“超プロ”K氏の金融講座
このページは、船井幸雄が当サイトの『船井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介している経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。
世界中で 再び資本市場が混乱してきました。欧米 アジア共に 株が急激に下がってきています。 落ち着きを取り戻したかにみえたユーロの相場も対円では安値更新 ついに107円台に突入 2年前の170円は嘘のようです。なにやら世界中のマーケットは きな臭くなってきました。 そんな中、金(ゴールド)相場だけは 新値街道ばく進中!!この真の背景は何でしょう?
いま、上がっているのは金(ゴールド)相場のみ
日本国内からの金(ゴールド)の流出が止まりません。かつて金(ゴールド)の保有はその国の国力を映すものと言われてきましたが、現在の日本は国力の低下を映すかのように毎年、毎年、金(ゴールド)の流出が続いているのです。そしてその総額は増える一方で、今年はついに史上最高ペースの流出となってきているのです。本来であれば、世界各国、中央銀行が紙幣を刷りまくっているわけですから当然、日本のような個人の金融資産が大量にある国においては、国民がヘッジ手段として金(ゴールド)購入に走っていくというのは自然の流れのように思いますが、日本のケースは全く逆、多くの人々は「高くなったから売ってしまえ!」とばかりに連日、金(ゴールド)の売却に動いてきているのです。これらの金(ゴールド)は、新興著しい中国とはじめとするアジア各国の人々に買われているのです。
日本はかつては金(ゴールド)は長年に渡って流入してきていたのです。まさにバブル景気の出発点であった1986年などは602トンの流入になるなど勢いがありました。そして金融資産の多い日本ですから、その後も流入は止まらなかったわけです。当然でしょう。資産運用の一環ですし、宝飾品も含めて需要があったわけです。
ところが、金(ゴールド)の相場が勢いをつけて上昇してきた2005年から状況は一変、毎年金(ゴールド)の流出が目立つようになり、ついに今年は日本としては最大の流出となりそうなのです。
「金(ゴールド)は豊かな国に流れていく」と言いますが、まさに国力の衰えを見せる日本からの金(ゴールド)流出は止まらないのでしょうか? 金(ゴールド)を売却している各々個人からすれば、単に高くなったから売ることにした、ということにしか過ぎないでしょうが、これは近い将来の日本を想像した場合に、禍根(かこん)を残すことになっていくことでしょう。
「なぜ、金(ゴールド)が上がり続けるのか?」ということの本質が、一般的には理解不足というべきで、将来の危機感が薄いというしかありません。相場を見ている人ならわかっているでしょうが、21世紀に入ってから、上がり続けているのは金(ゴールド)をはじめとする商品しかないのです。たとえば2000年初頭、株などは日経平均はITバブルで2万円だったのです。今は半値以下です。不動産価格は上がりましたか? 給料は上がりましたか? 物価は上がりましたか? よく考えればわかりますが、どれもこれも、こと日本では上がっていないはずです。だからデフレなのです。日本では歴史上かつてないほどの長さでデフレが続き、この苦境から抜け出せないのです。いかに物価を上げるか? ということが政府や日銀の命題でもあるのです。
上昇し続ける金(ゴールド)相場のあらわす意味とは?
しかしおかしくありませんか? そのデフレの中にあって、もっともインフレに敏感と言われている金(ゴールド)が上がり続けているではありませんか? 一体なぜでしょうか?
もう1999年後半の安値1トロイオンス250ドルから見ると、5倍の1,250ドルを超えてきているのです。売る投資家の気持ちもわかりますよね。上がっている物がない時代の中で、一つ気を吐いている金(ゴールド)も安値の5倍にもなれば、もういいところ、いったん現金化しておこうと考えるのが普通でしょう。そして日本人の多くの金(ゴールド)保有者はそのように考えて金(ゴールド)売却をしたのでしょう。
毎日、相場を見ていて値動きを追いかけていれば、上がるのも下がるのも、それは一つの変化に過ぎないのですが、このように10年スパンで他の値段との推移を比べてみると、金(ゴールド)の相場の異常性がわかります。
これはもう構造的に水面下で何かが起こっているのだ! ということを感性として感じるべきでしょう。値段が常に動いている相場というのはある時は上がったり、下がったりするものですが、金(ゴールド)は10年に渡って上昇を続けているのです。この10年の間、下がった年はないのです、そんなことは今までなかったことです。何かがおかしい? 変わってきているということを感じなければいけないのです。
そしてそれは、私も何度も指摘していますが、我々の今のシステムの根幹となっている印刷されている紙幣への信頼が、世界中で音を立てて崩れていく絶対的な流れが存在している中での一コマだということです。金(ゴールド)が上がっているのは、今の資本主義システムが崩壊に至る流れをそのまま映し出しているだけであって、この流れは止まらないのです。加速していく手前なのです。
これも何度も指摘してきましたが、日本の1,000兆円という国家債務をわずか37兆円の税収しかない国で返せると思いますか? たとえ消費税を20%にして、税収を30兆円引き上げたとしても返せると思いますか? 金利が5%になれば金利だけで50兆円ですよ! しかも消費税を上げれば間違いなく一気に景気が冷えるのは歴史が証明済みです。
ギリシアのことも話題ですが、ギリシアも公務員の給料を3割下げて緊縮財政をしても借金は減らないのですよ。あれだけデモが起こってどうにもならないような緊縮政策を国民に押し付けて、それを成し遂げても借金は増えるのです。とてもではないが、返せるわけはないでしょう。
実は、楽観的なマスコミの見方とは違って真実を映しているのが金(ゴールド)の相場なのです。
G8、G20国際会議はここにきて頻繁に開かれて協調を演出しています。欧州ではもう財政出動は限界、溜まり溜まった国家債務を各国が削減するために緊縮財政に転換する必要がある、と財政削減の目標を決めて実行に移そうとしているように見えます。
