“超プロ”K氏の金融講座
このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。
「会いたいのですがコロナ禍で相手が会うのを嫌がってしまって」「何処も閉まっていて飲み会はできない、映画館なども休場でデートはできない、大勢の人が集まる場所は閉鎖中でデートする場所もない」「交際相手を見つける出会いの場が完全になくなってしまった」「せっかくいい人と知り合ったのですが、お互いのコミュニケーションが取れず関係が全く深まらないのです」
今、恋愛事情が全国的に危機的なこととなっているようです。なにしろ新しい恋が生まれてこないのです。男女の出会いも場もないのです。そしてたとえある男女が出会ったとしても、お互いの関係を発展させるためのデートの場所もほとんど閉まっています。お互いの本音が言える場となるお酒すら飲める機会もありません。さらにせっかく知り合ったにしても、コロナの感染が怖くて、頻繁に会いたいと思えなくなるようです。片方がデートしたいと思っていても、知り合ったばかりですと、相手のことがわかりませんし、根ほり葉ほり相手の行動を聞くわけにもいきません。結局、感染予防のためには、会わないのが一番です。そもそも感染を恐れながら話していても、相手のことを好きになるような気持ちにはなれないかもしれません。
かくいうわけで、現在、日本では全国的な傾向として、<恋愛がストップ>している状態のようです。ストップどころか、今まで付き合っていたカップルもお互いのコロナ感染を警戒するあまり、自然に疎遠になっていき、今までの関係が壊れ、カップル解消となるケースが相次いでいるようです。こうして日本全体、恋愛不毛の地になっていくようです。
●喜べない日本の未来像
日経ビジネスによると、国立社会保障・人口問題研究所が2015年、交際相手を持つ18-34歳の未婚者を対象に実施した調査によると、出会いのきっかけの一番目は学校で約25%、二番目は職場や仕事で約20%、そして次は友人などの紹介で同じく約20%となっています。となると現在、コロナ禍の関係で職場ではテレワークが全盛、仕事で出会うケースが激減しています。さらに学校などもオンライン授業となっていますので、これも出会いの場となりません。友人や親戚などもコロナのことを考えると現在の状況では誰かを紹介するということも行いづらいでしょうし、そもそも初めての者同士を会わせるにしても、その場所の選定が難しいという問題があります。かくして男女の新しい出会いの場は一気に閉ざされてしまったようです。
大学ではサークル活動も停滞、ゼミの研究もネット経由が主流となってしまったようです。教室でも図書館でもソーシャルディスタンスが徹底されていますので、たとえ、声をかけたい相手がいたとしても会話することすらできません。合コンなどは論外ですし、かような企画を行う主催者もイベント開催を自粛しています。
そもそもコロナがまん延する以前から、日本においては男女の出会いが少なくなった、恋愛人口が年々減少してきているという切実な問題が指摘されていました。2019年コロナが発生する前の時点でリクルートブライダル総研が2400人の未婚男女を対象に行った調査によれば、恋人がいない人は約7割ということです。20代の男性においては恋愛経験が皆無という人が約4割ということです。かようにネット社会の進展で男女の出会いが極端に減りつつある傾向は、コロナ禍以前から日本の深刻な社会問題と認識されていました。その問題がコロナのまん延を契機としてさらに加速する展開となってきたのです。
世の中全体をみると、テレワークの進展で「仕事が楽になった」「余暇が増えた」との声も多く聞かれるのですが、反面、人間らしい出会いの場や会話の場が消滅することで、何かお互いのぬくもりというか、人間臭い、本音の会話や様々な感情表現や、ないしはお互いの気持ちをぶつけ合う喧嘩するような体験が消滅することで何か味気ない無機質な世に中になっていくような感じがします。
またかように恋愛が消滅傾向となっていくと、景気そのものもさらに悪化する傾向となります。「女性は恋をすると綺麗になる」と言いますが、やはり心がときめくことで、自らをもっと美しくしたいという気持ちや、心が高揚することでのいい変化がその人全体に現れてくるものと思います。かような幸せな気分になってくると新しい服を買いたいと思うでしょうし、美容院にいって髪を整えたいとも思うことでしょう。また新しい化粧品への購入意欲も盛り上がるかもしれません。男性の方も、恋愛をすることで、服装を気にかけるようになり、ファッションにお金を使う傾向が高まることが指摘されています。
かような恋愛とファッションや化粧品などへの購買意欲の高まりの相関関係は、現実の調査結果としてはっきり出てきています。残念なことですが昨今、アパレルの中でもファッション性の高い専門店の売り上げが大きく落ち込んでいます。また、日本全国を見渡して理美容業の倒産件数は昨年度過去最高となってしまいました。コロナ禍で皆がうちにこもり、おしゃれをしたい気持ちが薄れているのです。これらの傾向はこれからさらに加速する勢いです。
