“超プロ”K氏の金融講座

このページは、舩井幸雄が当サイトの『舩井幸雄のいま知らせたいこと』ページや自著で、立て続けに紹介していた経済アナリスト・K氏こと
朝倉 慶氏によるコラムページです。朝倉氏の著書はベストセラーにもなっています。

2022.10
インフレ時代に突入

「電気代、都市ガス代、そして燃料費合わせて、数万円程度の負担軽減になるよう最終調整している」
 10月26日、西村経済産業相は衆議院経産委員会で述べています。
 エネルギー価格の上昇が止まりません。ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油高、さらに円安も追い打ちをかけてあらゆる物価の高騰に勢いがついてきています。これでは一般世帯の負担はうなぎ上りで増えていく一方です。
 岸田政権はインフレ対応ということで、総合経済対策をまとめました。これで一安心と思ったら大間違い、今後、日本でも物価上昇は勢いがついてくるでしょう。

●来たるべきインフレ時代!? 具体的には?
 すでに来年春には電気代、ガス代の大幅値上げが予定されており、今回政府の補助が決まったとしてもとても値上げ幅に追いつくわけではありません。いよいよ日本でも本格的なインフレ時代に突入していく気配です。デフレに慣れ切った多くの人は、この時代の変化に乗り切れないかもしれません。来たるべきインフレ時代を考えてみます。
 とにかく身近なものが何でも値上がりしています。9月の日本の消費者物価の上昇率はついに3%となりました。31年ぶりのことです。多くの人はインフレ時代を忘れてしまったでしょうし、若い人は物価が上がり続けるというイメージが湧かないかもしれません。しかし人類史の歴史を振り返れば、デフレやインフレを繰り返してきた流れがあるわけです。そして今の日本は激しいインフレ時代に到来する入口に入ってきたように思えます。

 9月の諸物価の上昇ぶりをみますと、前年同月比で都市ガス代は25.5%、電気代は21.5%、ガソリン代は7.0%上昇しています。ガス代、電気代に比べてガソリン代の上昇率が低いわけですが、これは前もって膨大な補助金が支給されてきた経緯があるのです。すでにガソリンは政府が税金を特別に一部一時的な免除を行っている関係で安く抑えられているわけです。現在ガソリン価格は1リッター169円ですが、本来ですと原油価格の上昇を受けて200円以上しているわけです。
 政府が支給しているガソリンへの援助金は年間3.2兆円に及んでいます。これは消費税1.6%分に相当する金額です。さらに政府は今回のガス代、電気代の補助で年間4.7兆円の補助を行う予定です。電気代もガス代も昨年から20%以上上がっているうえにさらに来年20%以上上がることが確実なわけですから補助金があったとしても一般国民の支払う額は増えるでしょう。

 さらに食料品の値上げも顕著です。食料油は前年同月比で37.6%の上昇、食パンは14.6%の上昇、チョコレートは8.6%の上昇となっています。食料品だけでなく耐久消費財も上がっています。
 ルームエアコンは14.4%の上昇、ドラム式洗濯機は32.1%の上昇です。かようにすべてのものの値上がりがひどくなっていますが、これは9月までの統計であり、実は本格的な値上げが加速しているのは10月からです。ですからこれら激しい物価上昇はこれまでの統計に入っていません。今後さらに物価上昇が勢いを増していくのは必至の情勢なのです。

●世界の驚くべきインフレの状況
 消費者物価3%の上昇という数字は、日本の多くの人にとっては厳しい現実ですが、世界的にみれば日本ほど物価が上がっていない国はないわけです。
 ちなみに米国では消費者物価上昇率は8.2%ですし、イギリスやユーロ圏に至っては10%近いわけです。消費者物価の数字は物価全体を図る平均の数字ですから、実体としては誰でも日常的に購入する必要がある日用品の価格はもっと上がっているのが現実なのです。
 ちなみに日本の一般家庭の光熱費は、昨年までは年間10万円に満たない水準ですが、これが英国においては来年100万円超になるという試算もあるくらいです。これほど世界においては物価高が顕著なわけで、日本では昼のランチも1000円以下で十分食べられますが、ニューヨークではラーメンセットが3000円を超す勢いなのです。かように日本はこれだけ物価が上がってきても外国人からみれば、日本のあらゆる物価が極めて安く、日本は天国だというわけです。

 日本は賃金が上がらないので物価も上がらないと言われていますが、海外との価格差がこれだけ広がっているのに、多くの物資を輸入に頼っている日本の物価がこのまま海外に比べて格安にとどまるということはあり得ないでしょう。
 例えば米国では川上の物価、いわゆる企業が取引する生産者物価は8.5%の上昇率です。米国では消費者物価の上昇率は8.2%ですから、いわば米国では企業が高い仕入れをしてもそれを販売価格に転嫁しているわけです。
 ところが日本では同じく川上の物価、生産者物価の上昇率は9.7%ですが、消費者物価の上昇率は3.0%ということです。
 これは日本においては、企業側が依然、コストを販売価格に転嫁しきれていないことを示しています。かような現実は続けられるわけもないのです。
 ですから今後、日本においては更なる激しい物価上昇が襲ってくるのは必至と考える必要があるのです。
 それに考えてみればわかりますが、米国はドル高で輸入物価の上昇は抑えられるわけです。ところが日本の場合は、激しい円安でドル円相場は150円も突破しました。日銀の介入もあって現在は150円割れとなっていますが、円安傾向は変わっていません。そのため、日本の輸入物価は爆発的な上昇率となっています。現在、日本の輸入物価は前年同月比48%の上昇という驚くべき状況なのです。
 原油も食料も日本は輸入に頼っています。そしてエネルギーや食料なしでは誰も暮らすことができません。ですから日本ではいくら高額だろうが、どんなに円安になろうが、エネルギーや食料は高いお金を支払っても購入し続けるしかないのです。

