若き経営者の奮闘録
13年間の教師生活から一変して入ったビジネス界。義父・船井幸雄からさまざまな教えを受けながら、日々学び、成長していく(株)本物研究所社長・佐野浩一の経営者としての奮闘録をお届けします。
進むべきか、止まるべきか?
Aとするべきか、Bとするべきか?
そもそも迷うこと自体が、それをやってはいけないということのサインであるとも考えられます。しかし、やむをえずどちらかに決めなければならないこともあるわけです。
先日、あるプロジェクトの進行について、ひとつの決断をしました。ところが、それを進めていく中で、ある感触がつきまといました。それは、「どうもスムーズに事が運ばない」という非常に感覚的なものでした。結果として、その決断をいったん白紙に戻すことにしました。
私はどちらかといえばこだわりのある方で、何かをスタートさせる日取りは基本的に「大安吉日」と決めています。ところが、どうしても大安でない日をスタート日に設定せざるをえなかったのです。それを決めたときはあまり深く思わなかったのですが、結局その案件は、ある別の理由で少し先送りすることにしたわけです。自分のこだわりが教えてくれたとも考えられます。おもしろいものです。何か、そのときに始めてはいけない原因があったのかもしれません。
このように、案外いろんなところに、意思決定に対する答え合わせの材料が用意されているんだと、あらためて思いました。場合によっては、良心の呵責であったり、気持の重さ、軽さであったり、体調の変化であったり……、自分の心や体が答えを教えてくれることもあるようです。
こうしたささやかなる体験の積み重ねから、私は次のように自分なりの決めごとをつくってみました。
@(こだわりはなくすにこしたことはありませんが、)自分のこだわりが障壁になるときは、いったん立ち止まってみる。
A気分が晴れない意思決定はしない。
B体調に変化が生じたら、それがプラスかマイナスかを判断する。マイナスならいったん立ち止まる。
そして、最後にもうひとつ、私がもっとも大事にしていることを付け加えます。
Cできるかぎり多くの人が幸せになると考えられることは速やかに決断し、実行する。
これからもっといろんな経験を積み、バージョンアップさせていきたいと思います。そのときは、またお付き合いください。
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1964年大阪生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、13年間中高一貫教育校の英語教員として従事。2001年4月、(株)船井事務所に入社。2003年4月、船井幸雄グループ・(株)本物研究所を設立し、代表取締役社長に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓蒙、普及活動を行なっている。
2005年10月に『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』
(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)を出版。