“本物主義”時代の幸せな生き方

このページは、(株)本物研究所と(株)船井メディア 社長の佐野浩一によるコラムページです。
佐野浩一の義理の父でもある舩井幸雄は、1980年代のバブルの真っただ中の頃からすでに、「競争主体で矛盾のありすぎる資本主義はもうもたない」、そして「資本主義にとってかわるのは『本物主義』ではないか」と考えており、2003年に(株)本物研究所をつくりました。
その(株)本物研究所の設立当初から社長として、佐野は常に、“本物”や、人々の“本当の幸せ”について真剣に考えてきました。
そんな佐野が、いよいよ間近に迫ってきたと思われる「本物主義」時代に向け、私たちはどう生きていけばいいのか、また「幸せに生きる」とはどういうことだろう? ということを先駆けて模索し、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

2016.07.01(第29回)
舩井幸雄がもっとも伝えたかったこと

 舩井幸雄は、数多くの名言や法則を残してきました。
 「素直・勉強好き・プラス発想」にはじまり、「包み込み」「必然・必要・ベスト」「長所伸展法」「即時処理」……、さらには「百匹目の猿現象」などなど。
 とにかく、たくさんあって、一つひとつを実践して、クセづけしていくのも大変なのですが、これらのもっとも上位にあり、すべての名言や法則の基盤となる思想的なものは何かと考えると、ズバリ、「世のため、人のため」ではないかと思うのです。
 企業も、人も、「世のため、人のため」。
 これこそが、明るい未来の創造につながると、生涯、舩井は伝え続けたのです。

 そして、舩井幸雄が亡くなってから、もう2年半が過ぎました。

 「世のため、人のため」の思想、行動は、間違いなく、多くの人を幸せにします。そんな確信を持ちつつ、このたび、舩井が晩年を過ごした自宅をほぼそのままに、リビング、書斎などを中心に、書籍、映像、生原稿や秘蔵写真などをご覧いただけるように整えました。
 名称は、「舩井幸雄記念館 桐の家」とし、7月2日(土)にオープンいたしました。
 私、佐野浩一が館長を務めさせていただくことになりました。一人でも多くの方に、舩井幸雄の思想、哲学、経営論などに触れていただき、「世のため、人のため」のあり方を感じ取っていただけたらと願っています。

 当館は、「一般財団法人舩井幸雄記念館」が運営母体となっています。今回は、その設立と運営の背景について、少しばかりお伝えしたいと思います。

 『99.9%成功する経営のコツ』(2000年8月、ビジネス社刊)に、舩井幸雄の考え方がもっともよくわかる一節があります。

「企業はすなわち人なり」
 収益性、教育性、社会性のどれをとっても、これらをいちばん効率的にやれるのはいまのところ企業です。ここまでは、誰にも異論はないと思います。それに加えて、これは社会性、教育性、収益性の順番である、というのが私の考え方でした。こちらのほうについては、反論も少なくないような気がします。
 「儲からなくては社会性も教育性も何もないではないか」。そしておそらくは、「綺麗ごとを言うな!」とも。
 それはそのとおりです。
 しかし、収益性のみを追求して他を顧みない企業が、伸びて伸びて大企業になったり、さらに安定して存続している例はほとんどない、という私の観測も否定できないと思います。もちろん運が良ければ、収益性のみを考えてやっていてもある程度までは伸びていくことはあるでしょう。ところが、それではいつか必ず限界が来ます。
 最初は収益性一本やりでいったとしても、どこかで脱皮して社会性や教育性に目を向けていかないと、結局は行き詰ってしまうのが企業というもののようです。
 もう一つの、綺麗ごとを言うな、というのも確かにそのようにも見えます。綺麗ごとというのは、理想論と言い換えてもいいでしょう。私は、「企業は利益ばかりを追求するのではなく、世のため人のためにならなくてはいけない」と言っているのですから、これはまさに理想論です。しかし、その理想論を本気で唱えているのは、40年間ずっとビジネスの現場でやってきた人間であるからです。
 追って書きますが、私も利益最優先で突っ走っていた時期がありました。それがいま、40年たって結局はこの“理想論”に戻ってきたのです。
 釣りの世界では、「鮒釣りに始まり、鮒釣りに帰る」というそうですが、それとよく似ています。初心者の鮒釣りと、釣り歴40年のベテラン釣り師の鮒釣りとは、一見して同じように見えても、自ずと違っているもののはずです。先に書いた「コツの本質」を理解しているか否か、という話とも相通ずるところがあるのです。
 その上で言いますが、やはり、企業というのは社会性と教育性を抜きにしては考えられないと思うのです。収益性のみを言いたくて社会性と教育性を抜きにする経営学者がたくさんいますが、それは正しくないと思います。
 その理由を一つあげれば、人間というのは大義名分なしには、大きなことはほとんどできない存在だと思うからです。大義名分、つまり収益性だけでなく社会性や教育性を追求するという目的があれば、経営者も社員もより働く気になって働けるのです。人間は大義名分を持って自分の行為を正当化しないと上手に生きていけないようです。そして、企業活動といっても、しょせんは人間がやることですから、これは自明の理だと思えます。
 そう、企業活動をしているのは、他の何者でもなく人間なのです。


 驚くべきところは、「経営の神様」と異名をとった舩井幸雄が、行き着くところ、「人としてどう生きるか?」という“理想”を追いかけていたということです。
 結局は、人のやることだから、人を大事にし、人を育て、ともに成長していくことが、企業経営でもっとも大事なこと……。そうして、世の中に貢献し、各自がそれぞれ幸せになりつつ、良い世の中をつくって、経営体を維持、発展させる経営法が原理原則にのっとった正しい経営法だと、舩井は言います。
 まさに、「人中心の経営法」です。

 “人”を中心として組織と仕事を展開し、長所伸展で業績向上を目指すこと。どこまでいってもやはりポイントは“人”であり、そこで働く社員一人ひとりのモチベーションを高めるリーダーシップを大切にしていくこと。人間性を高めた優秀なトップが、組織成員の個々人に対して、@勉強好き、A素直、Bプラス発想をするように導き、C好きなことやツイていること、得意なことをやってもらい、D結局、個々人が自由に活き活きワクワク楽しく生きることにより、組織体全体を活性化させ、業績を急上昇させることができる……。そして、各人、各企業の良い特性を活かし、伸ばし、自分のためだけではなく、世のため、人のためになることを行なうように心がけていく。
 これこそが、「舩井流」です。
 さらに、舩井は、次のように言います。
 「自分だけ、今だけ、お金だけ」はいけない。
 「他人も、未来も、お金じゃない価値も」大事にしてはじめて、世のため、人のために経営したり、行動したりできるということです。このように、舩井は、常に、「経営のあり方」と「人としてのあり方」を一体化していました。つまるところ、人間性を高めて、周囲に貢献することこそもっとも大事なことだと考えていたのです。
 今回の財団と記念館の設立趣旨は、まさに舩井のこのような考え方を土台にしています。
 これからの時代こそ、「世のため、人のため」に生き、行動することが求められると確信します。「舩井幸雄記念館 桐の家」から、そんなメッセージを発信し続けられたらと願っています。

感謝



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Profile:佐野 浩一(さの こういち)
佐野 浩一(さの こういち)

1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。 2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。 講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。

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