若き経営者の奮闘録
13年間の教師生活から一変して入ったビジネス界。義父・船井幸雄からさまざまな教えを受けながら、日々学び、成長していく(株)本物研究所社長・佐野浩一の経営者としての奮闘録をお届けします。
これは、いわゆるコミュニケーションといわれるものの定義です。これが、なかなか悩ましいものなんですね……。
船井会長は、年間200回を超えるご講演。しかも、連日多数のお客様に対する経営のご指導やご相談に対する回答。お相手は、ほとんどが経営者の方々ですから、結果的に「伝わらなかった」ではいけないわけです。経験のなせる業であることはいうまでもありませんが、やはりこれは本質的に持ち備えておられる力そのものであるとも思います。
私は、自分の特性から想像するに、おそらく何かを「伝える」「伝え続ける」ことが自身の"役割"ではないかと考えるようになりました。しかし、この「伝える」という行為はどれだけ難しいことか……。つくづく痛感します。往々にして、「伝える」側は、とにかく伝えさえすれば、「伝わった」と錯覚してしまうことが少なくありません。私も同様です。しかし、実際は伝わっていないこともあって、反省することもしばしば。
「伝わること」の本質は、「(伝わった結果)行動が変わる」ことを意味します。よって、「変わらない」ということは「伝わっていない」「分かっていない」ということなんですね。
「どう伝えれば、分かってもらえるのだろうか……?」
これは、教員時代にも同様に経験した課題でした。いま書きながら、そのときの私の答えを思い出しました。
「伝えてもわかってもらえない可能性があるなら、いっそ多くを伝えず、自分たちで考えてもらえばいいんだ。」
こう考えるようになってからは、学級経営も授業も確かに変わりました。すると、生徒たちも次第に変わってくれたことを記憶しています。
「自分が変われば、周囲が変わる」
これは、ネットワーク地球村代表の高木善之先生の言葉ですが、まさにそのとおりだと思います。
「伝え続けること」は前回お約束したとおりですが、これからは「伝え方を変えること」「自分から変わること」をテーマに、経営者業を全うしていきたいと考えています。。
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1964年大阪生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、13年間中高一貫教育校の英語教員として従事。2001年4月、(株)船井事務所に入社。2003年4月、船井幸雄グループ・(株)本物研究所を設立し、代表取締役社長に就任。商品の「本物」、技術の「本物」、生き方、人づくりの「本物」を研究、開発し、広く啓蒙、普及活動を行なっている。
2005年10月に『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』
(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)を出版。