“本物主義”時代の幸せな生き方

このページは、(株)本物研究所と(株)船井メディア 社長の佐野浩一によるコラムページです。
佐野浩一の義理の父でもある舩井幸雄は、1980年代のバブルの真っただ中の頃からすでに、「競争主体で矛盾のありすぎる資本主義はもうもたない」、そして「資本主義にとってかわるのは『本物主義』ではないか」と考えており、2003年に(株)本物研究所をつくりました。
その(株)本物研究所の設立当初から社長として、佐野は常に、“本物”や、人々の“本当の幸せ”について真剣に考えてきました。
そんな佐野が、いよいよ間近に迫ってきたと思われる「本物主義」時代に向け、私たちはどう生きていけばいいのか、また「幸せに生きる」とはどういうことだろう? ということを先駆けて模索し、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

2016.04.01(第26回)
経験に与える意味

 すべての事象には「原因」と「結果」があって、「原因」が「結果」の前提になると教わってきました。そして、どんなことも必ず「そうだ」と思い込んできました。
 たとえば、何か問題が起きたとき、決まって「原因」を追究します。その「原因」を解決してはじめて、これから起きようとする「結果」を変えることができる、つまり改善が可能になるという考え方です。
 でも、この考え方は果たして本当に正しいのだろうか?
 もしかしたら、幻想なのではないか?
 そう問いかけるのが、心理学者のアルフレッド・アドラーです。『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著、2013年ダイヤモンド社刊)が大ベストセラーとなったことで、「アドラー心理学」は一気に注目を浴びることになりました。

 アドラーは、こう言います。
 私たちの「経験」は、等しくそのあとの「結果」(=その後の人生)を左右するかといえば、実はそうではない……。
 確かに、共感できます。
 同じような経験をした人が、その後等しく、同じような人生を送るかといえば、必ずしもそうではありません。ですから、「経験」そのものは、その後の人生を決して決定づけるものではない……。
 ここで、少し、アドラーに触れておきたいと思います。
 アルフレッド・アドラーは、1870年生まれ、オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家です。ジークムント・フロイトおよびカール・グスタフ・ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した一人。現代心理学の三大巨頭と称されます。
 『嫌われる勇気』は、そのアドラーの考え方をわかりやすく記したストーリー仕立ての書物。いろいろ気になるフレーズがあって、いくつもの「あたりまえ」が崩されていく様は、まるで手品のようです。
 アドラー心理学では、いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。自分の経験によって決定されるのではなく、「経験に与える意味」によって決定されるのだとしています。
 繰り返しになりますが、確かに、同じような体験、経験をした人が皆同じような人生を歩むかといえば、決してそうではありません。
 ですから、過去の経験に「どのような意味を与えるか」によって自らの生を決定しているとする、アドラーの教えには思わず唸ってしまいます。
 人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのだ……。問題は、何があったか? ではなく、どう解釈したか? である……。
 アドラーはこう言い切るのです。
 その解釈こそが、人生をバラ色にするか、灰色にするかの分水嶺なんですね。
 さらに、大切なのは「なにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかだ」と言われると、人生を前向きに生きるための極意としか言いようがありませんね……!
 経験にどのような意味を与えるか? これをベースに生きることこそ、まさに自身の人生を生き切ることなのかなって思います。
 故・舩井幸雄は、「必然、必要、ベスト」と伝えてきましたが、この解釈は、「世の中に起きること、自分自身に起きることは、すべて必然で必要。だから、“ベスト”にしなければならない」というのが正しい理解だと、舩井から直接聴いたことがあります。
 そうなんです。
 より正しい選択をしよう!
 そして、これまでの経験に、できるかぎり、ベストな意味づけをして生きていきたいですね。過去にとらわれて生きる自分、未来も現在も、すべて過去の上に成り立つと考えられてきた時代からの脱皮は、もう19世紀から伝えられていたということです。
 新しい時代の、軸となる姿勢だと、私は強く思うのです。

感謝



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Profile:佐野 浩一(さの こういち)
佐野 浩一(さの こういち)

1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。

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