新時代への道しるべ
このページは、船井幸雄と同じ理念を持った、(株)トータルヘルスデザイン会長の近藤洋一氏によるコラムページです。近藤会長は、健康、環境、食料などの分野で、新しい21世紀を創り上げることを使命とした活動をされています。
アメリカ発の経済恐慌が世界を混乱の渦に巻き込んでいます。現代に生きるすべての人が、大なり小なり、その影響を受けているのですから世界も狭くなっているのですね。
一世を風靡したアメリカの自動車産業が見る影もありません。中でも多くの部品メーカーや下請企業を従えて、ビッグ3として君臨したクライスラー、GMがあえなく経営破たんしたのは「一つの時代が終わった」ことを象徴する出来事でした。
「おごる者久しからず」というのが世の習いとされてきましたが、源平時代と何も変わっていないように見えます。
覇権の行方
20世紀はアメリカが世界の覇権を握り、大躍進した世紀でした。
いくら開拓者精神が旺盛とは言え、人種問題というウミを内部に抱え、自分の国さえ、まともにまとめることができないアメリカが世界をリードするというのは、もう限界に来ていることは誰の眼にも明らかだと思います。
ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスそしてアメリカへと手渡されてきた覇権は、この後どこの国が握るのでしょうか?
覇権を確立する上での最大の因子は、経済力を背景とする軍事力だといってよいと思います。世界の歴史を振り返ってみると、経済こそが人類を突き動かす最大の原動力であったことがわかります。
歴史は繰り返すといいますが、経済力を背景とした軍事力によって覇権を握るという構図はこれからも続いていくのでしょうか?
人類の過去の経験が一つの強固な“場”をつくっていて、人類の心が“過去の経験の場”と共鳴することによって新しい現実が生まれるとするシェルドレイクの形態形成場理論どおり、世界は動いてきたように見えます。
こういう風に見てくると、次の覇権は中国が握るといってよいのかもしれません。
しかしそんなことはありえないようにも思われます。私たちは有史以来経験したことのないような大変化に見舞われているからです。このまま経済成長を続けていくと、地球は廃墟と化し、生きとし生けるものすべてが共倒れになってしまうという現実があります。
このような非常時には、人智を超えた大きな力が働くように思われます。したがって中国が覇権を握るというのはありえない話ということになります。
人類はそれでもかまわず、このまま突き進んでいくのか、新しい目覚めに入るのか、世界はいま重要な分岐点を迎えているように見えます。
しかしもっと深く見てみると、もうすでに、二つの大きな流れがあることに気づきます。
一つは、崩壊しつつある資本主義にしがみついて、滝つぼが大きな口を開いて待っているにもかかわらず、自我の欲求のおもむくままに滝つぼめがけて一目散に進んで行く生き方です。
もう一つは、『愛と調和、互恵と共生』のこころを胸に抱いてポスト資本主義への道を歩もうという生き方です。
未来との共鳴
私どもトータルヘルスデザインは「自然に学び、自然に帰る」をモットーとする会社です。真・善・美にかかわるすべての答えは自然の中にあると思っています。だからあまり難しく考える必要はなく、すべて自然に任せればよいと思っています。
21世紀の指導理念を考えるとき、「自然界には覇権は存在しない」という事実を明確に認識しておくことが必要だと思うのです。私たちは、弱肉強食が自然界の掟であるという観念を漠然と抱いているのではないでしょうか? もしそうだとすれば、この世界は虎やライオンだらけということになります。
自然界は単一の種が覇権を握ることのないように、きちんと“棲み分け”が行われているのです。
池でゆったりと泳いでいる魚の群れを見ていると、心が安らぎますね。何かの拍子に、すべての魚が、いっせいに向きを変え、何事もないかのようにすいすいと泳いでいくのを見るとびっくりします。誰がリードしているのかじっくり観察しても、リーダーがいて指揮をとっているようにも見えません。
リーダーがいなくても、というよりリーダーがいないほうがうまくいくのですね。これは“相互引き込み現象”と言われているものですが、リーダーがいなくても、全体が一つになって行動してなんの間違いもないというのは、人間社会の常識からすれば、驚異としか言いようがありません。
“覇権社会”の後にやってくる21世紀型社会を暗示しているのではないでしょうか?
リーダーがいなくても円滑に回っていく社会を築く上で大切なことは“自然の摂理に反した過去” との共鳴を断ち切ることです。万物の霊長としての人間が果たすべき役割は、「愛と調和、互恵と共生」の未来をイメージし、そのイメージすなわち“未来と共鳴”することによって素晴らしい未来を創造することと言ってよいのではないでしょうか? まずは家庭からですね。
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株式会社トータルヘルスデザイン 会長。2008年10月に株式会社バンクシア設立。1938年生まれ。61年京都工芸繊維大学繊維化学科卒業。90年、株式会社トータルヘルスデザインを設立。「びっくり現象のなかに21世紀を切り開いていく鍵がある」という考え方をもとに、従来の思考の枠組みを超えた技術、商品を発掘。「だれもが美しく健やかに、そしていきいきわくわく生きていくことのできる暮らしづくり」を提案し、実現していくことを企業目的として、京都と東京を拠点に、《美と健康》事業を展開している。《安全、安心、エコロジー、“気”のある商品、気になる情報》を提供しつづけている。月刊『THD LIFE』や、インターネットを通して情報発信活動に取り組んでいる。
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