若き経営者の奮闘録
13年間の教師生活から一変して入ったビジネス界。義父・船井幸雄からさまざまな教えを受けながら、日々学び、成長していく(株)本物研究所社長・佐野浩一の経営者としての奮闘録をお届けします。
船井会長は、いつもそうおっしゃいます。経営者の生き方、考え方が、企業の存続や成長そのものを左右する。これは事実だと思います。そして、いまの私が思うに、社長自身が成長を止めた瞬間から、その企業の衰退は始まってしまう……。自らの首を絞めるような言葉ですが、日々、自身の成長との格闘があるからこそ、業績はつくられ、社員も会社も成長を続けていると思わざるをえません。
松井證券の松井社長は、「会社の中でもっとも大きなコストは、社長の頭の中身である」と断言されました。これもまた、私の中に日々、一瞬一瞬、綿々と流れている言葉でもあります。
企業は経営者の理念、志向をもとに、社員の協調と協力を経て、つくられていきます。社長の考えは重要です。「こうしたい」「こうでありたい」と、山ほど頭の中に浮かび、伝えたい衝動にかられます。伝えることは大事です。しかし、一所懸命に伝えても、なかなか伝わらないこともあります。それは、伝え方が悪いからです。船井総研時代に、伝えれば伝えるほど、スタッフの方々が引いていかれる様子を目の当たりにしたことがありました。私自身も、「伝わっていないだろうな」という感触に、何度落胆したことかわかりません。明確な答えはまだ用意できませんが、要するに「伝え方が間違っている」のだろうと思います。伝えなければわかってもらえないし、伝えてもわかってもらえない。とても悩ましいところです。
建前と本音。
いまのところ、唯一探し当てた答えがここにあります。
「できる限り本音で語ろう」
建前では人は動きません。社長の考えもまた、本音で語られなければ、結果として時間のムダになってしまいます。社長自らがそうした非効率を産むわけにはいきません。伝えなければ、伝わらない。だから、これからも伝え続けていこうと思います。
ズバリ、本音で……。
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1964年大阪生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、13年間中高一貫教育校の英語教員として従事。2001年4月、(株)船井事務所に入社。2003年4月、船井幸雄グループ・(株)本物研究所を設立し、代表取締役社長に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓蒙、普及活動を行なっている。
2005年10月に『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』
(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)を出版。