若き経営者の奮闘録

13年間の教師生活から一変して入ったビジネス界。義父・船井幸雄からさまざまな教えを受けながら、日々学び、成長していく(株)本物研究所社長・佐野浩一の経営者としての奮闘録をお届けします。

2007.07
よく見る、よく聴く 
 教員時代のある日、カウンセリングの宿泊研修の案内が回覧されてきました。「自分に足りないことが学べる……」、その直感を信じ、すぐさま参加を決めました。受講後、しばらくして実感したのは、生徒たちとの関係づくりと自分自身のスタンスがダイナミックに変化していったことでした。カウンセリングの基本は、「受容」と「共感」。そのために、「よく見る」「よく聴く」力が要求されます。近年、効果的な指導法として脚光を浴びるコーチングも、基本は同じ。結局のところ、“人間”に温かい興味、関心を持とうとすることが基本条件なのです。
 そもそも指示、命令だけでは、人は動いてくれません。対象が子どもであろうと、大人であろうと同じです。ベースになるのは、すべて「人間関係」。教員時代を含め、たくさんぶつかり、たくさん悩み、一つずつ乗り越え、達した“発展途上の結論”です。
 同じ人の行動を見ても、見る側の心のあり方で、見え方は異なります。同じ人の言葉を聴いても、聴く側の心のあり方で、聴こえ方は変わります。マイナスの思いや否定的な感情ではなく、受け入れよう、認めよう、大事にしよう、できれば何かを学ぼう……という気持ちを常に持っていたいですね。それもまた、互いの力を引き出す大きな源泉です。さらには、互いを「よく見て」、互いの言葉を「よく聴く」環境のなかでこそ、指示、命令、叱咤激励も活きるのだと思います。
 とはいえ、まだまだ感情が先走ったり、伝えたいことが伝わらなくてイライラしてしまうこともあり、そのつど反省……。船井会長を、北島三郎さんの「山」という楽曲になぞらえた人がいますが、やっぱり経営者は「でん」と腹のすわった安定感が必要ですね。船井会長は「よく見る」「よく聴く」の師匠です。奮闘の日々は続きます。
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Profile:佐野浩一

1964年大阪生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、13年間中高一貫教育校の英語教員として従事。2001年4月、(株)船井事務所に入社。2003年4月、船井幸雄グループ・(株)本物研究所を設立し、代表取締役社長に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓蒙、普及活動を行なっている。

ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる2005年10月に『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる
(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)を出版。




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