●政府もあてにはならない
 今後、政治が助け舟を出してくれるから大丈夫と思っていたら大問題です。というのも、日本の政府の借金はGDPの260%におよび世界で断トツのナンバー1の借金国なのです。消費税も10%などという低い税率の国は先進国ではまれな状況です。かような日本がさらに国債発行で借金を重ねていくわけです。ある意味、日本全体が借金の増加に対して何も感じなくなっているようです。
 自国で通貨が発行できる国はいくらでも借金ができるのだから、日本は国債を発行してそれを日銀に購入してもらえば問題ないという考えが広がっていて、実際、今までいくら借金を積み重ねてきてもインフレになることもなかったから、完全に日本全体、国債の追加発行、要するに借金の拡大に対して感覚がマヒしているようです。
 ところが昨今、イギリスにおいて大きな出来事がありました。
 新しく発足したトラス政権がわずか1ヵ月半で退任に追い込まれましたが、それはトラス政権が財源もないのに減税政策を発表したからでした。市場は、トラス政権の発表した放漫財政を嫌ってイギリス国債を売り浴びせました。その結果、イギリスでは金利が急騰、通貨ポンドは急落となってついにイギリスにおいて年金基金の危機にまで発展してしまったのです。これはイギリスにおける放漫財政に対しての市場からの深刻な警告だったのです。
 日本は今のところ個人の金融資産が2000兆円を超えていて、蓄えられた大きな金融資産によって、その信用で日本国債は値を保っています。しかしイギリスの例をみればわかりますが、市場はいつ反乱を起こすかわかりません。現在、円安はとめどもなく進んでいるのが現実です。
 また日本では賃金は上昇しないと言われていますが、さすがにこれだけ、誰の目にもインフレが明らかになってきては上場企業中心に大幅な賃上げが実行されると思います。日本企業の業績は好調で、日本企業は500兆円を超える膨大な利益剰余金を保有しています。これほどインフレが激しくなってきては企業も重い腰を上げることとなるでしょう。一方で収益の上がらない多くの中小企業では苦しい立場となるかもしれません。いずれにしても日本でもインフレが始まってくるでしょう。
 かようなインフレ時代、日本人は預金好きで現金やゼロ金利の預金ばかりにお金を投下しています。インフレ時代がくると、かような現金や預金はあっという間に目減りしてしまいます。株式投資や外貨投資も含めて資産運用を真剣に考えないと将来泣くことになると思われます。

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暴走する日銀相場『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)に引き続き、『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)が2009年5月に発売。その後 家族で読めるファミリーブックシリーズ『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)が同年5月30日に発売。さらに2009年11月には、船井幸雄と朝倉氏の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)が発売され、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を、2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』 (徳間書店)を発売、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』を発売、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

★朝倉慶 公式HP: http://asakurakei.com/
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Profile:朝倉 慶(あさくら けい)

K朝倉慶経済アナリスト。 株式会社アセットマネジメントあさくら 代表取締役。 舩井幸雄が「経済予測の“超プロ”」と紹介し、その鋭い見解に注目が集まっている。早い時期から、今後の世界経済に危機感を抱き、その見解を舩井幸雄にレポートで送り続けてきた。 実際、2007年のサブプライムローン問題を皮切りに、その経済予測は当たり続けている。 著書『大恐慌入門』(2008年12月、徳間書店刊)がアマゾンランキング第4位を記録し、2009年5月には新刊『恐慌第2幕』(ゴマブックス刊)および『日本人を直撃する大恐慌』(飛鳥新社刊)を発売。2009年11月に舩井幸雄との初の共著『すでに世界は恐慌に突入した』(ビジネス社刊)、2010年2月『裏読み日本経済』(徳間書店刊)、2010年11月に『2011年 本当の危機が始まる!』(ダイヤモンド社)を、2011年7月に『2012年、日本経済は大崩壊する!』(幻冬舎)を発売。2011年12月に『もうこれは世界大恐慌』(徳間書店)を、2012年6月に『2013年、株式投資に答えがある』(ビジネス社)を、2012年10月に朝倉慶さん監修、ピーター・シフ著の『アメリカが暴発する! 大恐慌か超インフレだ』(ビジネス社)を発売。2013年2月に『株バブル勃発、円は大暴落』(幻冬舎)を、2013年9月に『2014年 インフレに向かう世界 だから株にマネーが殺到する!』(徳間書店)を 、2014年7月に『株は再び急騰、国債は暴落へ』(幻冬舎)を、2014年11月に舩井勝仁との共著『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』(ビジネス社)を発売、2015年5月に『株、株、株!もう買うしかない』、2016年3月に『世界経済のトレンドが変わった!』(幻冬舎刊)を発売、最新刊に『暴走する日銀相場』(2016年10月 徳間書店刊)がある。

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