“本物主義”時代の幸せな生き方

このページは、（株）本物研究所と（株）船井メディア　社長の佐野浩一によるコラムページです。
佐野浩一の義理の父でもある舩井幸雄は、１９８０年代のバブルの真っただ中の頃からすでに、「競争主体で矛盾のありすぎる資本主義はもうもたない」、そして「資本主義にとってかわるのは『本物主義』ではないか」と考えており、２００３年に（株）本物研究所をつくりました。
その（株）本物研究所の設立当初から社長として、佐野は常に、“本物”や、人々の“本当の幸せ”について真剣に考えてきました。
そんな佐野が、いよいよ間近に迫ってきたと思われる「本物主義」時代に向け、私たちはどう生きていけばいいのか、また「幸せに生きる」とはどういうことだろう？　ということを先駆けて模索し、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。

　いまは、どうも自他をしばらないで、お互い自由に生きるのがむずかしいようです。
　たとえば、比較や競争。企業でも、いまだに他社比較や業界の同業他社の分析など、普通に行われているのが現実でしょう。他社商品に対する優位性や特徴を全面に押し出すあまり、機能の良さや特定成分の分量の多さなどで比較され、「本当によいものとは何か？」という観点が抜け落ちていってしまっているように思えてなりません。

　私たち人間だってそうです。比較や競争を意識するあまり、「自分がどうありたいか？」は脇におかれ、誰かと比較して、劣等感を積み上げていっているように思えてなりません。能力や結果の違いは、あくまで「違い」であって「優劣」でないことをもっと意識したいと思います。そうすれば、もっと「利他」の観点に立つことができるし、そのほうが幸せな気がします。

　そもそも、自然の摂理によれば、互いを束縛しないで、自主的に、責任をもって、協調して、共生するのが“自然”なわけで、まだまだ現実社会はそうでないことが多いようです。しかし、時代は、自由、自主、自己責任、協調、共生の方向に向かっていくべきですし、少しずつではありますが、着実に向かっていっているように感じられます。
　私たちは、自然の一部だから、自然の摂理にしたがって生きるのが正しい生き方だ……。舩井は生前、よくこのことを口にしました。きっと、そういう生き方ができる時代こそ、みろくの世の時代なんでしょうね。そのためには、私たち一人ひとりの「思い」と「行動」で、一日も早くそういう時代をつくっていった方が、幸せへの近道だと思えるのです。

　では、自他をしばらない生き方をするためには、どうすればよいのでしょうか？
　実は、「自他をしばらない」というのは、むずかしいことではない……。舩井はよくこう言いました。この答えは、「なぜ自他をしばってしまうのか？」を自問自答すれば、自明のようです。要するに、比較や競争を全面に押し出して、モノを考え、行動するからだと……。
　相手が優れている点は、認めて、賞賛すればよいのだと教わりました。それぞれが「独自固有の長所」を持っているのだから、そこをさらに輝かせるように、互いに伸ばしていけばよいということです。相手のよさと自身のよさは違うのだから、どちらも大事にすればよいのです。つまり、「自分は、そのままの自分でよい」と認識すること。比べたり、目標設定するとすれば、それは自分自身が対象であれば、それでいいのだということになります。
　この観点に立つと、どうやら自他をしばらないでよさそうです。そうすると、もっと自由に生きられるように思えてきます。これからの新しい時代のスタンダードは、どうもこの方向に向かっている気がしてなりません。