、壁に「アラブ人どもを毒ガス攻撃しろ!」などと落書きしたり「アラブ人に死を」とアラブ人の墓に落書きしたりしている。これらの行為や人種差別的思想から「カハネ主義者」は、「ネオナチ」や「ユダヤ過激派」とも言われている。
「ハマス」によるイスラエル攻撃、ならびに「ガザ」の空爆で起こったイスラエルに対する世界的な非難に反応して、イスラエル国内では「カハネ主義者」の武装化が始まっているというのだ。イスラエル国内の状況を伝えている複数のジャーナリストが報告している。いまイスラエルの国民は、パニックと恐怖、そして怒りの感情が混在した状況にある。
 そうした異常な雰囲気の中で、ユダヤ民族至上主義の「カハネ主義者」は、パレスチナ人のみならず、「ガザ」の人々に同情を示す左派やリベラル系のイスラエル人を激しく攻撃している。インスタグラムにあった助けを求める「ガザ」の人々のメッセージに「いいね」をしたイスラエル人を割り出し、彼らを激しく攻撃している。「カハネ主義者」の強い圧力で失職したリベラル系の教師もいる。
 いま、「カハネ主義者」の武装化と彼らによる国内テロの発生を警告するジャーナリストが多い。イスラエルは「ハマス」の攻撃の前から、ネタニヤフ政権の憲法改正問題で国内は内戦の危険性もうわさされるほど分裂していた。今回の「ハマス」の攻撃と「ガザ」の空爆でイスラエル国民はネタニヤフ政権の元に結集するかに見えたが、どうもそのようにはなっていないようだ。イスラエル国内の激しい分裂とテロが起こるかも知れないのだ。

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●「ヤスの勉強会」第122回のご案内●

「ヤスの勉強会」の第122回を開催します。いまイランとイスラエルの緊張は高まり、中東戦争の可能性は消えません。また、ウクライナ戦争も新たな局面になり、ウクライナ軍が崩壊するのかどうかが焦点になっています。そうした状況で日本にも大きな変化が近づいているようにも見えます。それは何でしょうか? これをしっかり解説します。ぜひどうぞ!

 ※録画ビデオの配信

 コロナのパンデミックは収まっているが、やはり大人数での勉強会の開催には用心が必要だ。今月の勉強会も、ダウンロードして見ることのできる録画ビデオでの配信となる。ご了承いただきたい。

 【主な内容】
 ・中東戦争の危機
 ・トランプの勝利は近いのか?
 ・アメリカ国内の大きな変化、イスラエルとの分離
 ・ウクライナ軍崩壊の予兆、軍事支援も無駄か?
 ・AIがもたらす社会の根本的な変化
 ・現代中国で起こっている変化
 ・個の確立と意識の変化
 など。


 よろしかったらぜひご参加ください。

 日時:5月25日、土曜日の夜までにビデオを配信
 料金:4000円
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Profile:高島 康司(たかしま やすし)
高島 康司(たかしま やすし)

社会分析アナリスト、著述家、コンサルタント。
異言語コミュニケーションのセミナーを主宰。ビジネス書、ならびに語学書を多数発表。実践的英語力が身につく書籍として好評を得ている。現在ブログ「ヤスの備忘録 歴史と予知、哲学のあいだ」を運営。さまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、予言などのイレギュラーな方法などにも注目し、社会変動のタイムスケジュールを解析。その分析力は他に類を見ない。
著書は、『「支配−被支配の従来型経済システム」の完全放棄で 日本はこう変わる』(2011年1月 ヒカルランド刊)、『コルマンインデックス後 私たちの運命を決める 近未来サイクル』(2012年2月 徳間書店刊)、『日本、残された方向と選択』(2013年3月 ヴォイス刊)他多数。
★ヤスの備忘録: http://ytaka2011.blog105.fc2.com/
★ヤスの英語: http://www.yasunoeigo.com/

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