さらに驚くべきことですが、恋愛体験が大きく減少していくことで社会全体の好みも変化してきたようなのです。実は恋愛ソングまで下火傾向となっているのです。「歌は世相を反映する」と言いますが、かように恋愛消滅の世界にあっては、恋愛ソングなど聞きたい人が激減するようで、恋愛をテーマにした歌は全く流行らない傾向となっています。コロナ禍になって以降は、ネガティブ、不幸な歌ばかり売れているということです。
日本の将来を考えると、この恋愛消滅の問題はさらに決定的な打撃を与えていくと思います。というのも、本当に人々が恋愛をしなくなることで、恋が生まれず、結果、結婚するケースが激減してくるわけです。昨今の話題として婚約した者同士が結婚式をあげたくても人を呼ぶことができず、式があげられないケースが続出しているといいます。また夫婦間においてもコロナの関係で妊娠が怖いので子供を産むのも考えてしまう、などの諸問題が指摘されています。
これらの問題は今後、ワクチンの普及などでコロナが収まることで解決されるようにも思えますが、ことはそう簡単ではありません。先に恋愛をする男女がコロナがまん延する前から激減状態であることを指摘しましたが、この恋愛の低下傾向がコロナを契機として、コロナが収まったにしても、なかなか元に戻らないこととなるように思えるのです。
というのも人間は置かれた環境に慣れてしまう傾向があるからです。2019年、中央大学の山田昌弘教授とマッチングアプリPairsを運営するエレウカが独身男女2500人を対象に行った共同調査によりますと、交際相手がいない20-30代では約45%が「異性と交際したくない」と答え、その理由として「面倒くさい・疲れる」との回答が多数だったということです。恋愛は確かにいつも順調とは限らず、自分の思い通りにはいかない挫折がつきものです。しかし恋愛は人生の花でもあります。失恋による深い失望感や悲しみ、反面上手く恋愛が成就した時のいいようのないような喜び、かような感情の起伏は表裏一体で残酷でもあり、喜びでもあります。しかしそのような体験こそが振り返れば青春時代ということだと思うのですが、反面、かような恋愛におけるプロセスを怖がる、自らが傷つくことを回避したいというような自己防衛の気持ちも働くわけです。
このあたりの選択はその人の生き方とか人生観に由来するものと思いますが、今回コロナまん延という契機によって「人と会わないでいること」「恋愛しないことを長く体験すること」によって、かような状態を普通に受け入れてしまう傾向が強くなっていくとも思えるのです。要は「自分には恋愛なんて必要ないし、恋人が欲しいとも思わない」と納得してしまうことです。よく年をとるに従って恋愛が面倒くさくなるとの声を聞きますが、このような傾向が若い世代から、今回のようなコロナ慣れの体験を通じて強化されてしまうようにも思えます。
5月26日の日経新聞1面では<少子化 コロナで加速>との記事が踊っていました。2021年度の厚生労働省の統計を基にした試算によると、2021年の出生者数は過去最少を更新し、通年で戦後初めて80万人を割り込む可能性が出てきたということです。ちなみに1970年代の日本の出生者数は200万人台を超えていたのです。それが年々減少を続け、ついに今年度にも80万人台を割れ、75万人台に届きそうな勢いというのです。もともと日本の少子化傾向は予想されていたので、出生者数が減っていくこと自体は驚きではないのですが、問題はそのスピードです。国立社会保障・人口問題研究所の推計では出生者数が75万人台にまで落ち込むのは2039年、今から18年後と試算されていたのです。ところが、コロナで少子化の波が一気に加速、予定より少子化のスピードが何と18年も早まってしまったのです!恋愛して男女の婚姻数が増えなければ子供も生まれません。その恋愛の機会が激減して、これからもその傾向が強まると思われる現代社会においては、ますます少子化傾向が一段と加速するはずです。恋愛は消滅し、子供は増えない、超高齢化という喜べない日本の未来が猛スピードで迫ってくるのです。
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★『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。
★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/
経済アナリスト。
株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。
実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。
著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。
★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
★(株)ASK1: http://www.ask1-jp.com/