新時代への道しるべ
このページは、船井幸雄と同じ理念を持った、(株)トータルヘルスデザイン会長の近藤洋一氏によるコラムページです。近藤会長は、健康、環境、食料などの分野で、新しい21世紀を創り上げることを使命とした活動をされています。
9月19日の昼過ぎ、高山市の乗鞍スカイラインの駐車場で、観光客など男女9人が山から下りてきたツキノワグマに次々と襲われるという痛ましい事件が発生したと報道されています。
まだ記憶に新しいのではないでしょうか?
目撃証言によりますと……クマは山の中腹から転げ落ちるようにして、石の階段に降りてきて、ちょうど山に登ろうとしていた男性に襲いかかりました。
クマは男性を駐車場に押し倒し、顔や体を何度もはたきました。男性を助けようとした人々が次々襲われ、さらにクマは逃げた人たちを追って、駐車場内の小屋に入っていきました。
その後、ターミナルビルに向かって突進、約50センチのシャッターのすき間から、中にもぐりこみ、次々に人々を襲った……という事件でした。
あの世とこの世のハザマで
この事件は、クマを人に置き換えてもそのまま記事になるような奇妙な事件でした。「誰でもいいから襲いたかった」と、犯人がもらしたと伝えられる秋葉原事件と酷似しているのではないでしょうか?
専門家は、「クマは元来、大変臆病な動物で、人を避けて生活している。自分から人を襲うなどということはないといってよい」とコメントしています。
しかし新聞報道から推論する限り、クマが恐怖にかられて、あるいはびっくりして、突発的に人に襲いかかったとは考えにくいのではないでしょうか?
人間も含めて、この世のあらゆる存在は、うまく生きていくために必要な固有の能力、智恵を与えられています。別の見方をすると、すべての生物は、何らかの制約のもとに生きていかねばならない宿命を負って生かされているとも言えるわけです。すべての生物は、その制約に対して文句の一つも言うことなく、自らの宿命をよりどころとして、実にうまく全体と調和を取りながら、たくましく生き抜いています(人間だけはうまくいっていないようですが…)。
しかし今回の事件は、クマが自らに与えられた宿命を逸脱してしまったことによって起こったといってよいと思います。
このクマには、「人を襲うのだ」という明確な意思を感じるのではないでしょうか?
事件の起こった日時と場所にも何らかの意思を感じてしまいます。
今年は9月23日の彼岸の中日をはさんで、9月20から26日までの7日間が「お彼岸」でした。このクマは彼岸の入りを目の前にして、人を襲ったのです。
このタイミングは何か気になります。
そこでお彼岸とは何なのか、「チャレンジPPK」(※)の杉浦清始和尚に聞いてみました。
彼岸とは梵語の波羅蜜多(はらみった)すなわち「到彼岸」の略だそうです。彼岸というのは、三途の川をはさんで、かの岸すなわち向こう岸を指しています。一方、川のこちら側は私たちの住んでいる、さまざまな煩悩の渦まく此岸(しがん)です。
此岸で煩悩に悩み苦しんでいる私たちも三途の川を渡ると、そこは光り輝く涅槃(ねはん)すなわち極楽だというのです。
お彼岸というのは、仏様のおられる極楽浄土を衆生(しゅじょう=心をもつすべての存在)に正しく示し、みんなを往生(おうじょう)に導こうとする仏事で、日本では紀元800年頃から続いているのだそうです。
クマはこの記念すべき行事の日の直前を狙い撃ちにしたのです。もっと別の表現をすると、わざわざお彼岸を選んで、クマは神がかったとも言えるわけです。
日本人は古来、自然界のあらゆるものに魂が宿ると信じていて、岩や樹木を神霊が乗り移る依代(よりしろ)として祭ってきました。岩や樹木だけではなく、動物も神の使いと考えられていたようです。
何となくうさんくさいキツネも、稲荷神の眷属(けんぞく)におさまっています。
クマに至っては世界各地で、神の使いとしてあがめられています。わが日本でも、神の国から使わされたクマの魂を神の国へ送り返すアイヌの儀式「カムイ・イヨマンテ」はよく知られています。
人間が畏敬の念をもって接してきた動物・クマが、神の国・彼岸へ到る祈念の日を前に現れ、人を襲ったのには、何か意味があると考えたほうがよいと思うのです。
場所が位山という霊山を擁する高山市というのも少し気になるところです。日本三大霊山として名高い富士山、立山、白山を結ぶ三角形の中に位置し、開発から守られてきた地域だからです。
生きとし生けるものすべての共有財産としての自然環境を徹底的に破壊し、多くの生き物の居場所を奪った人間に鉄槌を下してやろう、人間なら誰でも良いのだというのがクマの残したメッセージなのかもしれません。
近世になって人類が発散したカルマ(思考、行為)は、はかり知れないくらい大きなエネルギーとして蓄積されているように思います。その一方で、そうした黒雲を吹き飛ばすかのように、高い振動数をもつ光が宇宙から放射され、すべてが進化しているようにも思えます。クマも人も地球も宇宙もいっせいに進化していく、そのアセンションの過程で起こった事件と言えるのかもしれません。
※チャレンジPPK:「PPK」はピンピンコロリの略。ピンピン元気に生きて、人生のゴールをコロリと迎えようと挑戦する、近藤会長がつくった会。
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株式会社トータルヘルスデザイン 会長。2008年10月に株式会社バンクシア設立。1938年生まれ。61年京都工芸繊維大学繊維化学科卒業。90年、株式会社トータルヘルスデザインを設立。「びっくり現象のなかに21世紀を切り開いていく鍵がある」という考え方をもとに、従来の思考の枠組みを超えた技術、商品を発掘。「だれもが美しく健やかに、そしていきいきわくわく生きていくことのできる暮らしづくり」を提案し、実現していくことを企業目的として、京都と東京を拠点に、《美と健康》事業を展開している。《安全、安心、エコロジー、“気”のある商品、気になる情報》を提供しつづけている。月刊『THD LIFE』や、インターネットを通して情報発信活動に取り組んでいる。
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