船井幸雄注目の “本物”に携わる人たち

このページでは、舩井幸雄が注目していた、医療、経営、農業、未来予測、占星術などあらゆる分野で活躍する“本物”と言っていい方々を紹介します。それぞれの方に毎月１回、３回ずつコラムを書いていただき、順番にいろいろな方を紹介させていただきます。

『医院を元気にする万年日めくりカレンダー』

書籍『カラダ・こころがやわらぐ医療』

　みなさま、こんにちは。令和6年も10月（神無月）を迎え、あと3か月で新しい年となります。この時期に、私のこれまでの道程をお話しできる機会をいただき、心から感謝しております。
　舩井幸雄先生との出会いは、次のようなものでした。2021年に他界した夫・七沢賢治が、2008年に佐々木重人氏より長期インタビューを受け、まとめられた書籍「天皇祭祀を司っていた伯家神道〜秘儀継承者七沢賢治がえがく新創成記」（徳間書店）に舩井幸雄先生から「推薦文」をいただきました。そのご縁で、舩井先生の会で幾度かお話しさせていただきました。それから程なく、舩井先生が甲府の株式会社七沢研究所（現在neten株式会社）を訪問された際に、七沢歯科医院にもお越しいただき、貴重な時を過ごしました。その時の舩井先生は、広い心で相手の心を包んでしまう包容力のある方と言う印象でした。又、先を見通す能力に恵まれた、先見性に富んだ指導者であることも感じられ、畏敬の念を深くいたしました。

**はじめに**
　私が特に大切にしている詩に、サムエル・ウルマンの「青春とは」があります。「青春とは、真の青春とは若き肉体の中にあるのではなく、若き精神の中にこそある」
　「青春とは人生のある時期ではなく、心のあり方を言う　年を重ねただけでは人は老いない。理想を失った時に初めて老いる。」という詩の一節が力強く響き、励まされてきました。
　言葉には不思議な力があり、人の心持ちを変えることができます。5歳の孫が敬老の日に「いつも『生まれてきてくれてありがとう』と言ってくれて、ありがとう」と書いて贈ってくれました。言葉が持つ力、言霊のありがたさを感じた瞬間でした。
　あらためて言葉に宿る魂の力、言霊の力を実感します。
　いつの頃からか、医師会や専門学校など関係各所からお声がけいただき、歯科診療後に参加する会合や会議が徐々に増え、いまでは「歯科診療の終了時間が次の仕事の始業時間」です。開催地は地元あり、遠方ありです。東京での会合となれば、終電で帰ってくることもしばしばです。
　深夜に帰宅し、ドアを開けたとたんに「これをお願いします！」と仕事を頼まれることもありますが、実はこれこそ私にとってはやる気の源です。多様な場面で、みなさまにお声をかけていただき、初めてのことに挑戦させていただくこと、胸中でこれが“私の本務”と心得ています。 いつも内心で「わたしでよければ、喜んで」とつぶやく私がいます。

**歯科医師への道程**
　私が歯科医師を志したのは、歯科医師の叔母の影響です。いつも生き生きと働いている叔母の姿に惹かれ、手に職をもつことの素晴らしさを感じ、歯科大学に進みました。結婚後、義父の勧めで自宅に併設する形で歯科医院を開くことを決め、1982年に開業しました。「大丈夫だよ！」と何事にも笑顔で後押ししてくれる夫の言葉に支えられ、最初の一歩を踏み出しました。
　子供の世話は親戚の温かい援助を得ることができ、忙しい中でも楽しい子育てをいたしました。育児と仕事の両立は大変でしたが、周囲の方に支えていただいたおかげで、日々、恙（つつが）なく過ごすことができました。思い起こせば目まぐるしい日々でしたが、「ありがとう。感謝します」「日々之好日」の言葉とともに始まった人生の幕開けであり、楽しみながら過ぎた 日々でもありました。
　私たちの医院の理念は「自宅の応接間に招かれたような、心の触れ合いができるアットホームな歯科医院」です。夫と歯科衛生士さんを交えて何度も話し合ってこの言葉を掲げて開業しました。大きな変化の時代だからこそ、この言葉の継承は医院経営哲学として、どっしりと真ん中に置いています。
　それから44年、この経営理念は七沢医院の大切な柱なのです。

**リーダーとしての心得**
　変化の時代にあっても、医院の経営方針は揺らぎません。リーダーとして常に「自分を磨き、今を一生懸命に生きる」ことを大切にしています。
　毎年、新年には信条をまとめ、コミュニケーションアーツ（CAA）でクレドを作成し、　また、書道を通じて自己研鑽を続けています。『医院を元気にする万年日めくりカレンダー』（2016年）や書籍『カラダ・こころがやわらぐ医療』（日本歯科新聞社　2017年）は、私の思いを言葉にしたものです。
　当院は、目指す目標、価値観が明確です。スタッフ全員が共に理解し、自律的、意欲的に仕事に取り組んでいます。これは毎日「自分を磨くことを怠らず」の合言葉にも繋がります。

**今を生きる大切さ**
　そして何より「今を一生懸命に生ききる」ことが私の信条です。そのことを一心に思いながら、医療の道をまっしぐらに進んできました。この「今を生ききる」生き方を教えてくれたのは、実は夫なのです。以前の私は、「明日の〇〇は…」「その先の〇〇は…」と、先のことばかり考え、今をおろそかにしていました。そんな慌ただしい日々を過ごす私に「今を一生懸命に生きることこそが大切だよ」そう夫が言ってくれました。そのことばが胸にしみ、「とにかく今を大事にしよう！」と心に決めました。
　不思議なものです。そう思った時から、会う人話す人の反応が違ってきました。人間の古今東西の知恵の結晶を日々研究してきた夫の教えに導かれ、自分が変わることで、相手も変わることを知りました。今に心を集中すると全体が見えてきて、それは自分自身の生き方を俯瞰する視点へとつながり、歯科医師に縛られない、よりダイナミックな生き方ができるようになりました。「今を生きる」ことを心がけることで、人との関わり方が変わり、より豊かな人生になりました。

**女性歯科医師としての役割**
　二人の娘たちも歯科医師として共に働いています。歯科医師は女性には特に向いている職業だと感じています。患者様へのきめ細やかな対応や包容力は、女性ならではの強みです。女性は結婚や出産でライフステージが変わりますが、歯科医師という職業はその壁を乗り越えられます。私にとって歯科医師は天職だと信じています。

　言葉を大切に、お客様への言葉がけは丁寧に、不安そうな患者様に「だいじょうぶですよ」と声をかけるだけでその方は不思議なくらい元気になります。言葉の力には驚くことばかりです。
　言葉の力を「七沢久子」は証明し、生涯現役を全うすることを目標に、日々東奔西走をしています。

Profile:　七沢　久子（ななさわ　ひさこ）

七沢　久子さん

▲１９７８年　神奈川歯科大学卒業
▲山梨県歯科医師会立山梨県歯科衛生専門学校　校長
七沢歯科医院　院長 （山梨県甲府市）
データムグループ　代表
一般社団法人白川学館　代表理事
neten株式会社　代表取締役
https://www.logosfes.com/

１９８２年　七沢歯科医院 開業
２００７年より現職にあるほか、
一般社団法人日本歯科医療管理学会理事、認定医
一般社団法人国際歯科学士会日本部会理事
PFA国際歯学会日本部会理事・編集委員長
一般社団法人日本全身咬合学会　理事
日本バイ・ディジタルＯ−リングテスト協会　認定医
ランチェスター協会理事
全国歯科衛生士教育協議会関東甲信越地区会　会長
山梨県医療審議会　委員