“本物主義”時代の幸せな生き方
このページは、(株)本物研究所と(株)船井メディア 社長の
佐野浩一の義理の父でもある舩井幸雄は、1980年代のバブルの真っただ中の頃からすでに、「競争主体で矛盾のありすぎる資本主義はもうもたない」、そして「資本主義にとってかわるのは『本物主義』ではないか」と考えており、2003年に(株)本物研究所をつくりました。
その(株)本物研究所の設立当初から社長として、佐野は常に、“本物”や、人々の“本当の幸せ”について真剣に考えてきました。
そんな佐野が、いよいよ間近に迫ってきたと思われる「本物主義」時代に向け、私たちはどう生きていけばいいのか、また「幸せに生きる」とはどういうことだろう? ということを先駆けて模索し、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。
この気忙しい世の中……。
通勤ラッシュに身を置き、ふと我に返り、「これが本当は当たり前でないのでは……」と思いを巡らせた瞬間、ある種の息苦しささえ感じてしまうことがあります。
いろんなものが便利になって、いろんなツールが開発され、いろんなサービスが生まれ、もう“満腹状態”なのに、これからさらにAI技術の加速度的発達によって、今度は人がロボットに仕事を奪われるのではないかとささやかれています。
資本主義経済はもはや終焉を迎えているというのに、いまだどっぷり浸かりきっていると感じざるを得ない世の中の出来事の数々。ときどき、「これで本当に新しい時代はやってくるのか?」と天に問いかけたくなる自分がいます。
そんな折、「みやざき中央新聞」2月6日(月)発行の社説が、目に飛び込んできたのです。この社説は、編集長である水谷謹人さんが、いつも渾身の思いを込めて書かれていて、多くのことを学ばせていただけます。
生活とは「今ここ」を生きる修行
少々引用させていただきます。
双雲さん(書道家・武田双雲氏)は、「世の中がどんどん便利になっているのに、楽になるのかと思いきや逆に忙しくなっており、心は楽になるどころか苦しくなっている。これはどうしたことか」と疑問を投げ掛けていた。
そして、書道家らしく彼はこういう答えに辿り着いた。「便利さと引き換えに丁寧に接することを現代人は忘れてしまったのではないか」と。
彼は書道教室の生徒に、丁寧に書くように指導している。「丁寧に書く」とは、ただゆっくり書くことではない。「寧」には「心が安らか」という意味があるように、上手い・下手や他人の評価などにとらわれず、今、目の前に漂う墨の香りや筆の毛の細やかな動き、紙から伝わってくる感触を感じ取れるほどの安らかな心をもって書くこと。すなわち、「今を味わうこと」なのだと言う。
「『今』を味わうことなく、未来への不安や対策にとらわれてしまうから忙しくなるのだ」と。
(中略)
「今」も「ここ」も実は同義語で、今ここにいる自分を時間的に表現すると「今」、空間的に表現すると「ここ」になる。
すなわち私たちは、過去でもなく、未来でもなく、「今ここ」で生きている。
にもかかわらず、過去に起きたつらい出来事を、「今ここ」に持ってきて悩んでいる人が多い。過去には楽しかったことや嬉しかったこともたくさんあったはずなのに、それらには見向きもせず、たった一つの苦しかったことを「今ここ」に引きずって苦しんでいるのだ。
あるいは、「このままいくと日本経済はどうなるのだ」などと、未来に起きるかもしれない恐怖を「今ここ」に引き寄せて心配している人も少なくない。
確かにそれらは自然な心の動きだが、「今ここで生きている」という基軸を見失ってしまうと精神的に病んでしまう。
なぜなら、「意識はエネルギー」だから。過去や未来にたくさんのエネルギーを使うと、「今ここ」を生きるために必要なエネルギーが残らない。
双雲先生は、「味わう」という言葉をよく使われます。
目の前のことを味わう。
一日を味わい尽くす。
でも、いまや、私たちの多くは味わう余裕すら失ってしまっています。
まずは、「今ここ」に意識を向けていかないと、新しい時代をどう生きるか……なんて考えること自体、なんだか無用に感じてきます。
このお話は、そもそも、長野県善光寺に、ジェームズ・スキナー氏の講演を聴きに行かれた際、ヨガの手引書とも言われる「ヨーガ・スートラ」について語られたことと、武田双雲氏が書かれたエッセイが水谷編集長の頭のなかでクロスしたことが発端です。
その講演の中で、「今ここ」に意識を向けるため、スキナーさんは「ヨーガスートラ」から2つの基本姿勢を紹介されたそうです。
一つは「禁戒」。
「これだけは絶対にやらないこと」を決める。
もう一つは「勧戒」。
これはその反対で、「積極的にやること」を決め実践する。
「絶対にやらないこと」と「積極的にやること」を決めて、それを自身に問いかけながら考え、行動する……。確かに、自身を見つめ、自身の心の声を聴きながら、一つひとつを吟味し、味わいながら、ゆっくり、ゆったり歩めそうな気がします。
もちろん、そのプロセスは安易なものではなく、自分との約束を守れたかどうかを点検する作業ですから、水谷編集長は「修行」という言葉を使われたのでしょう。
「今ここ」。
まずは、「今ここ」を味わい尽くす。
「今ここ」で心を尽くしてやることがすべて。よくても、よくなくても、順調だろうと、そうでなかろうとも、人に認められようと、認められまいと……、いまの自分を、そのまま、しっかり見つめ、受け止め、まっとうする。
最近、これこそが、新しい時代を迎え、生きるために必要な心の軸だと考えるようになりました。「今ここ」を生きはじめたとき、私たち個々の眼前にそれぞれの素晴らしい未来が暗示されるように思えてなりません。
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1964年大阪府生まれ。関西学院大学法学部政治学科卒業後、英語教師として13年間、兵庫県の私立中高一貫校に奉職。2001年、(株)船井本社の前身である(株)船井事務所に入社し、(株)船井総合研究所に出向。舩井幸雄の直轄プロジェクトチームである会長特命室に配属。舩井幸雄がルール化した「人づくり法」の直伝を受け、人づくり研修「人財塾」として体系化し、その主幹を務め、各業界で活躍する人財を輩出した。
2003年4月、(株)本物研究所を設立、代表取締役社長に就任。商品、技術、生き方、人財育成における「本物」を研究開発し、広く啓蒙・普及活動を行う。また、2008年にはライフカラーカウンセラー認定協会を立ち上げ、2012年、(株)51 Dreams' Companyを設立し、学生向けに「人財塾」を再構成し、「幸学館カレッジ」を開校。館長をつとめる。2013年9月に(株)船井メディアの取締役社長CEOに就任した。
講演者としては、経営、人材育成、マーケティング、幸せ論、子育て、メンタルなど、多岐にわたる分野をカバーする。
著書に、『あなたにとって一番の幸せに気づく幸感力』(ごま書房新社)、『ズバリ船井流 人を育てる 自分を育てる』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『私だけに教えてくれた船井幸雄のすべて』(成甲書房)、船井幸雄との共著『本物の法則』(ビジネス社)、『あなたの悩みを解決する魔法の杖』(総合法令出版)、『幸感力で「スイッチオン!」』(新日本文芸協会)がある。