ところがスペインなどは失業率20%、若者だけで見ると40%ですよ。こんな経済状況なのに、景気の引き締め政策をするのですか? そんなケースで成功した歴史はありません。
そしてこれらの国は財政破綻した場合には、ちゃんとセーフティーネットをユーロ圏として用意しました。90兆円の基金をユーロ圏全体として用意したわけです。
しかしこの90兆円というお金はどこから出てくるのでしょうか? どこにもないですよ! ユーロ圏各国はどこも財政赤字が膨大だから緊縮政策を行うわけです。どこにあるというのでしょう、90兆円というお金が? 全部空手形なのです。
ギリシアが行き詰まったら保証する、スペインが行き詰ったら面倒を見る、どの国も資金はないのですが、「保証する」と言っているのです。そして今の流れからすると2、3年以内に本当に保証するしかないところに追い込まれていくでしょう。だから最後には紙幣を印刷するしかないのです。
要するに今のシステムはネズミ講の末期と思えばいいのです。実体経済に対して金融が肥大化しすぎて、この収拾をつけるのは不可能、何しろ実体経済は5,000兆円、金融の方はその4倍の2京円です。かつては1対1だったのです。それだけでは止まらず、プラス、デリバティブの6京円という実体経済の12倍のお化けがまだ水面下に潜んでいます。これも全く減っていません。
なぜ、金融が実体経済の4倍になったと思いますか? なぜ、デリバティブの総額が実体経済の12倍まで膨らんだと思いますか?
答えは、“ネズミ講”なのです! どんどん大きくしていかないと続かなくなっていたのです。膨らませるしかないのですよ。金融はそのもの事態が肥大化して自己増殖するしかなかったのです。
どこの経済学者がこのデリバティブの末路を説明してくれるというのでしょうか? やったこともなく、見たこともないものを。実体経済の5,000兆円が今後の世界を決めるのですか? それともその12倍のデリバティブの隠れた真実ですか? 6京円のデリバティブに関して、素人の経済学者は世界経済の行く末がわかるのですか?
ここ10年で金融危機の規模は100倍へ
1997年、LTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネージメント)が破綻して、これを救うためにFRB(米連邦準備制度理事会)は米国大手金融機関に300億円ずつ拠出して、計3,600億円を集めて、この問題を収めました。また同じく1997年、アジア危機から当時の韓国が国家破綻の危機に陥って、IMF(国際通貨基金)は1兆円緊急融資したのです。当時の1兆円は膨大な額だったのです。
それから13年経ち、どうですか? みなさんの貨幣の感覚は変わりましたか? 給料は上がりましたか? 物価は? ほとんど日本では変わりませんよね。
ところが世界における貨幣感覚は数倍ところか100倍に変化したのです。今回のユーロ圏の支援金額を見てください。90兆円ですよ。ほぼ100兆円です。また2008年の米国政府の金融支援も70兆円だったのです。およそ桁が13年前と二つ変わったのです。13年で100倍です。
一体、世界はどこまで資金があるというのでしょうか? 一体、どこまで中央銀行は紙幣を刷ることができるのでしょうか? 限界点はどこでしょう?
でもわかりますね。もうネズミ講が最終局面に来ようとしているのです。
民間の危機は、政府に移し替えられて、ソブリン・リスク(=国家破綻の危機)に変容しました。そして今度はソブリン(国家)を救うため、中央銀行が頑張って紙幣を刷りまくっているのです。今起こっている、そしてこれからも加速して行われることです。
中央銀行以上大きなスポンサーはいません。世界中で行われているネズミ講のゲームも、もう終わりが近いのです。金(ゴールド)という温度計が、実はしっかりと我々にドラマの展開を教えてくれているのです。
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(※朝倉慶氏は、(株)船井メディア企画の『朝倉慶の21世紀塾』でも詳しい経済レポートやCD情報、セミナーを開催、お届けしています。よろしければご活用ください。)

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★『大恐慌入門』
(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』
(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』
(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月に発売された、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』
(ビジネス社刊)が好評発売中。さらに2010年2月『裏読み日本経済』
(徳間書店刊)から発売。
★『朝倉 慶の21世紀塾』を2009年2月より開始
朝倉氏の最新情報を【A】レポート、【B】CDマガジン、【C】セミナーから
詳しくはコチラ→http://www.funaimedia.com/asakura/index.html
経済アナリスト。
船井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を船井幸雄にレポートで送り続けてきた。
実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。
著書『大恐慌入門』
2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』
(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』
(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に船井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』
(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』
(徳間書店刊)を発売。