新時代への道しるべ
このページは、船井幸雄と同じ理念を持った、(株)トータルヘルスデザイン会長の近藤洋一氏によるコラムページです。近藤会長は、健康、環境、食料などの分野で、新しい21世紀を創り上げることを使命とした活動をされています。
1990年にトータルヘルスデザインという会社を創業しました。病人を一掃することを目的として設立されたはずの病院が増えれば増えるだけ、病人の数も増えていくという事態に直面していたのが当時の社会状況でした。そんな状況の背景に一体何があるのだろうかといろいろ思いを巡らせていました。
“病気を治して健康になる”という錯覚
1950年代初め、当時中学生だった頃、京都に初めてパチンコ屋さんがオープンしました。機種は「オール10」だったと思います。それまでパチンコ屋さんはなかったのだから、パチンコ人口は当然のことながらゼロでした。やってみると、これがけっこう面白くて病みつきになってしまったものです。
繁華街のあちこちにパチンコ屋さんができて、あれよあれよという間にパチンコ愛好者が増え続けていきました。
考えてみると、パチンコの好きな人がいるからパチンコ屋さんができたのではなく、パチンコ屋さんができるにつれ、パチンコにひきつけられる人が増えていったのです。
これと同じことが病院にも起こっているのではないでしょうか? パチンコと同じで、病院ができると、病人が増えていくような“場”が生まれるのではないでしょうか? 常識的に考えると、病人が増えるから病院ができると思ってしまうのですが、ひょっとするとこれは錯覚かもしれません。病院の使命は病気を治すことなのだから、使命が果たせていれば病人は減っていくはずです。一体どうなっているのだろう…。
ちょっと体調が悪いくらいなら、放っておいたら自然治癒力が働いて体調は自然に元に戻るものです。そんな時病院にいくと、お医者様も放っておくわけにいかないので、患者の訴える症状にふさわしい病名をつけることになる。そうすると病名にふさわしい症状が現れる…。
このようにして慢性病が増え続け、「病院ができればできるだけ病人が増える」という悪循環が生まれるのではないでしょうか。病気に限らず、この世のことは案外そんなものなのです。「病気を治して健康になる」という発想のどこかに落とし穴があるに違いありません。病名がつくと病気に対して恐れが生じます。恐れたことは現実となって現れるものです。恐れが病気を作っているのではないでしょうか? すべての現象の背後にあるのは意識なのではないでしょうか…。
症状は療法
もちろんこれがすべてというわけではありません。放っておいたら死に至る病から救われたという人も無数にいらっしゃいます。その点、病院の果たした役割は大きなものがあるように思います。その一方でさまざまな課題がでてきたのです。
そんな現実がトータルヘルスデザインという会社を創業した背景にはありました。
トータルヘルスデザインの存在する意義は、常識にこだわることなく常識を超えていくことであると思っています。
子どもの頃、大人たちが西勝三さんの「西医学」のことを話していたのを聞きかじって、ほんの少しだけ覚えています。長じて「症状は療法である」という言葉の意味が理解できるようになりました。
病気になるといろんな症状が出てきます。風邪を引くと熱が出る、ノドや頭が痛い、お腹に来て下痢をする…、などいろんな症状に悩まされるものです。
西医学では、これは自然治癒のメカニズムすなわち療法だというのです。療法というからには、これに不自然な処置を加えてはいけないということになります。
熱が出るからこそ、体は回復していくというのです。これは「熱は悪である。早く下げて楽になろう」という私たちの科学常識とは180度食い違っているのではないでしょうか? 常識とは何なのでしょうか? 少し考えてみることにいたします。
元気になれば病気は治る
1776年、アメリカはイギリスの植民地から脱して独立しました。この年の一月にトーマス・ペインが「コモンセンス」を出版したことによって、人々の間に独立の気運が盛り上がり、精神的なバックボーンとして大きな役割を果たしたと評価されています。
“常識”という言葉はこの“コモンセンス”を日本語に翻訳してできた言葉だと伝えられています。
“コモンセンス”を直訳すると“共通の感覚”ということになります。イギリスの植民地に甘んじていたアメリカの人々が結束して立ち上がるには、人々の心に同志としての感覚がふつふつと湧いてくる必要があるように思います。新しい国をつくるために必要なのは知識そのものではなく、何のために自分たちは独立をするのか、独立してどのような国をつくるのかという“感覚”を人々が共有することだと思うのです。
“コモンセンス”を常識と訳した人は誰だか知りませんが、あまり“センス”のある人とはいえませんね。
日本では“常識”という言葉が頻繁に使われます。常識といわれるとなんだかそんな気になるものです。昔の人が下した判断を常識として固定していくわけですから、あまり常識にこだわっていると日本人は少しずつ頭の固い民族になっていくのではないでしょうか?
いま日本に必要なのは発想の転換をうながす“コモンセンス”だといってよいと思います。
トータルヘルスデザインでは「病気を治して健康になる」という常識を脱して「元気になれば病気は治る」ということが“コモンセンス”になる世の中を目指し、進化していきたいと思っています。
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株式会社トータルヘルスデザイン 会長。2008年10月に株式会社バンクシア設立。1938年生まれ。61年京都工芸繊維大学繊維化学科卒業。90年、株式会社トータルヘルスデザインを設立。「びっくり現象のなかに21世紀を切り開いていく鍵がある」という考え方をもとに、従来の思考の枠組みを超えた技術、商品を発掘。「だれもが美しく健やかに、そしていきいきわくわく生きていくことのできる暮らしづくり」を提案し、実現していくことを企業目的として、京都と東京を拠点に、《美と健康》事業を展開している。《安全、安心、エコロジー、“気”のある商品、気になる情報》を提供しつづけている。月刊『THD LIFE』や、インターネットを通して情報発信活動に取り組んでいる。
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